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発達障害を手がかりとして、「学び方」「働き方」を考える

私は今、すごく心配、危惧していることがあります。
それは緊急事態宣言が解除されて、
「もとの世界に戻ろうとする社会の力」に押し潰されてしまう人たち
6月から顕著になっていくのではないかということ。
発達障害のある子どもたちや人たちもその一人です。

「行けること」が前提・美徳とされてきた社会

コロナの影響を受けて、私だけでなく社会全体として、これまでの学び方や働き方には、学校や職場に「行けること」が前提になっていたことに気がついた方も多いのではないでしょうか?
そしてそこには「行けること」こそが、学びや働く権利を得られるといった美徳のような価値観が存在していたと感じます。
でも、ステイホームで誰も「行けなくなった」社会になって、そんな前提や価値観や美徳を、多くの人が問い始めています。

発達障害のある子どもや人の中には、学びや業務そのものではない部分で、学校や職場に行けなくて困っている人たちがいます。
●人混みやラッシュにドキドキしたり混乱して不安になって困っている
●視覚や聴覚、嗅覚などありとあらゆる情報が入りすぎて困っている
●周囲の視線などを遮るプライベート空間が確保できなくて困っている
●雑談や社交辞令、一緒にトイレ、一緒にランチが苦痛で困っている
などなど。

ステイホームで得られた「自信」と「希望」と「可能性」を知ってほしい

不登校とか、引きこもりとか、私たち社会はとかくレッテルをつけて、その子・その人自身にあたかも問題があるように、どこか対岸の火事のように見て、自分とは関係ない世界だと決めつけていないでしょうか。

でも、どうでしょう?

ステイホームにより教育現場では今や必要不可欠になっているオンライン授業のおかげで、「不登校」とレッテルをつけられていた子どもたちが、オンライン授業に積極的に参加し、そこに自身の居場所をみつけ、学びを通してそれまでの絶望から一変して希望を見出して、そして自身の可能性を拡げている。

ステイホームにより職場でも今や必要不可欠になっているリモートワークのおかげで、雑談力や忖度さえも求められたマルチ能力は不要になり、引きこもりやニートなど「働けない」とレッテルをつけられていた人たちが、職務に特化して集中して仕事をバリバリこなし、そこにやりがいを見つけ、仕事を通してそれまでの絶望から一変して希望を見出して、そして自身の可能性を拡げている。

つまり、学び方や働き方の「方法」がちがっただけで、その子・その人自身には何も問題はなかったということです。

そして、言葉を選ばずに申し上げるのならばレッテルを貼り続けてきた社会側が問題を作りだし、そこに課題があったのだと私たちが反省すべきではないかと思うのです。

でも残念ながら、やっと希望や可能性を見出した人たちの存在には目を向けず、コロナの影響を受ける前の行けることを前提・美徳とした、もとの世界に戻ろうとする社会の力も働いている。そこに、私は大きな不安と危惧を抱いているのです。

そしてそれは発達障害の有無とかレッテル貼りとかに関係なく、オンライン授業やリモートワークに、学びやすさや働きやすさを見出した人たちが、もとの世界に戻ろうとする力に対抗できなくてつまづき困ってしまうのではないか、新たなレッテル貼りがされるのではないか、という不安や危惧でもあるのです。

大切なことは学び方、働き方の「選択肢」を増やしていくこと

じゃ、どうしたらいいのか?
私は、大切なことは学び方や働き方の選択肢を増やしていくことだと考えています。

決して、従来の学び方や働き方を否定しているわけではありません。
これまでの行くことを前提とした学び方や働き方が自分にぴったりならその学び方や働き方をもちろん選択できる。でも、行くことだけを前提とせず、行かなくてもできる学び方や働き方も、選択肢の一つとして入れてほしいのです。さらに、今の私には想像できないような、新たな学び方や働き方も、もっともっと増やしてほしいのです。
そして多様な学び方や働き方によって、人々が自信と希望と可能性を得られる社会になってほしいのです。
なぜなら、それが共生社会、ユニバーサルデザイン社会の実現だと私は信じているからです。

*画像:このカバーのデザインはFreepik.comのリソースを使用しました。

◎もしよかったら橋口亜希子個人事務所のHPもご覧ください♪

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