46|空白
私は本を読むのが大好きな子どもだった。
いつからだろう、本が読めない。
字を、図形として見るだけで、内容が入ってこない。
ちっちゃい頃から本を持ち歩いてお利口にしていた。
空想の世界が大好きだった。
いつから?
いつからそんな夢を思い描けなくなった?
いつから文字がしんどくなった?
人前に立つことが好きだった。
ある時気づいた、私は別に人を指揮することが得意なわけではないと。
みんなから向けられる視線が怖くなった。
こそこそ話していることが、全部私の悪口に思えるようになった。
そういえば、高校生活何してたっけ。
コロナ禍が始まって、コンクールも無くなったっけ。行事も修学旅行もなかったね。
それから、心と身体壊して、病院に行って薬を飲み始めて、毎日保健室にお世話になってた。
そんな高校2年生、私は記憶が全然無い。
そもそも中身がなかったこともあるだろうが、
忘れたいのかもしれない。
忘れたいくらい辛かったのかも。
好きだったものの忘却。
昔の自己の忘却。
日常と記憶の忘却。
残っているものはなんだろう。
空白
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