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最終面接を受ける

今から最終面接だ。
合格率が約50%と言われている最終面接。
僕はこれまで2社の最終面接に落ちているので、全然気が抜けない。
「今度こそは。」
そう思うと少し肩が上がる。
それに気づき背筋を伸ばして肩の力を抜く。
今日は対面での面接だ。

家を出る直前、リクルートバッグのファスナーが1つ壊れた。
そんなことある?
両端から閉める仕様となっているため何とか片方のファスナーは助かったが、なぜか鞄の半分までしか閉められない。
何とか修理しようとしたが、どうやら根本的に壊れている。
電車に乗りながらも修理を試みたが無理そうだ。そうして諦めエッセイを書いている。
ヤケ酒ならぬヤケ書きだ。

ここで与えられた選択肢は3つ。
・新しい鞄を買う。
・壊れているのがバレないように社内を歩く。
・壊れたんですよと正直に言い、話のネタにする。
まず1つ目は時間がないので即却下だ。
2つ目だが良い感じに手の位置や鞄の方向を考えれば、たぶん可能だ。でも最終面接時にミッションが1つ増えてしまう。
最終面接時は鞄のことなんて考えたくない。
面接企業に着いてから鞄の開口部を上手く隠しながら歩くなんてマジシャンくらいしかしない。
逆にマジシャンのタレント事務所だったら受かりそうだ。ん?マジシャンって事務所所属なの?
色々考えた結果、やはり3つ目の選択肢は僕の心を最も落ち着かすことができると思う。
受付の人事部の方に「今日の朝に壊れてしまって...」と一言添えるくらいが丁度いいだろう。

電車を見回すとリクルートスーツを着た大学生がいる。最近、電車に乗るたびに1人以上はいる気がする。
みんな頑張ってるんだな。
別に話すわけでもないけれどそんなことを思う。僕は同世代に対して無条件に応援の気持ちを持っている。

最終面接はいつも通りしよう。
ダメだったら相性が合わなかったと思うようにしている。
とは言っても面接に落ちたら自分という人間を否定されたような気持ちになるから、有言実行はできていない。
面接に落ちると襲ってくるあの感情には何て名前をつければいいのだろうか。

今日は志望度の高い企業だから悔いがないように頑張ってこようと思う。
そろそろ電車が目的地に着きそうだ。
企業の場所をもう一度Googleマップで確認する。ルートを確認して、ネクタイを少し調整する。
では行ってきます。
手で鞄の開口部を隠しながら立ち上がった。

↓今日のオススメ曲

【補足情報】
今回のエッセイは、4月上旬に電車内で書いたものになります。本文中の“今から”や“本日”は、noteの投稿日や時間とは異なります。

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