海外は、なんて住みやすいんだろう。
僕は2017年に、ファーストワーホリでシドニーに来た。
今は学生ビザで専門学校に通いながら、個人事業主として独立して、フリーランスエンジニアをしている。
2017年1月に日本を出てから現在まで、2度のフィリピン留学や、セカンドビザを取得するために住んでいたDubboでの生活を挟んではいるものの、それ以外はずっとシドニーに住んでいる。
こんなにシドニーに居続ける理由は、ただこの場所が好きだから。第二の故郷のように感じている。
「海外は、なんて住みやすいんだろう。」
確かに、シドニーは住みやすい。
人は多すぎないし、道路は広い。大都会の中にも、たくさんの自然がある。
日本離れした建造物は、どこへ行っても圧巻だ。
だから今もこうして、この街に住んでいる。
ただ、初めて日本を出たときや、海外生活を始めたばかりの人が感じるであろう「なんて住みやすいんだろう」という感情は、シドニーに限ったことではない。
これはシドニーが住みやすいから、ということではなく、その実、日本を離れたことによって、全ての人間関係がリセットされ、自分を取り巻いていた様々なしがらみから解放されたことによるものだと感じる。
海外を初めて訪れた瞬間は、言語や文化が全く異なることに対する新鮮さが、脳を刺激する。
そして、オーストラリアでは、日本ほど他人の人生に干渉する人はあまりいない。
個人の思考や決断を何より尊重することが、この国でのマナーだからだ。
なんて住みやすいんだろう。
しかし、当然、良いことばかりではない。物価が高いオーストラリアで充分な収入を得られなければ、預金残高はみるみると減っていく。
言語も文化も違う国で、衣食住を用意し、仕事をして、ビザや税金関係のややこしい手続きなんかも全て自分でこなす必要がある。
シドニーに長く住んでいると、良いことはたくさんあるものの、悪いこともそれなりに経験してしまう。この街にだって、悪意を持った大人は大勢いる。
騙されたこともある。心から信じていた人や、親友だと疑わなかった人に大きく裏切られたこともある。強く憧れたこの街で、反吐が出るような憎悪と失望を味わっている。
大好きなシドニー、憧れていた場所。
第二の故郷であるこの街を、今では、離れてみたいと思うことが時々ある。
僕は学生でもあるし、自宅がオフィスなので、別の街に引っ越すなら、様々な事柄を考慮する必要がある。今のところは、あまり現実的ではないのかもしれない。
でも、酸いも甘いも経験しているこの街を離れて、全く新しい場所で、新しい人たちと出会うと、きっと僕はこう感じるのだろう。
「この街は、なんて住みやすいんだろう。」