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映画『ノーボーイズ,ノークライ』ネタバレ感想/妻夫木聡、ハ・ジョンウ共演の日韓共同映画

2009年制作(日本、韓国)
英題:The Boat
監督:キム・ヨンナム
脚本:渡辺あや
キャスト:妻夫木聡、ハ・ジョンウ、チャ・スヨン、徳永えり、イ・デヨン、キム・ブソン、貫地谷しほり、柄本佑、あがた森魚
配給:ファントム・フィルム

妻夫木聡、ハ・ジョンウ共演の日韓共同映画。母親に捨てられたヒョング(ハ・ジョンウ)は、日本で成功したおじに拾われ釜山から船で手作りのキムチと荷物を届けていた。裏の仕事と分かっていても何も考えず、お金をもらえているからいい、と何も期待せずただ生きている。

そんなヒョングはある日、何かの事件に巻き込まれ、意図せずおじを裏切ることになってしまう。ヒョングを陥れたのは、おじさんの親戚である享(妻夫木聡)であった。

享の妹は、おじの息子の嫁であるが、妹は誰かれ構わず関係をもち、3人の子供がいるが皆が皆夫の子ではない。そして、3番目の子供は病気であり、手術が必要であるが、そのお金がない。お金のため、家族のために何でもやるという享にヒョングは協力しようとする。

家族を連れて逃げようとする享にヒョングは3人の子供のうち、誰か一人置いていくとしたら誰にすると聞く。そんなこと聞くなと言いつつ享が答えたのは真ん中の子であった。人見知りしないし、一人でも生きていけるという。それは、母親が自分ではなく手のかかる弟を連れて行ったことにわだかまりを抱えていたヒョングへのアンサーともなるべき返答であった。

お金を得るはずがことごとくうまくいかず、家族を引き連れて行き詰まった享は、なぜかカラオケ大会に飛び入り参加する。そこで歌ったのはPUFFYの「アジアの純真」である。やけくそで歌う享を見てヒョングも飛び入り参加。

ハ・ジョンウと妻夫木聡が「アジアの純真」を歌う姿を見られるとは! それだけでなく、冒頭ではハ・ジョンウがカラオケで浜崎あゆみの「M」を歌う姿も。そう、本作は良きカラオケ映画でもある。ただ、2009年制作で、映画の時代設定も現代であるとすると、浜崎あゆみやPUFFYは少し懐メロになるのかも。

行き詰まっていた享と家族を守るためヒョングはある決意をする。奇妙な友情と家族の姿、そして息詰まった若者の姿を描く。2009年当時は中学生くらいであったが、ハ・ジョンウや妻夫木聡の服装を見て何だか懐かしい気持ちに。特にハ・ジョンウの絶妙に冴えないダサさが今見ると良い。

ハ・ジョンウは『神と共に』や『お嬢さん』などのダンディーな役や、『悪いやつら』のヤクザ、『チェイサー』の狂気犯など様々な役を演じてきた。そんなハ・ジョンウはダメ男が似合う役者だと思う。

『ノーボーイズ,ノークライ』のハ・ジョンウもだめな男であったが、ハ・ジョンウのマイ・ベスト・オブ・ダメ男は『素晴らしい一日』である。チョン・ドヨン演じるヒスは、仕事も金もなく、一年前に別れた恋人に貸した350万ウォンを返してもらうため会いにいく。

能天気で甲斐性なしダメ男・ビョンウンは、お金がないので新たに借金をしてヒスに返そうとする。ダメ男が金を借りにいくのについて行くヒス。ただそれだけの映画なのである。本当にダメダメなのにどこか優しくて憎めない。ハ・ジョンウ演じるダメ男の魅力だけで映画一本もってしまうのである。

見出し画像(C)「The Boat」フィルム・コミッティ

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