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【短編】 妹と緑色の生物

 そいつはリスに似ており、緑色で、何かに反応して光ったりする生物だ。
 小学生の妹が手を差し出すと、そいつは首を傾げたり光ったりしたあと、キューンと鳴き声を出した。
「きっと、ひとりで寂しかったんだね」
 妹はそう言いながら、緑色のそいつを手のひらに乗せて指で愛撫する。
 しかし、そいつはたぶん地球外生物で、見つけた場合はすぐに衛生当局へ通報しなければ、重い罪に問われる。
 数十年前から地球人が宇宙に進出したり、宇宙人と交流を始めたせいで、宇宙船に入り込んだ外来生物が地球にやってくるようになったのだ。
「おい、よく分からない生物をあんまり触るなよ」
 中学生の私は、妹の無知な行動に少しいらいらしてその生物を妹の手から追い払った。
「もう、乱暴なことしないでよ!」
「見た目は可愛くても未知のウイルスを持っているかもしれないし、お前を突然襲うかもしれないんだよ」
「この子はそんなことしないもん! 兄さんの馬鹿!」
 
 私は心を鬼して、その緑色の生物を袋に捕まえて衛生当局へ行った。
 しかし、当局で袋を開けるとそいつは消えており、いたずらはやめてくれと当局の職員に怒られてしまった。
「兄さんおかえりなさい」
 家に帰ると、緑色の生物は何事もなかったように妹の肩に乗って毛づくろいをしている。
 私はそれから三回同じことをやったが、緑色の生物はいつも妹の元に戻っているし、私は当局の職員から変な少年だと思われただけだった。
 
 妹が緑色の生物を飼うようになって一カ月後、妹と生物の額から触覚のようなものが生えてきた。
 妹と生物は、触覚の先端同士をくっつけて何か会話をしている。
「この子、もう一億年前から生きているんだって。でも一億年前って、いつのことなの?」
 心配になって妹を病院へ連れて行くと、妹さんはすでに地球外生物に犯された状態ですし衛生当局へ通報しますと言われた。
 
 私は、妹と生物を抱えて病院を脱出し、宇宙船にこっそり乗り込んで地球を離れた。
 でも、それから妹はだんだん緑色の小さな体になっていき、生物はだんだん妹の姿になっていく。
 
「ゲピリウス星の生物は、気に入った相手と体の構造を交換するような能力があるんだよ」
 宇宙人の船長は、貨物室の隅で怯える私たちにそう話し掛ける。
「この生物は交換を繰り返しているから、元々どんな形だったのかよく分からないし、実は俺もその一匹さ」
 実は三日前から、私の額にも何かが生え始めていて

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