2024.01.01 そして、どうしても伝えたいこと
朝活で習慣化された「4:30」起床。自然と目が覚める。
時々の寝坊は大目に見る。(笑)
そして、いつも通りのルーティンで、PCを開ける。
我が家の元旦は「ニューイヤー駅伝」を見ることから始まる。群馬県庁をスタート、フィニッシュにする全長100km、赤城颪(あかぎおろし)とよばれる空っ風との戦いの駅伝である。
41のチームが競い合う。2番手、3番手の選手になると「15人抜き」、「20人抜き」なんてくるのもなかな興味深い。
今年初めて「下加茂茶寮のおせち」というのを購入した。私の中に「おせち」を買う文化も、ましてやラジオショッピングで購入するなんて挑戦もしたことがなく、人生初の出来事。
なぜおせちを購入?
私は小山薫堂(こやまくんどう)氏の声が好きで、彼が出ているラジオ番組を、車で遠出するときには必ず聞くようにしている。
(FM横浜 FUTURESCAPE SAT 9:00~11:00)
※小山薫堂(こやまくんどう)さんとは、放送作家、くまモンの生みの親。活動は多岐にわたる。
この「フューチャースケープ」という番組は、25年も続いている超長寿番組。
25年てことは銀婚式じゃん、で、12/23にはリスナーを招待してホテルで銀婚式をやりながら生放送をする、っていうイベントを行っていた。(私は、っていうと、応募したけど大外れ!超ガッカリ) しかしすごい長寿番組!驚いた~!!!
また、話がそれたぞ。軌道修正。
11月の放送の中で、紹介された「下加茂茶寮の豪華おせち」。
いつもなら、ふーん、で聞き流すところを
「薫堂さんが代表をされているお店ですよね。」
えっ? どゆこと? ちょっとなんて言った?
運転しながら、速攻娘に指示!
「今すぐ調べて!」
かいつまんで書くと、
薫堂さんが下鴨茶寮(京都)から仕事を依頼され、お店に行くこともしばしば。
その仕事ぶりを、女将から気に入られたらしい。
下鴨茶寮が売りに出て(なぜ売りに出たのかはまだ調査中(笑))、薫堂さんが引き継ぎそうな友人を紹介しようとしたら、
女将から、「あなたが、買ってちょうだい」
「女将、そんなお金ありませんよ~」
「銀行行って、借りなさい!」てな経緯だったようです。
そんな話を聞いたら、私がポチっとしないわけないじゃないですか。
でも、運転中だし、目的地に到着したら、ポチってしようと決めて、思いきりアクセルを踏み込みましたよ、はい。
やっと到着。しかし、「アクセスが集中していてつながりません」
えーっ、早くしないと売り切れちゃうじゃん!!!
みたいな感じでやっとゲットした「おせち」でございます。
それをおいしくいただき、まったり正月を満喫し、読書したりしているうちに急に目が開かなくなるほどの睡魔が襲ってきた。
お正月だし、ゆっくりしていいじゃん。床暖でぬくぬくしながら、しばしの休憩。あったかいなぁ、、、
揺れてる!
突然、娘が「揺れてる!」
床に寝ている私は、
な~に~?、揺れてなんかいないよ。何夢みてんの?
ほら、揺れてる!
床に寝転がってる私は全く分からない。
ん?もしかしたら、また変な夢見てる~?のわたし。
まだ、まどろんでる中に、
能登で地震だって!
能登の地震で神奈川県まで揺れるわけないじゃん。馬鹿じゃないの?
って、バカなのは私であった。
震度が震度5強!
いや、震度6強だ!
震度7に変更になった!娘がケータイ片手に絶叫し、PCを開く。
すごいことになっているらしい。
津波警報が出ました!
ほどなくアナウンサーが絶叫し始める。
「大津波警報に変わりました。命を守ってください。高台に逃げてください。高台がない場合は高い建物に逃げてください。とにかく命を守ってください。」
もうすでに津波は到達していますっ!!!
PCの画面には、能登半島が真っ赤、日本海沿岸が黄色で点滅している地図が出ている。
寝起きで、何が起きているのか、まったくわからない状態での、地震情報。
とんでもないことが起こっていることだけはわかっているが、まさかそんな大事件が2024年元旦に起こるとは?
震度7?
