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触り慣れたもふもふとの別れ

9月9日、この日が最期になると思わなかった
突然、愛犬が息を引き取った

体調が優れない日もあったが、
突然のことだった

もふもふだったあの毛並み、
いつも鼻を突きつけて匂いを嗅いだ優しい匂い
肉球から香るとうもろこしの香り

それはもう二度と触ることもできず
嗅ぐこともできない

地元の駅に到着した時から
愛犬メイの残像が消えなかった

一緒に歩いてきた11年間、
駅から家までの道にたくさんの時間や想い出がある

もう、この世界にメイはいない

そんな世界が始まっていくこと、
メイがこの世界から消えた日常が重なっていくこと
全てが怖くて、淀んで見えた

メイの知らない明日が始まる
感じることができなかった今年の秋風
見ることができなかったクリスマス
肌寒い冬の始まり

私とメイの命にはすっかり境界線ができてしまった

生きることの現実は、虚しい
出会えた数だけ別れがあるし、
変わらなかった日常は
いつか突然知らない世界に変わる

普段忘れていたこの辛い現実を思い出す

家に着いたとき、まだ温もりの残った
メイの体があった
何度も抱きしめて、叫んだけれど、
いつものように目を開けてくれない
おやつも求めない

この大好きで愛くるしい存在に
出会えて本当によかった
だからこそ、胸が張り裂けるほど別れは辛い

また出会える、そう思っていても
私は、あの優しい匂いも、もふもふの感触も
いつしか忘れてしまう

メイの生きられなかった秋と冬
一緒に生きたかった秋と冬
一緒にまだまだ生きたかったこの世界

メイが生きてたから
大好きだったこの毎日を私はまた
好きになれるのかな

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