アルビレオの観測所が一番美しい。
脳内で、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとおった球が軽やかに自転しながら公転して交差する。
交差するときの、輪郭が重なってゆっくりずれて音もなく離れていく光景。
この光景を再現してくれる媒体がないものか、絵本やイラストや動画を探しに探したが、イメージに勝るアルビレオの観測所は残念ながら見つからない。
両面凸レンズ、がない。
花巻の宮沢賢治童話村にも、ない。
(ただただ楽しく自分がくるくるとまわっていました)
頭の中のこの光景を見たくて見たくて、ずっと引きずっていたのだが、ある日突然、小津夜景さんが教えてくれた。
銀河鉄道の夜を読んだその日から今なおずっと、浸って、溺れて、追いかけても追いかけてもまったく手が届かない。
そうだ私は、宮沢賢治に圧倒されているのだ。