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私がスーパーで痴漢されてから、警察に相談するまでのこと

今年の4月と6月に、スーパーマーケットの店内で痴漢をされました
はじめに言っておくと、これまでの人生でスーパーの中で痴漢に遭ったことは一度もなかったので、立て続けにこうしたことが起きて、すごく驚きました。

で、なぜわざわざそのことについて書こうと思ったかというと、痴漢の被害を減らしたいし、痴漢は捕まって欲しいし、同じように被害にあってどうしたら良いかわからず困っている人がいるんじゃないかと思ったからです。

結論から言うと「痴漢に遭ったら声を上げて、できれば相手の写真を撮る。そしてすぐに110番をする」ことで、痴漢被害を減らしたり、犯人の逮捕に繋がりやすくなるようです。

このnoteでは、痴漢の具体的な状況、家族や友人の反応、スーパーの責任者の言葉、警察とのやりとりについて、最後に性犯罪の統計と、順を追って書いていきます。

性犯罪の抑制や、被害者の方の助けに少しでもなれますように。

スーパーA:4月の平日昼過ぎ、ガラガラの店内で

その日私は、近所に住む友だちとお茶をして、13時過ぎにスーパーに入りました。お昼時だったためか、店内は空いていて、買い物している高齢な女性が数人いるかな、というくらい。

私は買い物カゴを片手に、入り口からまっすぐ進んで奥にある、魚の切り身などが入ったショウケースをみていました。
その時、お尻を”トン”と触られた感触があって振り向くと、身長170cmほどでキャップをかぶってTシャツに短パン姿の30代くらいの男が通り過ぎて行きました。

それくらいだったら、間違いじゃないか?と思う人もいるかもしれませんが、明らかに空いている店内で、通路は広く、後ろを通るときに偶然手が当たるなんていうことはあり得ない状況でした。それにそもそも、日常生活で他人の手がお尻に当たることなんてそうそう起きませんよね。

「いま触られた」と思ったけど、びっくりして何も言えずに男を見ていると、落ち着いた様子で店内を歩き、カゴにお弁当を入れてレジに向かい、買って帰っていました。

スーパーB:6月土曜の夕方に狭い通路で

4月と6月に痴漢に遭ったと書くと、同じスーパーで、同じ人からと思った方もいるかもしれませんが、4月に痴漢にあったスーパーとは別の店で別の人から被害に遭いました。

その日は土曜日の夕方で、店内は週末の買い出しをするお客さんで普段よりも混んでいました。


私は、狭い通路の調味料が並ぶ棚を見ていました。すると、視界の隅に早足に歩いてくる人が見えて、そう思っているうちにお尻を”トン”と触られて、すぐに振り向くと、男は走って通路から出て行きました。追いかけましたが、姿が見えなくなりました。

明らかに4月の人とは別人で、手に何も持っておらず、身長160cmほどで50歳前後くらいの男でした。

痴漢被害を夫や友人に話した

4月に痴漢に遭ったあと、夫にそのことを話したら、怒ってくれるかなと思いきや、「お尻突き出して商品見てたんじゃないの?」と言われ、すごく残念な気持ちになりました。

2件とも、屈んだ姿勢ではなくほぼ真っ直ぐ立っていた時に起きたことで、お尻突き出して商品なんか見ていなかったし、露出が高い服装でもなく、6月の時はスッピンにキャップ姿で、特に女性らしい外見でもなかったと思います。

だからこそ、その夫の反応に落胆して、6月に痴漢に遭った時はしばらく言いませんでした。

でもやっぱりもやもやしていたので、何人か同性の友人に話しました。その中の一人が、「また同じ目に遭うかもしれないし、他の人がされてるかもしれない。お店の人に”ここに痴漢いますよ”って言った方がいいんじゃない?」と言ったことをきっかけに、お店に伝えようという決心がつきました。

それぞれのスーパーの責任者の反応は全然違った

いざ、よし言いに行くぞ!と思っても、実際にお店の人に声をかけることはすごく勇気がいったし、正直あまり気が進みませんでしたが、
このまま黙って泣き寝入りしたら、痴漢の思うツボだ”と自分を奮い立たせて、スーパーに行きました。

はじめに6月に被害に遭ったスーパーBに行くと、ちょうどレジに責任者らしき人がいたので、その人が手が空いたタイミングで、「前にここで痴漢にあったんですけど、その話を聞いてもらえますか?」と声を掛けると、
聞き間違いだと思ったのか「え?」と聞き直されて、「痴漢に遭ったんです」と言うと、目を見開いて驚いていました。

幸か不幸か、そのお店含め他店舗でも、店内での痴漢被害はこれまで1件もないとのことで、「もし次に同じことがあったら、大きな声で”痴漢です!”と言ってもらえれば、店員が駆けつけますので、そうしてください」と言われました。

別の店での被害についても伝えると「お客様自身が狙われている可能性もあります」と言われ、「お店で、四六時中それに注意しておくわけにはいかないので、ご自分で気をつけてください」と念押しされました。
また「防犯カメラの映像は、警察からの要請があれば、店として協力します」なども言っていました。

その責任者の方の言っていることは正論だと思うのですが、はじめに声を掛けた時から終始「面倒なことが起きたな」という雰囲気で、その店を後にするときも「話して良かった」とは思えませんでした。

で、そんなことがあって気が進まないながらも、次に4月に被害に遭ったスーパーAに行きました。

そこのスーパーは出口付近にいつも警備員さんがいるので、そのおじさんに「このお店で痴漢にあったので、責任者の方にお話しできますか」と話すと、「そんなことが…」と驚いて、「ちょっと待ってください」と女性の社員さん?に事情を説明してくれました。その女性も驚いた表情をした後、「責任者を呼びます」と優しく声をかけてくれて、その2人が事態を真摯に受け止めてくれようとするのが伝わってきて、それだけでなんだか泣きそうになりました。

