脱力は原動力
1.実験内容
今回は脱力について少し深く考察してみようと思います。
先ず、一つ実験をしてみて下さい。
①木剣を片手に持って床に対して垂直状態を保って下さい。
➁次にその木剣を左右どちらの方向でも良いので倒してみて下さい。
倒す度合いは、木剣が床と並行になるまでで大丈夫です。
注意点として➁を行う時は、力ではなく脱力で行って下さい。
それが出来たら最初やった方向とは別の方向に➁を再度実施して下さい。
では、ここから分かることを整理してみようと思います。
2.考察
①の時にお気付きかもしれませんが、
木剣を垂直状態にキープするのは結構、力が必要じゃないですか?
これは徒手においてもそうです。
形を維持するだけでに既に筋力を使っているということです。
もちろん、腕だって質量を持っているわけですからね。
➁については力を抜いたら、勝手に木剣が倒れましたよね?
そして、平行状態に保つ、つまり動きにストップをかける時に
そこで初めて筋力を使ったかと思います。
つまり、本来、脱力すれば勝手に初動が生まれ、
筋力はその動きを止める時に使うということです。
そして➁は左右の方向を変える時、力を抜く場所が違いましたよね?
どちらも左右に倒れないようにキープしてるのは三角筋です。
ですが、実際には力を抜く場所が倒す方向によって変わります。
また、当然ですが腕全体の力を抜いたら、
そのまま木剣は真下に落っこちてしまいます。
したがって、脱力も全て抜けば良いわけではなく、
動かしたい方向に正確に抜く必要があります。
3.まとめ
力の原動力は力ではなく、
脱力ということがこの実験でお分かりいただけたかと思います。
試しに➁の作業を力で動かして、力で止めてみて下さい。
かなり、疲れますよ(笑)
ただ、原動力を脱力として、止める時だけ力を使ってみて下さい。
この時、力を使う機会は動きを止める時だけです。
したがって、全く疲れないんですね。
また、脱力に任せる=自然法則に委ねるということですから、
木剣が徐々に加速していく様が分かるかと思います。
重力加速度が働くからですね。
どの筋力を抜けば、どの方向に倒れるのか良く観察してみて下さい。
そうすれば、各筋肉の感覚が鋭敏になり、
徒手の場合でも同様の事象を再現することが出来ます。
今回、一番言いたかったことは、
脱力をすることで原動力を生み出し、
力はその動きを止める時に使うということです。
木剣は剣術に限らず、このような理も教えてくれるので
先人の知恵は凄いですよね。
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