見出し画像

エピソード#16  帰りたかったご自宅へ。家族に迎えられ生きる力が湧く


この所、病状が不安定な方の退院や転院などの依頼が増えており、特に退院は、エレベーターのないマンションや集合住宅、外階段や居室が2階にあるという住宅環境の方が多いです。
さらに退院で自宅に帰る際も、点滴をしたままや酸素吸入が必要な方などが多いため、ご家族やケアマネージャーさん方にもご協力いただき、点滴や酸素ボンベを持っていただいたりして、布担架や車椅子階段介助などで、安全に自宅まで送ることができています。
 
この日は「最期は自宅で過ごしたい」というご本人様の気持ちを汲んで、ご家族様を中心に、ケアマネージャーさんが病院のソーシャルワーカーさんと共に、在宅を支える医療や看護、介護の事業者と連携され、私達は退院のお手伝いをさせていただきました。
 
リクライニング車椅子のまま乗車し、お孫さんが隣に座られるとご利用者様は涙を流されました。
そして、車窓から桜を観て喜ばれ、自宅に到着した時に、「写真、撮りましょうか?」と伝えると、「そうだね。」と笑顔で、自宅兼店舗前で、ご家族と写真を撮られました。
 
外階段があったため、リクライニング車椅子から車椅子へ、担架のまま持ち上げ移乗し、急な外階段を2名で車椅子のまま階段介助。
自宅に到着し、ご本人様に「どの部屋に行きますか?」と聞くと「リビング」と言ったため、リビングへ移動。「車椅子じゃなくてリビングのいつもの椅子に座りたい」と話されたため、介助でリビングの椅子に移動。
 
5分ほどで「やっぱりベッドに行こうかな」といわれたため、再び車椅子に移乗し、寝室に移動。
寝室に行くまでに、一段、段差があり、車椅子操作は慣れていないご家族に、段差処理の仕方をデモストレーションし、実際にやっていただき、ご本人様も安心されて、ベッドへ移乗。
 
立つ力もあまり無いと聞いていましたが、「立てます」と話され、自宅に帰宅してからの車椅子⇔リビングの椅子、車椅子⇔ベッドへの移乗は、介助で、立ち上がられ、移乗ができました。
自宅に帰られた時は、『生きる力』を目の前でみることができ、ハッピーな気持ちになれます。
この数日後に、虹の橋を渡られましたが、たくさんのご家族に見守れ、旅立たれたそうです。
通院のお手伝いの時から関わらせていただき、「おはなさんが車椅子のまま階段の介助をしてくれるから、自宅から病院に通える。」、「おはなさんのような車があって良かった。ありがとう」と
毎回、言ってくださってました。私達も毎回、お会いできるのが楽しみでした。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?