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知人にこそお仕事依頼すべき理由と注意すべき点

お気に入りのPodcast番組でパーソナリティがこんなことを言ってました。
"資本主義経済以前は「○○家の××さん」という風に自分の肩書きを社会が担保してくれていた。しかし現代においては自分自身が何者であるかを誰も定義してくれない。"
これを聴いて「あれ?自分って何者なんだろう??」と漠然した悩みに襲われることに。

僕の場合、アニメツアーガイドやオタク向け日本語講師など割とユニークな仕事をしているつもりです。
が、その肩書きは自分の中だけで完結しているものではないだろうか?周りの人には伝わっていないのではないか?

せっかく良いサービスを提供しているのに、それが周りに伝わってないのではもったいない。せっかく日本中を周っているのに、仕事や面白い機会を逃していたのでは悔やみきれない。という訳で自分が何者であるかを再定義すべくポートフォリオサイト・ロゴ・そしてプロモーション動画を作ることにしました。

意識したのは「分かりやすさ」と「客観性」

自己を表現するものを作成するからこそ、誰が見ても理解できるものに仕上げる必要があると思いました。そもそも、自分のことをよりよく知ってもらうのに分かりにくいデザインでは意味がありません。

もう一つ最近気づいた点、それは「自己が認識する自分と周りが認識してくれる自分は大きく異なっている」ことです。
コンプレックスに感じていた自分の声に魅力を感じてくれる人がいたり、
口下手だと思っていた自分のコミュニケーションを誉めてくれる人がいたり、
空気が読めないと思っていた自分を「場回しが上手い」と言ってくれる人がいたり、、、
数え出すだけでもキリがない程、主観目線と客観目線には隔たりがあります。自分の色眼鏡を通して写したデザインでは上手く伝わらない、だからこそ自分の目線だけでなく他人の目線により客観視された姿をカタチにする必要がありました。

自分をより客観的に捉えてくれる存在

かと言って、他人であれば誰でも良いという訳でもありません。見ず知らずの人間に「僕という人間を表現するものをデザインしてください」というのは少々リスクが高いですよね。
そこで役立ったのが多拠点生活で知り合う人たちでした。
多拠点生活プラットフォームADDressを利用し、日本各地のゲストハウスや一軒家で共同生活をする中で多くの人たちに出会ってきました。
デザイナーやイラストレーター、動画編集者にウェブデザイナー。彼らは多彩なだけでなく、僕と食住を共にし何気ない会話をしたことで、自分の好きな物や価値観、何気ない癖などがかなり伝わっています。結果、自分でも気づかなかったような自分自身の特徴や得手不得手を落とし込んだデザインを仕上げてくれるのです。
だからこそ、「顔も知らないどこかの誰か」でなく「旅の中で知り合い暮らしを共にした、自分のことを深く見てくれている人」にこそ依頼すべきだと僕は思います。

ユーザー属性に応じて異なる媒体も必要

僕は普段Podcastで雑談番組をラジオ配信しています。

ラジオは感情が乗りやすく情報を簡易に詰め込みやすいというメリットがあります。しかしその一方で、ある程度自分のファンになってくれないと聴いてもらえないというデメリットもあるのです。特に僕の番組は20-30分程度の少し長めの釈を取るからこそ、関係値が低い相手にはなかなか刺さりません。
暮らしの中で知り合う人たちに「英語レッスン、秋葉原ツアー、ラジオのゲスト出演」といった行動を促すためには、よりお手軽な媒体での紹介も必要になると思いました。

成果物について

結果として、自分をよく知る人に対して以下のものをデザイン・制作協力していただきました。

ウェブサイト

ADDressで以前に滞在した千葉県茂原拠点。ここに住むりょーすけさん(@yahsan2)・あやかさん(@niiiiicha)夫妻は長期滞在者向けにノーコードでサイトを作れるサービス"STUDIO"を使ったウェブサイト作成ワークショップを開いています。「語学レッスン、ツアーガイドなどのサービスをより多くの人に知ってもらいたい」という僕の悩みに対応すべく、1週間の滞在の中でディレクション・マーケティング・デザインの基礎からマンツーマンでサイト作成のイロハを叩き込んでもらいました。

ロゴ

ADDressユーザー友達であるツヨシさん(@traettal_systems)。イベント運営やカフェ巡りなどを一緒にすることが何かと多いです。そんな彼に「僕の雰囲気・仕事・性格を表すロゴを作成してほしい」と依頼しました。
左部分の図形の集合体には
「よく見ると漢字で『語』のカタチをしたロゴ」→日本『語』講師・英『語』講師・Podcastでの『語』り
「プレイステーション調の図形」→普段から着用しているプレステロゴの入った帽子
といった意味が込められてます。アニメ調に整えてくれた文字(タイポグラフィ)にも大満足です。

