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孤児について 現状と要因を理解する

皆さんは、孤児という言葉を聞いてどんなことを想像しますか?

かわいそう、貧しい環境にいる、お金が不十分などをイメージする人が多いのではないかと思います。

しかし、頭でイメージできても、自分の想像上でしか判断していない人がほとんどです。

どんな家庭環境で、どのような問題が子どもたちに突き詰められているのか、今回は「孤児の現状とその要因」について書いていこうと思います。

孤児とはだれか?世界にはどれくらいいる?

まずは「孤児」の定義から確認してみます。

孤児・・・①両親のいない子。みなしご。②仲間のいない人(出典:デジタル辞泉)

ここまではまだ理解しているところです。しかし、世界各地で見てみると、、なんと社会養護施設で暮らす子どもの数は270万人!(大阪市の人口とほぼ同じ数字です)

日本では、現在約3万9000人の子どもが家庭事情により施設で暮らしています。簡単に表をつくってみました。

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(出典:平成29年12月厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課)

一般的に、社会施設で暮らすことができる子どもの年齢は18歳とされています。それ以上の年になると、退院してある程度自立した生活を送らなければなりません。しかし、生活基盤がきちんと整っていない中で、急に社会の中で溶け込むことは、なかなか難しいことです。

家庭事情が複雑な原因は?

孤児院で過ごす子どもたちは、様々な家庭事情により生きていくのに厳しい生活を余儀なくされています。主に考えられる要因は5つ。

家庭内崩壊・・・児童虐待、多額の借金、親のギャンブル依存、自殺
健康面での問題・・・心身の子育て疲れ
障がい・・・子育てへの無関心、偏見
HIV/エイズ・・・両親の不在
貧困・・・低所得者世帯、災害

特に近年問題となっていることは、「親の精神疾患」です。

つまり、「育児の仕方がわからない」「自由が奪われる」「身体的に疲れる」など、精神面できつくなって親が追い込まれてしまうケースが増えているとのことです。

問題となっている事は?

じゃあ結局何が問題となってるの?という疑問があるかと思いますが、調べたことをもとに、私なりに5つ考えてみました。(ここ大事)

1.日本人の里親(様々な理由で実の父母と暮らせない子どもたちを育てる親)に対する認知度が低い

→ これは、実際日本財団による2018年12月の調査で明らかになっています。アンケート調査で、大半の人が「名前は聞いたことがある」と回答していて、薄い認識でしか捉えられていない現実がある様子です。また、上の図でも示しましたが、4万5000人の社会養護施設へ送られる子どもがいる中、里親の数は6000人。自分に直接関りがないと関心を持たないという人が多いのかも。

2.主要な里親制度よりも、「施設」の拡充に努めようとする日本

→ 海外では、”家庭的な環境で育んであげること”が大切だとして、施設は補完的な立場にあるようです。世界と里親委託率を比較してみると、その数字にはびっくりです。日本が12%なのに対し、韓国43%、イタリア・ドイツ・フランス約50%、イギリス・アメリカ・香港約70%、オーストラリア93%とです。国によって里親制度に違いはあるので一概には言えませんが、日本は施設養護の依存が高いことがわかります。

3.利益が目的の孤児院の存在

→ 最近になって、孤児院へのボランティア活動や観光ツアーなどといって、孤児院を訪問する「孤児院ツーリズム」が広がっています。現地の人々のニーズに合った行動で活動ができれば問題はないと思いますが、運営側の私利私欲になる活動も目立ってきているようです。活動費用の使途や目的を、一般の参加側も事前によく確かめておきたいものです。

4.「夢や目標を立てて努力する」という発想が乏しい状況にある

→ 「将来はどんなことをしたい?」と子どもたちに話しても、彼らは将来よりも目の前の生活を何とか抜け出したいと考えている子がほとんどです。生きる意味や、学習をする目的さえ見失いかけている状況にいます。やりたいことがあっても、経済的な困窮で夢を諦める子も多くいるのが現実です。希望が持てないような環境の下で生き抜く子どもたちがいる事は、現実として受け止める必要があります。

5.地域社会との関わりが非常に少ない

→ 孤児院で過ごしている子どもたちは、生活支援を受けながら、そこの生活が当たり前の空間になってしまいます。しかし、長くてもそこにいることができるのは18歳まで。大人になるにつれ、社会の中で自立していくことを覚えていかなければいけません。しかし、自分の興味のある事に関してロールモデルとなる大人が身近にいなかったり、友達ができずらいことで疎外感を感じたりと、地域の中にうまく溶け込めるかどうかということも問題となっています。

まとめ

生活や家庭環境が複雑な状況にいる孤児の存在。

今回は「孤児について現状とその要因」について書きました。家庭内の崩壊、健康面での問題、障がい、貧困、HIV/エイなどの要因により、家庭環境に恵まれない子どもたちが多くいます。

里親や利益目的の孤児院の運営、社会人としてうまく適合していけるかどうかという事は、それぞれ今の社会問題と今後の課題です。

貧困やボランティアなどというと、聞こえがいいかもしれませんが、まずは彼らの存在をしっかり理解することが大切なのではないでしょうか。

次回は、「難民」について、教育の観点から書いていこうと思います。

読んでくださりありがとうございました!

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