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職場を「経営学」で解決する! #7 働くことが楽になる知識とは?

「組織」を理解することでラクになる

あなたは、組織で働くことが辛いと感じたことはありませんか?
組織に所属していると、どうしてこんなに大変なんだろう、個人の個性を認めてもらえないんだろう、と思ったことはありませんか?

実は、私は昔から集団行動が苦手です。苦手というか、普通の人が疑問も苦労もなくやり遂げられることができない、ということがよくあります。例えば、事務処理能力は皆無です。皆で同じ行動を強いられる状況は、自分のポンコツぶりが目立つので辛い。でも、人と一緒に何かを作りあげることは楽しい。自分だけなら諦めてしまうことを、人と一緒に取り組むことで成し遂げられることの重要性も実感しています。

そんな性格なので、組織の中でうまく動ける人が何をしているのだろうか、人を動かすことがうまい人は何をやっているのだろうとか、そういうことに昔から興味があります。人を観察するのは楽しいし、第三者的な自分が自分を観察するのもたのしい。興味が高じて研究者になりましたが、組織や人が動くしくみの理解が進むと、私のポンコツぶりは変わらなくても、ストレスが減ることを実感しました。

でも、一般向けには、そういう組織が成り立っているしくみの説明がされていないと感じます。正確に言うと、専門やMBAの授業など、しっかり学ぶ意欲も時間もインセンティブもある人向けの高度な説明はありますが、会社のいちメンバーとして日々の業務にあたっている人が納得できるような説明が少ないと思いました。

ルールを知らずに試合に出れば、効率的な動きができないのは当たり前。だから、しばらくの間、昔の私のようなややポンコツ気味な人(悪く思わないでくださいね)にむけて、組織で働く人が基礎知識として持っていると少しラクになる話をしていきたいと思います。いわば、「働く人の一般教養」です!

なぜ人は「組織」で働くのか

そもそも、なぜ、人は組織で働くのでしょうか?
生きていくためのお金が欲しいから?自分の力を社会に役立てたいから?所属や肩書きが欲しいから?

理由はいろいろあると思いますが、なぜ働くのかを考えるときには、ぜひ、なぜ「組織で」働くのかも考えてみてください。あなたには個人やフリーで働くという選択肢もあるはずです。それなのに、なぜ組織で働こうとするのでしょう?当たり前だと思って深く考えていないこととしっかり向き合うと、ヒントが見えてくることがあります。

おそらく、働く場としてのメリットを感じているからでしょう。メリットをしっかりと認識して享受すれば、デメリットも受け入れやすくなるはず(もしどう考えてもデメリットがメリットを上回ると思うなら、いっそ別の道を)。

個人として組織と、どのような距離感で付き合えばいいのか、は次に書く予定ですが、今回はまず、「なぜ窮屈な思いをしてまで組織で働くのか」について説明します。

前提を意識する

組織や人を研究したり統制したりする上では、いくつかの「前提」があります。例えば、「人は合理的に判断して行動する」というのも前提の1つです。しかし、人は常に合理的な判断をできるわけではありません。例えば、眠くて頭が働かないときに判断を失敗することや、処理しなければいけない情報が多すぎて対応できなくなることは誰にでもあります。ただ「人は合理的に判断して行動する」という前提を置くことで、「NOT合理的に判断して行動するケース」をとらえられるようになります。

「回るお寿司」と「回らないお寿司」という概念がありますが、お寿司という概念しかなかったそれまでの世界では、「美味しいお魚とご飯が食べたいけれど、かしこまって食べたいわけではないし、こどもはすぐ飽きちゃうからなあ」という気持ちは認識されていなかったし、解決法もなかったわけです。これが「回るお寿司」という概念(言葉と言い換えてもOK)があることで、その対となる「回らないお寿司」という概念を捉えることができるようになりました。なんらかの前提(例:寿司は回らない)を置くことは、世の中の見え方を変えることに役立ちます。

知識があることで効率がよくなる

経営学や組織論では、「組織の運営をいかに順調に行うか」という観点で研究されている中で、いくつかの前提や基本となる考え方があります。例をあげると、「人は合理的に判断して行動するけど、完全ではない」などです。そして経営学の前提のひとつに、「人は個人でいる時と集団の中に属している時とでは違う行動をする」というものがあります。

学生時代の試験前を思い出してください。一人で勉強しようとしても、なかなか勉強が進まないことがありませんでしたか?友達と図書館で勉強をしようと約束をすると、友達がいる手前、勉強をせざるを得ないので、一人でやるよりも勉強が進む人が多かったかと思います。このように、個人でいる時と集団の中にいる時では、動き方が変わります。会社員の人が独立してフリーランスになったり、学生がオンライン授業になったりするとこの「集団の中にいる」ことによる影響は薄れるので、自己管理ができない人がモチベーションを維持できなかったりします。

従来の職場では、この集団の影響力を生かすために組織をつくり、管理しているとも言えます。友達と図書館で勉強するときは、その場のルールを皆が守ることで目的が達成しやすくなります。例えば、図書館内では私語厳禁もルールの1つですよね。こうした、「組織の背景にある意図や前提」を理解した上で行動すると、ポンコツ気味でもそれなりに組織で活躍していけるようになります。誰でも、不得意なことがありますから、自分が苦手なポンコツ部分を補うようにしましょう。次からは、組織とうまく付き合う方法について話をしたいと思います。

※この講座では、この辺の話をする予定です。
「職場の経営学①②③」一般向け講座(オンライン)を開催します


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