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ふとしたことがきっかけで爆発する感情 ~第30話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落して2ヶ月程経った頃のお話です。

免荷重の左足が自重の2/3まで負荷をかけられるようになって10日程が経ちました。左足に荷重をかけることにも慣れてきているし、リハビリが進んでいることも実感しています。
また最近は墜落したことに対する思いの消化も出来てきいます。

↑にも書いていますが、
「いくつもの奇跡が重なったことで自分が生かされた理由はすぐに見つかるものじゃない。これから時間をかけて探していけばいい。」
そう思えるようになったことはかなり大きいです。そう思えるようになってからは、ありのままの自分や状況を受け入れられるようになりました。

おかげで肉体的にも、精神的にも、前よりかなり安定してきていると感じています。リハビリを繰り返す日々に飽きを感じたり、これからのこと、将来のことで不安になってしまう部分はもちろんあります。しかし、何かのきっかけで崩れてしまいそうになってしまう、あの不安定感を感じることは随分減りました。ちょうど、自分でも「安定してきたな」と思っていたんです。

でもこんな時にこそ、急に何の前触れもなく、現れてしまうんですね。
心の奥底にある、本心というものが。。。

夕食後のことでした。今日もいつものようにリハビリがハードでした。疲れてはいるけれど、もうちょっと頑張っておこうと歩行器を使いながら歩く自主リハビリをすることにしたんです。

いつものように廊下を歩いていきます。途中にある、大きな窓のところに来た時でした。窓から見える風景を見た瞬間でした。きれいな夕暮れだったんです。その景色を見た瞬間でした。頭に浮かんでしまいました。

「写真を撮りたいなぁ。。。空も飛びたいなぁ。。。」

そう思った瞬間、感情が爆発してしまいました。。。
一気に涙が止まらなくなりました。。。。

安定してきていると言いましたが、それは入院生活が慣れてきて安定してきているというだけの話。
今まで「普通」にできていたことが全くできない日々。。。不満やストレスが山のように溜まっていたんだと思います。それが、一気に爆発してしまいました。

わかってます。今は無理だってこと。今は体を治すことが先決だってこと。
でも自分が一番やりたいことができていないということを改めて自覚してしまった。

また写真をいっぱい撮りたいな。
また大空を何時間も飛びたいな。

外の世界を思う気持ちが、心の奥底にあって、気づかないふりをしていた感情が一気に溢れてきたのでしょう。。。
どんないこらえても涙はどんどん流れてきてしまいます。。。
こうなるともう、、、どうしようもない。

でもだからこそ、リハビリをする歩みは止めませんでした。

途中で看護師さんやケアスタッフさんとすれ違う事になる。顔をみられたら、泣いているのがバレます。でもそんな事は関係ないと思いました。今、自分がするべきことは早く元の体に戻す事。その為にもどうあるべきかを考え、行動していくことが一番大切なはずです。

「涙している姿を見られたら、恥ずかしい気持ちはもちろんある。でもそんなことより大切なことがあるんだ。完全復帰を目指してるんだ。だから歩く練習をするべきなんだ。周りの人たちに変に思われてもしょうがない。歩くのを辞めるべきではないんだ。だから、、、すれ違った看護師さん、ケアスタッフさん、悪いがそこは察してくれ。」

そう思い、歩みを止めることは辞めませんでした。

大きく進歩はしているけど、まだまだ道のりは遠い。
だからこそ、進まなきゃいけないんだ。
止まってなんかいられないんだ。

また写真を撮れるようになるために。
また空を飛べるようになるために。


体を戻す長い戦いは、まだまだつづく。。。


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