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推理小説を100倍楽しく読む方法をネタバレなしで語ります

私には好きなものがたくさんあります。
その中のかなり上位に入るのが「本」
ただ、本にもたくさん種類がありますよね。

以前いた会社で、読んだ本を発表する会があったのです。
わあ、うれしいなぁ。何にしようかな、と心が躍ったのですが、まさかの「小説はNG」でした。私はビジネス本って殆ど読まないんです。小説しか読まない。しかも、純文学ではなく、ミステリーばかり。本は読むのに、その考え方から言うと「本を読まない人」になる。まあ、会社の行事だし、小説のトリックや犯人を発表されても、みんな「え…」と戸惑うのはわかっています。

ただ、その時にとても悲しいなと思いました。
仕事で発表するから、ビジネス本という理屈はわかるものの、私はミステリー小説から学んだことがたくさんあり、編集者の仕事や教育の仕事に役立っていることもあるのです。

今回は、ネタバレにならないように、ミステリー小説から学べて、役に立つ様々なことをお話していきます。

その時代の価値観を学ぶ

小学生の時、図書館でアガサクリスティに出会ったのです。無駄に早熟だと思うし、親も心配したと思います。そして、なぜか一番初めに読んだ本が「アクロイド殺し」

知らない方にはネタバレにならないようにお伝えしますが、アガサクリスティはイギリスの小説家で、今から100年前ぐらいに活動していました。ミステリーの女王として、名前を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

有名なのが「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」「ABC殺人事件」。
クリスティらしさが出てると言えば「ナイルに死す」そして、ちょっと毛色が違う「ゼロ時間へ」も好き。映画見た「ねじれた家」は、そうきたか!という犯人(エラリー・クイーンにもこういう話はありました)。タイトルと小道具のセンスにひかれた「ポケットにライ麦を」
名前を聞いたことがある作品も多いのでは?と思います。

アクロイド殺しは、「フェアかアンフェアか」と議論になったぐらい、トリックにかなりの禁じ手を使われているんです。いや、今ならたまーにあるトリックなんですが、これを100年前にやってのけた。当時は、「正統派」しか受け入れなかった。そんな価値観の時代でした。

ちなみに、「そして誰もいなくなった」はいわゆる孤島に閉じ込められて人が次々に殺されていくやつ。これも、今は沢山作品があるけど、元々はアガサクリスティが書いたものなのです。

何がすごいって?というと、アガサクリスティの作品ってトリックが現代でも通用するものが多いのです。確かに時代背景は古いのですが、トリックの内容に関しては、令和の今でも成り立ち、驚くことができる。
ただ、当時の価値観からすると、かなりのアンフェアだったと思う。
そして、その時代にこれらの作品を発表したクリスティは本当にすごい。
こんな斬新なアイデアを思い付くなんて、今の時代なら褒められること。でも、当時は違った。それでも自分の作品を発表したクリスティを私は心の底から尊敬しています。

私は松本清張も一通り読みましたし大好きなのですが、彼の作品は、トリックが現代では通用しないものもあります。それは価値観というよりも、今でいう当たり前が当時では当たり前ではなかったから。彼の作品はトリックよりも、犯人の動機だったり、その時の社会問題だったり、そういう描写が秀逸です。

人の心の闇や温かさに触れる

中学生のころにはまっていたのが、宮部みゆき。ハマりにハマった!レベル7とか死ぬほど分厚いのに、取りつかれたかのように読みふけった。
彼女は社会問題をリアルに、シリアスに書きますが文体がとても読みやすくわかりやすいです。

特に好きだったのがこれ!

超能力を持ってしまった少年の話なんですが、心情描写がとにかく丁寧なんです。
テレパシーとか使えていいなぁではなく、その苦悩や人間関係、がとにかくじっくり書かれている。だから、彼女の作品には引き込まれる。人の心の闇や優しさ、あたたかさが本当に伝わってくる。

映画化した、「ブレイブストーリー」

ファンタジーでRPGみたいなもの。魔法をバンバン使って、伝説の剣を手に入れて…いつもみんなに慕われて、という勇者ではなく、どこにでもいる少年が異世界で世界を救う話。現実世界では、親の離婚に直面して、悩みもたくさんある。そんな主人公の心の痛み、そして世界を救うという対比が痛いほど伝わってくる。

彼女の作品は、リアルな感情が書かれている。たとえ、勇者であっても、そんなリアルな悩みがあり、みんな何かと戦っている。

今でも、この時学んだことがシナリオを書くときの参考になっています。

また、企画を作るときにも人の心情や、この時、人はどう考えるかな?といった心を大切にする考え方ができるようになりました。

視点の大切さを知る

それから、ハマりにハマったのが東野圭吾。
この人は有名すぎますね。
この人は本格推理というよりは、犯人の意外性や、扱う題材が多岐にわたることで有名ですが、「視点の工夫」がすごいと私は思っています。