そして、お店の責任者の方を呼んでくれて、その人に具体的な状況について説明すると、やはりそこでも「店内でのお客様に対する痴漢は、他店舗でも聞いたことがない」と言われました。

「でも、実は店員に対するストーカーのようなことは、よくあるんです」と教えてくれました。「特定の店員のレジに並んだり、勤務が終わる頃に外で待っていることなんかがあり、半年前もそれで警察に相談して…」という話を聞いて、そんなことが身近なスーパーで起きているのかと、私が逆に驚かされました。

そこの責任者の方は、もし同じようなことが起きたらどうしたらいいですか?という私の問いかけに対して、一緒に頭を悩ませてくれて、「小田急線の事件のこともあるし、何が起きるか分からないから、捕まえようとするのも危ない…それに、今は声をあげようと思っていても、とっさに声を上げるのは難しいかもしれないから、防犯ブザーのようなものを持ち歩くのもいいかもしれませんね…」などなど、対策を色々考えてくれました。

「他店舗にも共有しますし、万引きの警備が定期的に来るので、万引きと併せてそうしたことに注意することはできると思います」と言ってもらい、「話してよかった」と思いながら、店を後にしました。

最後に警察に電話した

そしてそんなこんなしていたら、たまたま「痴漢はすぐに110番!」という看板を目にして、警察にも電話しておこうと思い、性犯罪被害相談電話(ハートさん)に電話をしました。

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引用元:警視庁「防犯チェックポイント~女性のための防犯対策〜」

電話に出た方は男性でしたが、丁寧に話に耳を傾けてくれて、「これからは、もし痴漢に遭ったり、何か変だなと思うことがあったら、迷わず110番してくださいね」と何度も言っていました。

わいせつや強姦の被害に発展しないか、ストーカーの可能性はないかということを視野に入れ、私自身の身の安全を考えてくれている様子に、「次に被害に遭うことがあったら、絶対に110番通報しよう」と決めました。

実はわたしは、そうやってお店や警察に相談する前まで、次に被害に遭ったら、自分で犯人を捕まえようと考えていました。
腕を掴んだら振り払われるかもしれないから、ベルトやズボンの腰の辺りを持ったらいいかな… 犯人が走って逃げたら「その人痴漢です!捕まえてください!」と叫びながら、追いかけられるところまで追いかけようかな… 催涙スプレーを持ち歩こうかな… とか、そんなことを考えていました。

でも最終的には、捕まえようとして突き飛ばされたりしたら怖いから、自分を守る意味でも、大きな声で助けを求めることがその場の対応としては一番良いのかなと思いました。そして、スマホで犯人の写真を撮っておくこと。スーパーの防犯カメラは録画期間があったり、警察しか見れなかったりするようなので。

大声を出したり、写真を撮ることで、犯人が「捕まるかもしれない」という現実的な恐怖を感じることは、少なからず被害の抑制になると思うし、声を上げることで、通りがかりの人が捕まえてくれるかもしれません。
(だから周囲にいる方は、被害に遭った人に遭遇したら、助けられそうであれば、どうか助けて欲しいです。。)

そしてもう一つ、できる人は勇気を出して「被害に遭いました」って声を上げることが大切なのだと、改めて感じました。
声を上げなければ、警察はじめ周囲の人に認知さえしてもらえません。また誰かが声を上げることで、他に被害に遭っている人が「私も」と声を上げやすくなるかもしれません。
電話相談をする中で、そうやって声を上げる被害者が多いほど、警察が本格的な捜査に乗り出して、そのことで犯人の検挙率も上がっていくのだと気付きました。

だからこそ、痴漢や性被害に遭ったら声を上げる!110番する!こうした意識が、もっと広まって欲しいと、願っています(もちろん、被害を訴えることは大きな苦痛を伴うことなので、被害者の方の意思が最優先です)。

最後に性犯罪の統計

これは私個人の勝手な予想なのですが、今までそんなことはなかったのに今年に入って突然スーパーで立て続けに痴漢に遭ったことは、コロナ禍であることと関連しているのではないかと考えてしまいます。

電話相談の時に「痴漢や性犯罪はコロナ禍で増えていますか?」と聞くと、令和2年は外出を控えた人が多かったため、犯罪件数全体としてはむしろ減っているけど、今年度のことはわからないとの回答でした。

下のグラフからもわかるように、普段ならば痴漢の大半は電車内および駅構内で起きています。ただ、去年の非常事態宣言以降、電車通勤する人が減り、電車内や駅構内は以前よりも痴漢しづらい状況になっています。また、痴漢本人も在宅ワークになったとしたら、犯行を行うチャンスは確実に減るでしょう。

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そうした状況から、痴漢の常習者が街でも犯行に及ぶようになったのではないか?と思うのです。
でもこればかりは、完全に予想の範囲を出ない話なので、もし何か身近でそういうことを聞いたとか、同じように被害に遭った方がいたら教えてください。

※グラフは全て、警視庁が発表している都内の状況(令和元年中)です。こちらから引用しています。

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ピークの時間帯はありながらも、強制性交、わいせつ、痴漢すべて、朝も昼も夜も発生している状況がわかります。

こうした犯罪の被害を、少しでも減らせますように。
この投稿が、誰かの、何かの役に立ちますように。

長文にも関わらず、最後までお読みくださった方、ありがとうございました。

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