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まず最初に作ったのはこんな話 『ポニイテイル』★41★

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その星のほとんどの動物は時間を守ることが苦手でした。

『人間だけが通う学校』とちがって、登校時間が決まっていないため、ありくいとかマレーばくとか、のんきな子は『午前中はもういいや』という雰囲気で、動物度が高いあども時間なんてもちろん無視でした。

彼女は森の広場を通って学校へ通うのですが、大雨の翌日にはでっかい水たまりができるポイントがあって、その水面が太陽の光でキラキラしていたりしたら……

「やった! 湖っ!」

さっそく葉っぱの舟を浮かべます。大きく曲がった木の枝を拾ってきて地面に突きさし、橋を建設。ドロで港や灯台を作り、なんとか運んだ巨大な重い石はやはり無人島でしょう。こうなってくると空想が始まって、午前中に学校につくのはむずかしくなります。ひんやりとした水たまりのど真ん中を『基本午後から登校派』のマレーばくが横ぎるのを見て、ようやく学校のソンザイを思い出して走り出す——。

つまりあどは11才まで、あわれなくらいボーーッとしていたのです。

でも——

6月6日のことでした。しかも朝の6時6分! 
その日はどしゃぶりのひどい天気で、湖みたいな水たまりを楽しみにするどころか、大こうずいが起きるんじゃないかってこわくなる朝でした。そんな早朝、あどはベッドの中でいきなり、物語を書くことを思いつきました。

まず最初に作ったのはこんな話でした。誰もいない体育館、空中をまっているホコリが窓から入る太陽の光に照らされているのを見て空想した『ホコリ川をわたるチリ星とホコリ姫の話』です。

* * *

ホコリの国。そこではきたないものがきれい。うつくしいような、みにくいような世界です。はなればなれの2人は1年に1回、ホコリ川が金色にかがやく朝に会うことができるのです。

「ホコリ姫!」
「チ、チリ星さま! まあ! ホコリをいっぱい、肩にのせていらっしゃるのね」
「ありがとう。あなたこそ毛玉だらけのそのセーター、とてもにあっています」
「あら、はずかしい。あ、そうですわ! 1年間かけてそうじ機の中ににためておいたホコリがあります。チリ星さまのことを思って、せっせとためました」

そうじ機をかけることは、この世界ではとても勇気がいることなのです。
チリ星は驚いてホコリ姫にたずねます。

「わたしのために……そうじ機をかけてくださったのか」
「ええ。あなたが来たときに、ありったけのホコリをプレゼントしようと思って」

ホコリ姫はにっこりわらいました。
キラリ☆
姫の歯が黄色く光ってみえます。
この日のために1年間、歯をみがかないでいたのです。


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