彼のインタビューを以前読みましたが、「些細なことを真剣に考えるかどうかが大切」と言っており、今でも私はその言葉を大切にしています。
自分が驚いたことに「何故驚いたのか」を考え、その仕組みを突き詰めること。
そして、色々な視点で物事を見ること。
例えば「悪意」は犯人は早い段階で逮捕されます。動機が何かを解明するのがテーマの話です。
「どちらかが彼を殺した」は犯人が誰か明かされていない。作者は「犯人が明かされていなかったら読者は驚くだろうな」と思って書いたらしいです。
「手紙」は殺人事件の犯人の周りの人の視点で書かれたもの。
「白夜行」は事件が終わった後のことを書かれたもの。

など、彼はアイデアを考えるときに視点を変えて「こうすれば周りの人はどう思うだろう」ということをいつも思っているとのことです。

これは、編集者の時や、今noteを書いているときなどに思い出す言葉です。

私はコスメが好きですが、商品紹介は沢山の人がされていて、とてもレベルが高い。
私にも書ける記事は何か、と考えた時、このような「なぜ売れるのか」という記事が生まれました。

この言葉を思い出し、自分でもできることを探している日々です。

私の中に当たり前に存在していた概念が覆る

それからハマったのが、森博嗣。

友人とハマり、好きなページに付箋を貼ったり、マーカーをひいたり。教科書か?というぐらい愛読していました。

彼は、一言でいうと「ロマンチスト」紡ぐ言葉がとてもきれいです。

「すべてがFになる」は、ドラマ化もアニメ化もしましたよね。


私は、彼の作品を「推理もの」として読まない方がいいと、ここでお伝えしたい。

いや、トリックがダメだというわけではないんです。素晴らしいんですよ。ただ、理系要素がかなり入っているので、普通に読んでてもトリックがわかる人って少ないような気がします。

トリックを解いてやろう、として読まない方がいい。森博嗣には勝てないのです。ここは、あきらめることが大切。

私はド文系の人間で、彼は大学の教授、超理系。

なので、脳の思考回路は真逆。いや、恐れ多いことを言いました。森博嗣は天才なんです。天才すぎて彼の思考は解読不可能。

天才ってこんな風に考えるのね…と読みながらため息の連発でした。

例えば「生きること」に対して、「眠ること」に対して、多くの人が思うことと彼は恐らく真逆の概念を書いている。それがおかしいとかではなくて、「え…こんな考え方もあるのね」とハッと気づかされる。体に電流が走るレベルの衝撃です。

私が好きな作品は、上にあげた「すべてがFになる」「詩的私的ジャック」あとは、「封印再度」
恋愛要素も入っていて、結構ドキドキします。

他にもたくさんありすぎてまとめられない

いや、他にもあるのです。たくさん。
ただ、ここにまとめるのが不可能です。

私は「どんでん返し」と「叙述トリック」が大好きです。
どんでん返しは、本の最後に全てがひっくり返るもの。東野圭吾さんにも多いです。
叙述トリックは、文章そのものに仕掛けがあるもの。よくあるのは、実は主人公が男と思ってたら女だったり、AさんとBさんが別人物と思っていたら同一人物だったり。

有名なのは「イニシエーションラブ」ですよね。映画化もされました。

これらの作品が多く、文章が読みやすい作家さんを名前と、私が好きな作品のセットで紹介させて頂きます。文章が読みやすいっていうのもポイントですね。私は読解力がそこまでないので、読みやすさで探します。

・今邑彩「ルームメイト」「七人の中にいる」
・乾くるみ「リピート」「スリープ」 代表作は「イニシエーションラブ」だけど私はあまり好きではない。
・浦賀和宏「彼女は存在しない」(カニバリズムあるから注意!)「彼女の血が溶けていく」
・中山七里「連続殺人鬼カエル男」 「さよならドビッシー」が有名だけど、これはミステリーになれてる人はすぐわかるかも。でも、あまり読まない方にはおすすめ!
・歌野晶午「ずっとあなたが好きでした」 彼の作品は禁じ手が多いので好き嫌い別れるかも「葉桜の季節に君を想うということ」が有名ですが、これは別れますね…
・降田天「女王はかえらない」 読みやすいし、だまされると思います。


他にもあるんですが、どんでん返しと叙述トリックにしぼるとこんな感じですかね。
私も全てを読んだわけではないので、他にも面白い作品はあると思います。


まとめ

すみません、本当に語りすぎました。
ミステリーって難しそうだって思う人もいるかもしれませんが、企画の仕事やクリエイティブの仕事をする際に、役に立つ要素は結構多いので、stayhomeに飽きた方にはおすすめです。

最近はあまり読めていませんが、また時間ができたらたくさん読みたいです!

























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