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エピソード#14  独り暮らしで体動困難になった方を緊急でショートステイ先の施設にお送りする


 
病院を退院した数日後に体動困難と腰の激しい痛みで救急要請、検査の結果入院にならず、他社の介護タクシーでご自宅に戻ったのが前日とのこと。それ以降、体動困難な上に食べるもの、飲むものが無く、担当ケアマネージャーにSOSを発信し、担当ケアマネージャーが緊急ショートステイの受け入れ先を手配してくださり、そのショートステイまでの送迎依頼があって、対応させていただきました。
 
ご自宅に訪問すると、内部階段を登ったメゾネット2階の布団の上で、動けなくなっているご本人様がいました。窓は開いていましたが、部屋は暑く、動かなくても汗だくになるような環境でした。喉が渇いたとの訴えがあり、お水をお渡しすると一気飲みされました。
前日、ご自宅に帰ってから何も口にしていないとのことでしたので、「トイレはどうされましたか?」と聞くと『オムツにしました』とのことで、「私は看護師なので、交換しますから綺麗にしてから出かけましょう」と伝えると、『いいの?こんなことまでしてもらって。でも安心』とお話されたので、ご本人の腰の痛みを確認しながら、おむつ交換や更衣介助を行いました。
 
また、必要な荷物をご本人様に聞いた上で荷造りし、冷蔵庫の中身を確認し、傷みそうなものは廃棄し、ごみをまとめてごみステーションに移動。窓閉めなどの戸締まり確認をしました。
メゾネット内部階段には荷物が多く積んであり、2人介助での移動は難しいと判断し、社長が布担架一人抱えで階段を移動、看護師が足元を見ながらサポートし、玄関外に準備しておいたリクライニング車椅子へ移乗しました。
 
ここまで行うと、ご本人様もかなり安心したご様子でした。リクライニング車椅子に移乗後、一呼吸置き、リクライニングの背もたれの角度の調整をし、利用者様の目の周りが汚れていたので、「目の周りを拭いていいですか?」と声をかけ、ティッシュで 汚れを拭き取ると 安堵の表情をされ、微笑まれました。今回の緊急ショートステイ受け入れ先は 他県でしたので、途中渋滞もあり、1時間以上かけて無事目的地までお送りしました。
 
このようなケースがとても多くあります。独り暮らしで体動困難になった方の、受け入れ先がなかなか無く、熱海市内から10数キロ離れた場所までお送りするケースが増えて来ました。今回のケースは、こんな思いをするくらいなら、いっそこのまま天国に行きたいとお話されて、返す言葉が無く、とても切なくなりました。でも、この方は『自分だけでは動けないけど、介助があれば安全に外出ができる』というところから 、目がしっかり開き、瞳が力強くなり、声も出て、ご自分のことなどを話されました。
『生きる力』を 少し取り戻してくれたのではないかと思ったりしてしまいます。
そうだと嬉しいなと感じます。

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