プロモーション動画

同じくADDressユーザー友達であるじんくん(@jinjinsurune)。一時期は同部屋滞在をしていたこともあり僕のことを長所短所合わせてよく把握して頂きました。そんな彼には、1週間ADDressの同じ物件に滞在する間の僕の仕事ぶりや考え方をまとめた短い紹介動画を依頼。
僕が伝えたのは「自分がどんな仕事をしているのか、どんな思いでやっているのかが伝わるような動画にしたい」ということくらいです。細かい台本などは全く指定していないにも関わらず、想像の枠を大幅に超えるエモい作品ができて感動した覚えがあります。

訪日観光客向け名刺(二つ折り)

コロナ以前に知人伝いに紹介してもらった友人の水墨絵師じんかいさん(@zinkai)。
「訪日外国人に向けて、秋葉原での体験ツアーの楽しさが伝わるチラシがほしい」という要望に対して、「何が楽しいのか、どんなところがユウキのツアーの強みなのかを知りたい。だから一度実際にゲストを案内しているところに同行させてほしい」と頼まれ実際に参加してもらいました。ツアー後ふたりで話し合いをする中で僕自身も気づかなかったアキバツアーの魅力を彼目線で伝えてもらい、その場(カフェ内)で水墨画ベースのラフスケッチを描きながら「どうすればユウキのツアーの良さを最大限に伝えられるか」について熱弁して頂きました。その結果、誰に見せても「わかりやすい、楽しそう」と誉めてもらえるものが仕上がりました。初めて挑戦する外国人向けデザインだからと、分厚い関連書籍を数冊も読み込んだ上で取り組んでくれた姿には軽く泣きそうになりました。

知人と仕事をするときは注意も必要

しかし、いくら自分のことを知ってくれてるからと言って、知人・友人に仕事を依頼するときは注意も必要です。さもなければせっかくの良い人間関係が崩れる原因にもなりかねません。

知人だからこそ、正当な報酬を

僕自身も以前そうだったのですが、知り合いにお仕事依頼をする際に「いつもお世話になってるから、値引きをしよう」と考えてしまうケースがあります。納期遅れ・クオリティ低下につながるのでやめましょう。

なぜなら、クリエーターさんのリソース(時間やおカネ)は無限ではないからです。限られた時間の中で研鑽を積みデザインを仕上げている彼らは、その時間を消費し食べていくための生業としてものづくりをしています。そこで値引きを求めるのは「生活費を切り詰めて俺のためにものづくりをしろ」と言っているにも等しいことです。
逆に考えてみましょう。あなたが普段お世話になっている人に対して値引きをして仕事をしたことで、ロクに生活費が稼げなくなり仕事全体にも支障が出てしまいますよね?
価格はクオリティ・モチベーションを担保するための装置です。お互い気持ち良く仕事をするためにも、適正価格をしっかり握った上で仕事を依頼しましょう。

これでもかという程前提条件を細かく伝える

いかにささいな点だったとしても、事前のコミュニケーションエラーにより仕事全体にヒビが入る。そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
「そういうつもりつもりじゃなかった」「そんなの言わなくても当たり前だと思ってた」は通用しません。「こんなことも?」と思えるほどのささいな点でも、十二分に細かく前提条件を揃えることはめちゃくちゃ大事です。

できる限り一緒の時間を過ごす

前述した様に、「自分も知らなかった自分の一面」をカタチにしてもらえるのが知人へ仕事依頼をすることのメリットです。
であるならば、ありのままの自分、普段の自分、仕事だけでなくオフに自分など可能であればできる限りの顔をクリエーターさんに見せるべきです。
そうすることで、自分が知らなかった自分自身・自分の強みが前面に出た作品に仕上がることでしょう。雑談や食事、喫煙などなんでも構いません。仕事モードではなく気構えないモードでクリエーターさんと接してみましょう。

「こうしてくれ」ではなく「こんなことができたらいいな」を伝える

最後に、クリエーターさんと仕事をする上で僕が一番勧めたいのは「自分のものさしの中で依頼をして表現の幅を狭めないこと」です。
前述したように、自分の目線では分からないことを他人の目線でカタチにしてもらうことにこそ価値があります。だからこそ、デザインや動画のことを知らない人ほど「自分の持ってる僅かな知識で知ったかぶりして稚拙な指示を出す」べきではありません。
そうではなく、「こんなことで困っている」「こんなことができたらいいなと思っている」とお悩みベースで相談した方が彼らの実力を引き出すことができると僕は考えています。悩みを伝えることにより「それならこんな方法で伝わるよ」「それがやりたいなら○○じゃなくて××の方が適しているよ」といった考えもしなかったアイデアが得られるのです。
「ああしろこうしろ」という具体的な指示ではなく、「こんなことができたらいいなと思っている」というビジョンを伝えた方が、彼らクリエーターさんの実力を十二分に引き出す結果につながるはずです。

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