*食べだすけの島、春の豊かな食材
春、畑の大根やニンジン、アブラナ科の野菜達は花を咲かせるために塔立ちし始め、保存していた芋類も食べつくし、
夏野菜が成り始めるまで畑で採れる野菜は少なくなる。
春の野菜と言えばアスパラがにょきにょき出始め、スナップエンドウや実エンドウがちらほらでき始め、あとは菜の花食べ放題!状態になる。
しかし種類は少なく、そればかりでは飽きてくる。
夏野菜が成り始める6月頃まで、何を食べようかといつも考えるのだが、しかし意外と困ったことがない。
ここ淡路島は食が豊かな島で、4月になると野草や山菜などが出始める。
筍は困るほど出てきて茹でるのに忙しく、野ビルやカンゾウもわさわさ出始める。
庭に植えたユキノシタももりもり元気に大きく育ち、三つ葉やセリ、ヨモギ、ウドにタラも沢山自生している。
あく抜きなどの手間はあるけれど、蕗やイタドリもぐんぐん伸びてくる。取り放題だ。
春はこれらの苦みを食べて、冬の間に蓄えてしまった脂肪や毒素をここぞとばかりに排泄するのだ。
そしてお野菜も、地元の農家さんなどから有り余った野菜を惜しげもなく分けてもらえる。
ブロッコリーの脇芽や、細くて売れないほうれん草、規格外の新玉ねぎ、
虫食いの春キャベツ、などなど正規では売れない(売ることができない)
野菜がたくさん出るため、処分に困って分けてくれるのだ。
B級品とはいえ、調理してしまえば正規品となんら変わりなくいただくことができるもので、ひとつひとつ丁寧に育てたものなのに、惜しげもなく分けてくれる。
有りがたい事だ。
食料自給率は100%を優に超えている淡路島。
ここには「食べ助けしてくれ」という方言のような言葉があって、
食べきれなくて困っているから、食べるのを助けてくれ、と
あげる方が貰う方に頼むという不思議な会話が交わされる。
貰ってくれてありがとう、と言うのだ。
そんな「食べ助け」にいつも助けられ、野菜の少ない季節でも
なんやかんやと食べるものに困ったことがない。
梅が欲しいと言うと梅がやってくるし、琵琶が欲しいと言うと琵琶がやってくる島なのだ。
そんなに豊かな島なのに、スーパーに行けば他府県の野菜や加工品がたくさん並んでいて、それらを買いに来る人で溢れている。
美味しいものを求めてやって来るのだろうけれど、地元にたくさんあるのになぁ~と不思議に思う。
やっぱり目新しいものも食べてみたいよね。
地元には溢れんばかりの海の幸、山の幸があって、
まだまだ若い者には負けんぞとばかりに野菜や米を作るじいさんばあさんがいる。
食も自然も人も、地域資源に溢れ、何とも頼もしい、豊かで美味しい島なのだ。
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