あい

文章を書くのが好きな21歳、大学生。【きょうだい児︎︎】 人より世界がちょっと鮮やかに見…

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文章を書くのが好きな21歳、大学生。【きょうだい児︎︎】 人より世界がちょっと鮮やかに見えてしまう私の日記。︎︎不安障害。先生になりたい。絵を描く。吹奏楽が好き。

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11|今日も世界は美しい。

今日も世界は美しい。 淡い青藤色の空と、光を帯びてうっすらと照らされる雲、そこに流れるしっかりとした芯を持っている風と、全てを包み込む暖かな光。 誰一人として口を挟むことなくゆったりと穏やかに流れていく音と、色。この瞬間。 久しぶりに感じる昼間の静かな光景が、とても懐かしくて驚くほど綺麗で、泣いてしまいそう。 今日も世界は美しい。 私から見える「世界」。 それは、 色彩と豊かな空気に溢れた空間だ。 私は空を見上げて空気を感じるのが好きだ。 色、音、風、光、そし

    • 54|本番直前に親からLINEが来て泣いた話

      年に二度の定期公演。 全10曲、約2時間。 その大事な大事な本番前に親から一件のLINEが届いた。 「弟が、『お姉ちゃんの演奏会ばっかり行って、お姉ちゃんは僕の試合見に来てくれない!』とめっちゃ拗ねてます。 近くで試合ある時は観に来てあげてください。」 私はそっと携帯を閉じ、本番に向かった。 本番は、良い時間だった。 決して完璧とは言えず、反省点ばかりではあるが、今年度のバンドのお披露目をし、コンクールに向けての意志を固めた。 その日が最後の舞台だった仲間もいた。

      • 53|法で解決できること、できないこと

        「私は一生、障害のある弟の世話をしなくてはいけないのですか?」 なんとも衝撃的なこのフレーズ。 弟が自閉症で、きょうだい児である私が、幼い頃から何度も何度も悩んできたことだった。 そしてその答えがこの本には書かれていた。 法の視点から考える 今回紹介したいのはこの本! 中央法規 出版/藤木和子さん著 『きょうだいの進路・結婚・親亡き後』 この本を書かれた藤木さんは、弁護士であり、聴覚障害のある弟さんをもつきょうだい児である。 弁護士という、私にはとにかく「凄そう

        • 52|男の子だったらよかったのに、と思った日

          私は、かわいいものが大好きで、女の子である自分にもとても満足している。 センスはないけど、可愛らしいお洋服やメイクも好き。ふわふわのスカートを履いて、キラキラのアクセサリーをつけている時は、女の子でよかったなと思う。 でも、この間、はじめて「男の子になりたかった」と思った。 私がもしも男の子だったら、 あの子たちと遊びに行けたのかな、 旅行に行けたのかな、 君の違う一面を知れたのかな。 そんなことを考えた。 元々、異性の友だちが多かったわけではないが、改めて振り返る

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        11|今日も世界は美しい。

          51|毎日がPRIDEだったらいいのにな

          「性的少数者はみなさんの近くにもいます。日本の人口の約10%、これはAB型の人がいる割合と同じです。」そんな講義が行われた。 みんなは「へぇ〜そうなんだ。意外といるんだね。」と声を漏らす。 “意外といるんだね” ___そうだよ。 ここにいるよ。 あなたの隣にもいるよ。 4/20 東京レインボープライド 今回、東京レインボープライド2024(TRP)にボランティアとして参加しました。 昨年の春、大学でTRPのグッズを身につけている後輩ちゃんを見かけ、「ねぇ!これ

          51|毎日がPRIDEだったらいいのにな

          50|パニック障害と共に生きる②

          病院に通い始めて、早4年。 当時は高校2年生だった。 時はいつの間にか過ぎ去り、私は春から大学3年生になる。 長い、4年間だった。いや、まだ何も終わってなんかいない。私は今もこの病気に苦しめられている。 あれから、高校3年生に上がった私は、高校最後の一年を満喫している、はずだった。 しかし病気に蝕まれた私の現実はそんな上手くいくわけもなく、正直言って、記憶がない。 記憶が無い高校3年生 楽しいこともたくさんした。 大好きな友だちと出掛けたり、美味しいものを食べたり、

          50|パニック障害と共に生きる②

          49|消防士になりたいと言った彼は今。

          春、クラス替えにドキドキしながら教室に向かうと、また私の前には見慣れた背中。 出会ったのは小学校の頃。 苗字の初めの文字が同じだった私たちは、出席番号が前後で、3年間同じクラスで同じ時間を過ごした。 小学校の卒業式も中学校の入学式も隣の席だったの、覚えてる? 君はやんちゃで、よく怒られてた。 窓割って、犯人探しが始まって、罪悪感に耐えられず「僕がやりました」って自分から先生に言いに行った子。 勉強も苦手。発言するのも作文も苦手。 足は速かった。 でもほんとは優しく

          49|消防士になりたいと言った彼は今。

          48|私とふたり

          新しい相棒ができた。 私の2本目のフルート。 明るく繊細なのに深みのある音がする。 何度も楽器屋に通って決めたとても高い買い物。 出世払いで親に返す約束。 私にとって楽器を吹くことは趣味でしかない。 それでお金を稼ぐつもりもないし、プロでもない。ただ好きでやっていること。 それなのに、親に貸しをつくってまで楽器を買うべきなのかは、正直迷った。私なんかが新しい楽器を、と思ってしまった。 でも、大学のあと2年と今後の演奏生活を、もっといいものにしたかった。それだけだ

