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君のようになりたいけど、「ならなくていい」と君は言う。

5/30。

4:37起床。

天気は晴れ。


1.

優しい人間になりたい。


君のように優しい人間に。


でも、いつも君は言うんだ。


「あなたは、充分優しい人だよ」


僕は言う。


「そんなことないよ」


君は、ちょっとむっとする。


「そんなことあるよ」


そうかなあ。


君を怒らせたくないので、そこで話を切り上げる。


僕は考える。


君は、優しい人間だと思う。


優しい人間がどういうものなのか、知らないけど。


知らないけど、わかるんだ。


君は、優しい人。

2.

どうして優しくなりたいんだろう。


僕は考える。


君が、優しい人だから?


優しい人のそばにいるには、優しい人である必要があるから?


でも、僕はもう、君のそばにいる。


それって、つまり、僕は優しい人間である証明になるんだろうか。……ならないだろうな。僕は自分を、優しい人間だと思えないから。


けれど、優しい人間は、自分のことを優しい人間だと思うもんなんだろうか?


僕が「優しい」と思う人達は、自分のことを「優しい」と言わないし、思ってもない気がする。


難しいな。


どうすれば優しくなれるんだろう?


どうなれば「優しい」と言えるんだろう?


それがわからなきゃ、僕は一生優しい人間になれないよ……。


僕はこれからも、君のそばにいたいのに。


そんなことを考え出すと止まらなくなって、僕は涙が出そうになる。


もう、ひとりになるのは厭だ。


ひとりになるのは……。


ほら、やっぱり。


自分のことしか考えられない僕は、誰よりも冷たい人間だ。

3.

そういえば。


僕は、思い出す。


大好きなアーティストの大好きなことばを。

「優しくなりたい」と願う
君は 誰よりも
優しい人 ルララ

――BUMP OF CHICKEN『Stage of the ground』より引用

ああ、そうだった。


僕はこの曲を聴いて、希望を持ったんだ。


自分みたいな人間も、優しくなれるんじゃないかって。


10年以上前に初めて聴いたときに、思ったんだ……。


いいや、ちょっと違うな。


僕は思う。


優しい人間っていうのは、「なる」ものじゃなくて、「なっている」ものなんだ。


きっと、君もそうなんだ。


そして、僕も……。


「君のようになりたい」


僕は、口ぐせのように言う。


「ならなくていい」


君は言う。


今なら、君の気持ちがわかる気がする。


そして、君の優しさも。


「僕は、僕のままでいいんだね」


今なら、君を笑わせられる気がした。

Stage of the ground/BUMP OF CHICKEN(2002年)





「僕だけが、鳴いている」


これは、
僕と、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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