想像もつかない。どれだけの恐怖であったろう。
もう日も暮れた。避難所に避難できたであろうか。道路は走れる状況なのか。津波は引き海のほうが被害が大きくなる、それも3.11福島地震で理解している。
何もできない自分にいらだつ。
しかし、一つ学んできたことがある。
ここで、言うことは不謹慎になるのかもしれない。
だけど、この機会でないと伝えられないかもしれない。
勇気を振り絞って言葉にしてみようと思う。
2020年6月末
私は熊本県を訪れていた。
熊本空港から入り、学び、体験しながら南に下り、鹿児島空港から帰路に就くルートの旅。
その中のひとつに、球磨川でラフティングをする予定であった。しかし、球磨川の水量が多く、流れも速いので、ラフティング会社から運行キャンセルの連絡が入った。
ラフティング時間がぽっかりあいたので、急遽田植えに予定変更。生まれて初めての田植え。
裸足になって、田んぼの温かさ、ふぉわふぉわ の柔らかい田んぼを足の裏で満喫。
田んぼの水はすきとおっており、大きなタニシがたくさんいる。
これが日本古来の本当の自然の田んぼらしい。ふぉわふぉわに足を取られてひっくり返りそうになりながらも、めちゃくちゃ楽しかった。
泥は、田んぼ横の温泉(?)で流し、田んぼの持ち主のウナギ屋さんで昼食をいただく。関東人の私は背開きのお頭付きのウナギに驚いた。そうか。背開きか。
それは、今までいただいたウナギの中で絶品すぎで。舌鼓を打ちつつけた。予定変更がなければいただけなかった絶品のご馳走。
ツアーは盛りだくさんで、食育と称し、平飼いした鶏をその場でさばいて、感謝して命をいただく。食育の神様が目をつむらせると鶏も観念し、最後の時を待つ。すごすぎる儀式。
最初はキャー、かわいそう!だったのが、お湯に入れ、毛をむしり、それを部位ごとにさばいていくと、それぞれの口から出てくる言葉は、おいしそう!と変換していく。
なんて、人間て自分勝手なんだろう。と思いながら、命の尊さ、そしてその命をいただくことに感謝の念を持った。普段こんなことを思う、ということさえ、浮かばないのに。
そんな初体験つづきの体験をして、球磨焼酎の酒蔵見学へ。
人吉市を満喫し、その日は、球磨川のほとり、部屋の窓から球磨川がよく見える素敵な旅館に宿泊した。窓から見える球磨川は、川の水は茶色に濁り、水かさは多く、素人の私でさえ、ラフティング中止の判断は正しかったと思った。
次の日、移動のバスの中で「田植えした田んぼの稲刈りしたい!」「特攻隊を学びたい!」との話になり、近々、人吉・知覧ツアーを開催しよう、と話がまとまり、次回は知覧でお会いしましょう、で、その時のツアーは解散した。
球磨川が決壊
帰路についてほんの数日後、球磨川が決壊した。
えっ?つい何日か前まで私がいたところ。
上空から撮影された人吉の町はほとんどが茶色い水に覆われ、ところどころに建物が浮いているように見える。
そして、私も被災していたかもしれない、という事に気づいた。
人吉・知覧ツアー
予定通りツアーが開催されることとなった。「稲刈り」の予定が「人吉の災害見舞」に変更された。前回のツアーで見学、体験させていただいたところが、今どうなっているのか、この目で事実を確かめるために、羽田を離陸した。
私はただの旅行者である。けれども、事実を事実として伝えられる生き証人の1人なのだ、ということは、この時はまだ気づきもしなかった。
「想像を絶する」という表現はまさにここで使うべきなのであろう、と思うった。私の目に焼き付けた風景とは全く違う風景だ。
田植えをした田んぼもウナギ屋さんも流れた。
前回お世話になった方のおうちもすべて流れた。
素敵な旅館は川のほとりにあった温泉も何もかもがすべて土砂に埋まり、全く機能しなくなった。
青井阿蘇(あおいあそ)神社も、国宝の社殿などが浸水被害。蓮池には蓮がなく、茶色の水のただの池。お太鼓橋の欄干も全壊に近い。通行禁止のパイロンが置かれ、ここまで水が上がりました、御門に残る水が来た跡を示して説明してくださる宮司さん。どの方も表情が暗い。
球磨川にかかる大きな橋も半分流されていたり、ただでさえ、ボキャ貧乏の私には、言葉が全く出なかった。
本当に伝えたいこと
前置きが本当に長くなりました。ここからが伝えたいことです。お読みになって不快に思われそうな方は先に進むのはおやめください。せっかくのあなたの時間を私のために使ってしまうことは大変申し訳ないので。
ただ私は、口伝として、お伝えしなければならないと思っただけなので。
お聞きした話を
安否確認
災害が起こったときに、あなたの心配は必要ありません。助けてほしければこちらから連絡します。そして、充電器も充電する場所もない私たちの携帯に連絡しないでください。充電がどんどん少なくなり、ただでさえ、心の余裕がないのに、ますます不安で心がいっぱいになっていしまします。だから、助けて!を言うための大切なツール、その時に連絡ができるように携帯の充電を保たせてください。お気を悪くなさらないでください。再度言います。あなたの心配は私たちには必要ありません。あなたが安心するだけで、私たちは不安が募るばかりなので。
お手伝い
被災してすぐのころは本当にありがたいです。土砂などの取り除きは力仕事なので、男手(人手)が必要です。でも、不慣れな方が来ることは申し訳ありませんが、お断りしたいです。
本当にわがままだと思っています。
私たちは必死です。元の生活に戻るために一生懸命です。そこへ、何をすればいいかと質問攻め、せっかく片付いたころにまたごみを山積みするとか、最初は我慢ができていても疲労がかさんでくるのと、心に余裕がないので、イライラも募ります。
でもせっかく遠くから来ていただいたから、と私たちもお礼をしたいと思い、温かい汁物とかを用意したいと思います。でも、それをしなければと思うこともだんだんと負担になってきます。
本当にわがままだと思っています。皆さんの暖かい気持ちを踏みにじることになる思いだということは重々承知しています。
でも私たちの思いも聞いてください。
支援物資
もし、送ってくださるなら、何が入っているかを箱の外に記載していただけると助かります。
支援物資を分別する場所、品物を広げる場所もないんです。土がついたら使い物になりません。
支援物資を被災地でなく、被災地の近くで、分別を担当してくださる方がいて、なおかつ必要としている人のところへ届けてくれる、というシステムができていれば別なんです。でもここはほとんどの人が被災し、命を落とした人もたくさんいて、とてもそんなことはできませんでした。だから、支援物資が来ると暗い気持ちになりました。
それでは、一番必要なものは何ですか?
