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最低限の「防災」を考えるために2:身の安全を考える

「最低限の防災を考えるために」というテーマでお伝えしています。
前回の記事はこちらから。

個人に必要な最低限の「防災」ってなんだろう?|あじさい:備える防災 note|note

前回、考えてみた「防災」の目標例はこちらです。災害が発生したあと、こういう状態であるためには何を準備すればいいのか?考えました。

1.身の安全
―生き延びて動ける(生命の安全)
―災害発生時も住み続けられる(家屋の安全)

2.ものの備え
―とりあえず、発災後も食べ物・飲み物がある。家で生活できる。
―スマホの充電がある。連絡手段がある。

3.お金の話
―経済的に元の生活が送れる

今回は1.身の安全についてお伝えします。ここでは、発生すると被害が大きくなってしまう地震、津波、大雨による洪水・土砂災害・高潮を想定して書いてみます。

やるやらないを決めるリスクマネジメント

「身の安全」についてお伝えする前に、まずは簡単にリスクマネジメントのプロセスとリスクの対応についてお伝えします。

リスクマネジメントとは、一言でいうと、「リスクを洗い出して~対応するまでのプロセス」です。自然災害を例に挙げると、リスクマネジメントは次の図の通りです(厳密にはもう少し細かいのですが簡略化しています)。

リスクマネジメントの流れ

つまり、リスクの大きさが小さければ対応の必要性も小さくなるということ。やらないことが決まると人間、動きやすくなると言われています。

対応するリスクは、リスク発生の頻度Pと損害Dの2軸に整理できます。
自然災害は一般的に、発生頻度は小さいけれど、一度発生すれば大きな被害が発生すると言われています(左図の右下)。しかも、最近は気候変動の影響で大雨による災害が増えてきました。頻度も損害も大きくなっています(左図の右上)。

右図は、4つの領域に分けたリスクに対してそれぞれどのように対策する必要があるのかをまとめた図です。特に対応が必要なのは、「赤枠」で囲った部分、つまり損害が大きな部分です。

ちなみに、リスクの保有は何も対策せずそのままにしておく、軽減(対策)と書かれたところは、よく発生するけれども被害は小さいというところ。
例えば、大雨が降りそうだとわかっているときは、洗濯物を室内で干すことで雨にぬれずに済むといったものです。

リスクの対応

目標「身の安全」

―生き延びて動ける。(生命の安全)
―災害発生時も住み続けられる(家屋の安全)

家の「場所」が大きく影響しますので、まずは家の「場所」についてハザードマップで調べるということが大切です。これにより、うちでは起こりえない自然災害というのも見つかると思います。やらないことが分かれば、他に時間やお金、労力を費やせますね。

例えば、あじさいの自宅は「津波」「高潮」「洪水」「土砂災害」については考えなくてOKです(海岸から数十キロ離れた台地(住宅地の中)で、最寄り河川は長い坂の下にあります)。つまり、上の図に照らせば地震だけリスクの程度を把握して、対応すればよいことになります。

  1. 地震(ゆれ、液状化)
    家が倒壊する/しない?、傾く?傾かない?、住める?/住めない?

    ・建物の耐震状況は、お住まいの建築年を確認しましょう。
    ―新耐震基準or旧耐震基準かを確認します。
    1982年よりも前に建てられたか、それよりも後か?
    (厳密には1981年5月31日までに建築確認を受けたのか、それ以降かで区別されます。)

    新耐震基準の建物であれば、建築基準法によって震度7の大きなでも建物が倒壊しないレベルの設計が行われています(倒壊しないレベルなので、被害が生じる可能性は十分にある)。旧耐震基準の「震度5強程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」という基準から強化されています。

    戸建てに多い木造建築については、2000年にも建築基準法が改定され、地盤調査が必須になり、部材に関する規定などが明記されるようになりました。


    詳しくはこちらを↓
    自然災害と家とお金:3-2. 地震の揺れで家は壊れてしまうの?|あじさい:備える防災 note|note

    液状化のリスクは、各自治体のハザードマップを確認してみることをおすすめします。

  2. 津波
    沿岸部、もしくは、海から近いところにお住まいの方は各自治体のハザードマップを確認します。

  3. 洪水・土砂災害・高潮
    ハザードマップを確認しましょう。下記の「参考」もぜひ、ご確認ください。


    ハザードマップを見るなら、こちらから↓
    自分の住んでいるところの自然災害が調べられます!
    ハザードマップポータルサイト (gsi.go.jp)

    ハザードマップの見方はこちらを!
    まずは「知る」:ハザードマップその2 ちょっと楽な見つけ方|あじさい:備える防災 note|note

参考:ハザードマップを確認するメリット
よくハザードマップを見ましょうと言われることがあるかと思いますが、なぜ見ておいた方がいいのでしょうか。これは、備えの優先順位が決められるからです。たとえば、海から離れた場所に住んでいるのであれば、津波の備えは必要ないですよね。市街地で周りはマンションだらけの場合、土砂災害については見ないと思います。「考えなくてもいいこと」が分かるためにも一度確認されることをおすすめします。

注意点を。
1)ハザードマップは特定の大きな災害を仮定して作成されることが多いです。ハザードマップの危険範囲に含まれていない=対策しなくてOKとは、絶対には言い切れないケースがあります。
2)高潮・土砂災害・洪水に関してはマップがまだ作られていない地域もあります。そのため、河川に近い、海が近い、家の裏手に急傾斜の斜面や山、渓流がある場合は要注意です。
3)ハザードマップは時折見直されることがあります。しばらくマップを見たことがない方も更新されていることがあります。ぜひ、この機会に確認を!

対応策を考える


危険がある場合、一番リスクを低下させるのは「リスクが低い場所へ引っ越し」、リスクを回避することです。これから引っ越そう、家を建てようという方はおうちを探す際にハザードマップを見ることを強くおすすめします。

不動産屋さんで物件の契約をする際、「重要事項説明(重説)」という説明がありまして、その中でも自然災害について説明されます。最近は、洪水や高潮、土砂災害についても説明が行われますが、定められている内容では不十分なこともあります。また、液状化については説明対象外です……。

「いや、でも引っ越せないし……。」
結局、防災で難しいのはここだと思います。家って、持ち家の場合は特に引っ越しが難しい。自然災害のリスクがあるなら、危ないところを避けて住んでほしいと願うものの、実際には難しいですよね。

あれこれ防災の記事を書いていますが、10年ぐらい前に母が購入した実家は九十九里で家から徒歩5分で海。完成したのは東日本大震災の半年前……。
建てた場所を後から聞きまして呆然としました。。

リスクの回避ができないならどうすればよいのか。
「転嫁」をすることになります。責任転嫁の「転嫁」です。

それは、次回、目標「お金の話」で。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。

あじさい

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