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筋肉カレシ。

かなり昔の話です。
20代の頃、ムッキムキな彼氏ができました。

友人の紹介で知り合い、丹精なお顔立ちと
爽やかなナイスガイぶりに好感を持ち、
その後初デートをしました。

初対面の時、シャツの腕部分が異様にモリモリ
盛り上がっている事に気付きました。
聞けばボディビルをされているそうで、
腕だけでなく、全身も何かモリモリしていました。大学の助教授をされてるとかで「日体大ですか?」と聞いたら、超一流国立大学の方でした。しかも、筋肉の研究をしておられるとか。もはや筋肉愛が過ぎて、自らも研究対象になっていたようです。

何度かお会いするうちに、お付き合いするように
なりました。真面目で誠実、とっても優しい。
おまけに色んな事を一緒に楽しめて、最高の彼
と思っていました。でも筋肉だけは、大盛り過ぎて
ちょっと引いていました(ごめんなさい、悪気ないです)。

しかし、半年もお付き合いすれば、
だんだん素の部分や私生活が見えて来ます。
彼はやはり、筋肉愛が過ぎて筋肉に支配されて
いる人でした。
ボディービルの大会前は、食事制限。
一緒にごはんを食べに行っても、アルコールは
飲まないし野菜中心の食事。それでも、一生懸命
なんだな、と思って気にしませんでした。

ところが、筋肉な事件が起きました。
ある夏の日、彼の車で海へドライブへ。
BGMはJoe Cockerの 「You are so beautiful 
〜 美し過ぎて〜」でした。

http://www.youtube.com/watch?v=9rmGcE6m3KI


youtube

海をバックにムキムキの腕がハンドルを握る車内。
かすれたような声で、君は美しいと囁くムーディーな曲が流れる。そして彼は「君は美しい」と私に
言ってくれました。
、、、何故だろう、嬉しくない。
海、筋肉、ハンドル、ムーディーなBGM。
どうもなんか、マッチしてない。。。
でも素敵な言葉を言ってくれたから、
感謝の言葉を返さなきゃ、と思ったその時

いきなり「ピピピピ!!」とタイマー音が。

彼はタイマーをどこからか出して来て、
「ごめん、大会近いから。プロテインの時間だ」
と車を側道に止め、またどこかからタッパーを
取り出し、中のプロテインパウダーをスプーンで
すくって豪華にお口へ。
そして再び、口の周りを粉だらけにしながら、
私を見て「君は美しい」と言いました。
私は、引いてしまいました。。。
そして彼の筋肉愛を受け入れられないんだ、
と自覚しました。
しばらくして、お別れしました。

今にしてみれば、誠実で優しく、素晴らしい男性
だった。。。彼の筋肉愛を受け入れられなかった
若かりし頃の私。筋肉な思い出です。
彼と筋肉はどうしているのかしら。


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