          48|私とふたり

          47|演奏会翌日の余韻

          昨日は定期演奏会本番でした。 いつも当日は本当にバタバタで、あっという間に本番も終わって、ぼーっと家に帰って疲れて寝るコース。 思い出を書いておこうと思いつつ、今日になってしまいました。 実を言うと、もう昨日の帰りは放心状態で、演奏会も終わったし、なんかもう死んでいいかなって思っていたくらいでした。 本番はお客さんから見えないところで朝から休みなく動いていて、準備とリハーサル、本番の後は片付け、いろいろハプニングもあり、家に着いたのは22時(早い方)。 本番もあっとい

          47|演奏会翌日の余韻

          46|空白

          私は本を読むのが大好きな子どもだった。 いつからだろう、本が読めない。 字を、図形として見るだけで、内容が入ってこない。 ちっちゃい頃から本を持ち歩いてお利口にしていた。 空想の世界が大好きだった。 いつから? いつからそんな夢を思い描けなくなった? いつから文字がしんどくなった? 人前に立つことが好きだった。 ある時気づいた、私は別に人を指揮することが得意なわけではないと。 みんなから向けられる視線が怖くなった。 こそこそ話していることが、全部私の悪口に思えるよ

          46|空白

          45|君が君でいられる場所であるために

          本日はきょうだい会でした。 2022年内の活動はこれで終わり。 きょうだい会ってなあに? って方はこちらの記事をぜひ! きょうだい会って、 みんな最高にかわいい、大好き!! いつも来てくれてありがとう!! 私もあなたたちに会えて嬉しいよ〜!! あなたたちのこと心から大切に思っているよ!! ってたっくさんたくさん伝えてあげるのが、 きょうだい会なのです。(自論) 私は、全力で愛を伝えますっ!! ここはね、 君が「障害児のきょうだい」としてではなく、 「君」としていられ

          45|君が君でいられる場所であるために

          44|そこにいるのが私でなきゃいけない理由

          来年度クラリネットの人数が足りないので、フルートパートから出してくれないかという話をされた。 それは、これまでバトミントンをやってた人に、テニスに転向してくれと言うのと同じようなもの。 将棋をしてきた人に、オセロをやれというようなもの。 楽器を変えるというのは、めちゃくちゃ大変。 「吹奏楽」という共通の基礎知識が蓄えられたといえ、技術自体は中一からやり直すような感じ。 簡単に返事ができるものでは無い。 とはいえ、このままじゃ音楽が成り立たない。 どうにかしなきゃいけ

          44|そこにいるのが私でなきゃいけない理由

          43|ひとりの夜

          初日の夜。 静か。やることがない。ひとり。 とりあえずつけてみた新品のテレビから流れてくる陽気なコマーシャル。 ぼーっとそれを聞きながら寝転がってみる。 まだ物がなくて広くて知らないにおいのする、新しいおうち。 今日は朝から家族総出で出発。 後ろには山積みのダンボールたち。 車に揺られながら、呑気に千と千尋の冒頭を思い出していた。 がんばって車から荷物を運ぶ。 業者さんが来て電化製品が届く。 食品を買いに行く。 小学生の運動会で使った即興のちっちゃいテーブルを囲

          43|ひとりの夜

          43|始まりの準備中

          この夏は私にとって変化の年になりそうです。 「家族と暮らす」ということは、当たり前とされているけれど、でもそれは全ての人が幸せになれる方法では無いということが、最近私にも分かってきました。 ご存知の方もいるかと思いますが、私は昔から親と仲が悪かった。毎日喧嘩。朝も夜も喧嘩。中学生高校生の頃なんて、ほんっとに家に帰りたくなくてしょうがなかった。 最近は思春期もそれなりに落ち着いて、私も20歳になって、穏便だったんですけどね、1ヶ月ほど前に激しめの喧嘩をして。その時についに

          43|始まりの準備中

          42|特別支援教育の授業

          私は中学校の先生を目指している。 教員免許を取るためには、特別支援学校教員志望でなくても特別支援教育について学ぶ必要がある。 そろそろ前期の授業が終わろうとしている。 テストを乗り越えれば、とりあえず終わりだ。 でも私は未だにその授業での自分の存在、立ち位置、それがわかっていない。 いつも一緒にいるみんなと教室に移動してくる。 チャイムが鳴る。 先生が来てプリントを受け取る。 筆記用具を出す。メモをとる。 その7割の時間、私は大勢の中の“ひとりの学生”でしかない。

          42|特別支援教育の授業

          41|一番に手を伸ばす

          『筆者の気持ちを答えなさい。』 現代文が好きだった。簡単だった。 読んだら分かるから。 この人がその状況でどんなことを感じ、考えているのか、私にはすぐに感じ取れたから。 だから国語は勉強しなくてもできた。 私は昔からよくできる子だったと思う。 毎日授業を受けて、勉強しなくてもテストは平均以上にできたし、行事で絵を描いて行事に貢献したり、前に立つことも好きでずっと学級委員をやっていた。部活も真面目にやってきた。泣きながらたくさん練習した。 でもいつも一番にはなれなか

          41|一番に手を伸ばす