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毎夜弟と食事を共にしているベルリンでのこと

弟がベルリンに遊びにきてくれて1か月が経った。ほんとうはもう帰国している予定だったのだけど、事情ができて滞在を延長している。

私がベルリンに来て10か月、恋人という私にとっての安全基地ができたけれど、この地に家族はいなかった。それが弟が来たことで変化していて、私は先のことが少し心配になっている。

料理が得意な弟のおかげで、私は健康的にあたたかい日本食をほぼ毎日食べている。弟の料理を頼って、毎夜弟のもとに尋ねる。

こんなに安心できる場所があっていいのかと、私は少し心配になる。弟は帰ってしまうのに、一番の安心安全をこんなに頼っていていいのだろうかと。


家族と恋人


家族と恋人なんて、比べるものではないのかもしれない。だけど、私にはこの言葉が心に残っている。

「恋人なんていついなくなるかわからないものね」「弟が来ているのなら、そりゃやっぱり弟を大事にしなきゃよね」

もう1年以上の付き合いになった、韓国語の先生に言われた言葉。この言葉を切り取って、どうこう言うつもりはもうとうない。

でも、この言葉に、私は少し縛られてしまったような気もする。

いまの私の意思によらず、未来はなるようになっていくものだし、確かにいまの恋人はいっときの恋人となるのかもしれない。それなら、普遍である自分の弟のことを、私は大事にしたいししたほうがいいのかもしれない。

そんなふうに、恋人との関係性における自分の気持ちを、少し疑っている私がいる。


弟と夕食をとる


今日の夕食は牛タンとカレーだった。つい数日前に一緒に出かけたスーパーで牛タンを見つけ、そのスジの部分を使って煮込んでくれたのが今日のカレーだった。

ドイツはこの1週間でめっきり寒くなってしまって、おまけに今日は雨が降っていて、私はフード付きの分厚いダウンコートを着て弟のもとに向かった。

私にとっての安全で安心な場所。温かい料理と穏やかな時間のある場所。

キッチンのテーブルに向かいあって座って、料理がおいしいこととか今日あったことを話しながら夕食をとる。弟と向かいあってこんなふうに食事をとることは、この先にまたあるのだろうかなんて考える。

未来のことを考えては、時に悲しくなるのが人というもの。私もまた然り。

冬が始まったベルリンで、私は毎夜弟と食事を共にする。

おいしい食事を楽しみながら、弟が帰り安全基地をひとつなくした未来のことを考えては、もうすでに悲しんでいる。


7年半勤めた会社を30歳で辞め、好きな場所に住んで好きな仕事をする人生を作り直すと決めました。サポートいただいたお金は、退職後にお仕事にしているコーチングのスキル向上や、noteを書き続けるための生活に使用します🙇🏻これからも記事を通してみなさんと繋がれたら嬉しいです☺️