本当にお恥ずかしい話です。ですが、あえてお話ししします。
やはり、お金です。お金があれば必要なものが買える。
申し訳ないですが、支援物資は求めていないものが送られてくる。必要な人がいなれば皆さんの暖かい気持ちでいっぱいの品物が不必要なもの(ゴミ)になってしまうんです。そして、ゴミとなってしまったものをまたしても処分しなければならない。
水が引いてからの私たちの仕事は、周りの片付けから始まり、ゴミを置く場所を家の周りに確保します。そこに家の中のごみ、タタミや、水がついて使えない電化製品や、家の中に残っているものはすべてゴミです。もう水が付いたものは不衛生ですし、まったく使い物になりません。
しかし、ごみを回収に来てくれるはずもなく、自力で清掃工場に持参するしかないんです。しかし、そのごみを清掃工場まで運ぶには軽トラが必要です。
でもその軽トラも流れて行ってしまいました。にっちもさっちもいきません。
必要な人に必要なものが届けられない。
農業をしていたのに耕運機も農具も何もかも流されてしまいました。そして残されたものはゴミだけ。
人吉市より、河口に近い町は全壊しています。亡くなった方もたくさんいます。そこよりはずっと恵まれています。
球磨川の左岸、右岸で被災の仕方が違いました。だから、ちょっと行けば被災していないお店があるんです。でも、被災した家は家財道具もお金も服も何もかも流されて行ってしまいました。
本当に必要なものが手元にないんです。軽トラが必要だよね。なんて、ぽんとくれる人なんていません。
でも、お金を寄付していただければ、少しずつ私たちが必要なものが必要な人に届く。
軽トラを買ってもらった人は、清掃工場に持ち込むことができる。そして周りのお宅のごみも持って行ってあげる、なんて、住民同士の助け合いがどんどんつながっていくんです。
だから、本当にお恥ずかしい話ですが、「お金」が一番ありがたいです。
涙が止まらない
こんな話をただの旅行者でしかない、私に恥を忍んでお話してくれるなんてありがたすぎて涙が止まりませんでした。
でも、これが被災された方々の外には出せない、本当の気持ちなんだろうな、と思いました。
だから、私は災害が起こったときに相手に連絡はするまい、と思っていました。だけど、私は大きな間違いをしていることに気が付きました。
その前にやらなければならないコミュニケーションがとれていなかったのです。
私はこういうスタンスでいるよ。だから、本当に助けが欲しいときにはそちらから連絡してね。私ができる最大限のことはするから。
これを伝えてないのに、相手が私のところに連絡をしてくるはずがありません。
北陸に何人か知り合いがいます。今回は無事ならお返事要りません、と添えてメッセージを送りました。全員、大丈夫だったようで、逆にありがとう、なんて返事が返ってきました。
かなりの長文になってしまいました。
いつか、伝えなければならない、と思っていたこと
これが「今」なんじゃないかと思って、言葉にしてみました。
これが本当の日本人の助け合いなんじゃないか。今までやってきたことなんじゃないかと。
私たちが、善と思って手伝いに行くことや、支援物資を送ることは、必要とされていれば本当に大事なこと。
でも、相手が必要でなければ、私の自己満足であって、相手が幸せになることではない。
それはSNSでの炎上にも似ている。、と思う。
自分が悪だと思ったらコテンパンにやっつける。本人はいいことをしているつもりなんだろう。でもその行為を見て不愉快な人も山ほどいる。
自己満足で行っていることが他人にとっては迷惑かもしれない。それに気づかずに「自己肯定感」を高めているあなたがいたら、少し考えたほうがいいのかもしれないね。
ワタシはもちろん幸せなほうがいい。でもそれが他人にとって迷惑である、かもしれない、は表裏一体なのかもしれない。
親切の押し売りはやめたほうがいいかもしれないね。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。
なにか、感じましたか。
なにか、思うことはありましたか。