弁理士ハリママの発明寺子屋®第4話

株式会社AI Samuraiの取締役CIPO(知的財産最高責任者)、弁理士の播磨(はりま)里江子です。
このnoteでは、主婦や母親としての視点と、弁理士という知的財産専門家としての視点とを掛けあわせることで、発明は難しいことではなく、誰にでも出来るということを説明していきたいと思います。

本日のテーマは、特許類似文献評価システム『AI Samurai®』って一体何なの?第一弾。
第2話でも少しご紹介をしましたが、『AI Samurai®』とは、考えた発明(アイデア)と過去の技術とを照らし合わせて、考えた発明(アイデア)に新しさがあるか、すなわち特許取得の可能性があるかどうかを評価してくれる人工知能搭載型のシステムです。
子ども達を対象に活動している「発明寺子屋」においても、子ども達が考えた発明を言葉で表現した後、AI Samurai®で評価をし、AI Samuraiの評価がもっと良くなるように議論し発明に改良点を加えて、再度AI Samuraiに評価を受ける・・・というように、ゲーム感覚で発明に磨きをかけていきます。

しかしながら、「特許取得の可能性」云々の前に、そもそも「特許(とっきょ)」とは一体何なのでしょうか??
今日は「特許とは何か」について説明してみたいと思います。

特許とは何なのか

1-1.
おさらいですが、「発明」とは、ある困りごとを解決するために、(発明をする人)が考えるアイデアであり、工夫です。

では、ある困りごとを解決しようと、悩んで、工夫して、苦労して、努力やお金や時間をかけてやっとの思いでたどり着いた自分の発明を、あっさりと誰かがマネしてしまったらどうでしょうか?とても悲しいですし、せっかく努力してもただ単にマネされるだけならば、ちょっと損した気持ちにもなるし、もう頑張ってアイデアを考えたり努力しなくても良いかなという後ろ向きな気持ちも生まれてきてしまいますよね。

一方で、努力やひらめきがあって自分の発明にたどり着いたときは、皆にもぜひ使ってもらいたいし、自分の発明を皆に知ってもらいたい!という気持ちも当然生まれてくると思います。

そこで、
◎発明者さんが考えた発明に「特許権」という特別の権利を一定期間与えてあげる<保護>
かわりに、
◎自分だけの秘密のアイデアとせずに皆にもオープンにしてね<利用>
という形で両者のバランスを保ちましょうとしているのが「特許」制度になります。

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1-2.
それでは、☝で言う特別の権利「特許権」とは、どのような権利なのでしょうか。簡単に言うと、特許権は、発明者さんが発明をしたことに対する「ごほうび」です。

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①発明を自分だけのものにできる
具体的には、一定期間(原則、特許出願した日から20年間)、特許権を取得した発明について、他の人が勝手に使えないようにすることができます。
②他の人に、発明と同じものを作ることを許してあげることもできる
例えば他の人が特許権を取得した発明を使おうとするときは、他の人に対して、使うための費用を払ってね、ということもできます。
(※厳密には、特許権者と発明者が異なる場合もありますが、ここでは発明者さんが特許権をもらえる前提でお話しています)

例えば②の場合には、発明者さん自分自身が使わなくても、他の人が自分の発明を使うことで使うための費用が発生します。そうすると発明者さんは、これで得たお金でまた自分の新しい研究や実験をすることができ→新しい発明をすることが出来る!というメリットがあります。
また、発明者さん自身ではなくても、発明がオープンになりますので、他の人がこの発明からまた新しい気付きを得て、さらに便利になるように発明を改良したり、工夫を加えることが出来ますね。
このように、発明をベースに、世の中がもっと便利になるまた新しい発明がどんどん生み出されるというサイクルを作ることが出来ます

1-3.
さて、今回は「特許とは何か」についてお話をしてみました。
特許をとると、発明者さんにも嬉しいことがあるし、他の人も発明を使うことで困り事が解消されるし、みんながハッピーになるような気がしますね!

・・・と、なんだか特許を取得すると良いことだらけのような気がしますが、では発明をすれば、いきなり特許を取得することが出来るのでしょうか?
次回は、皆さんが考えた発明は全て「特許」になるのか?についてお話したいと思います。


執筆者プロフィール

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播磨 里江子 取締役 CIPO
慶應義塾大学理工学部卒・大学院修了(管理工学科)
小学生のときに海岸でテトラポットを見て「特許」を知り、在学中に弁理士資格を取得。
特許事務所及び企業知財部を経て、特許業務法人白坂の役員就任、その後2016年に株式会社AI Samurai(旧ゴールドアイピー)の取締役に就任。弁理士、特定侵害訴訟代理業務付記、東京都医工連携HUB機構APM、日本弁理士会関東支部知財教育支援委員、書道検定七段。
ミュージカル全般をこよなく愛するヅカオタの一人、知財教育および和文化への関心が強い一児の母親でもある。


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