ロックダウン中のミュンヘンより
はじめまして。昨年夏より夫婦でドイツのミュンヘンで暮らしています。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大をうけ、最近ドイツ大丈夫?と連絡をもらいますが、元気にやっています。それより日本のこれからの方が心配だなぁと思いつつ、ドイツの状況と思うところを書いてみました。
[ドイツの感染状況]
ドイツでは、3月30日現在感染者6万4千人、死者563人という状況です。毎日数千人単位で感染者が出ていますが、軽症者が多いようでそこまで心配していません。今はほとんど家にいるので感染リスクも少ないです。
他の国とくらべて圧倒的に致死率が低いのは人工呼吸器の数が多いから、また検査を週に16万件(その後1日5万件に増加)も行うことで軽症の感染者も明確にして治療しているからみたいです。熱・せきなどの自覚症状を持ちコロナホットラインに電話するとその場を動くなと指示され、専門家が急行・検査し、陽性の場合即隔離のようです。
ドイツのやり方とは逆に重症患者以外の検査をしないことで病院の負担を減らしている日本では、水面下では無自覚・軽症感染が爆発的に広まっているのではと心配しています。
[ドイツの対策]
どこか対岸の火事とイタリアを見ていたドイツも、イタリア・オーストリアのスキーリゾートで感染した人々が帰国したことを皮切りに感染が拡大し、感染者が1万人にさしかかった頃から一気に物事が動きました。
3月16日 学校が閉鎖される
3月18日 メルケル首相が緊急会見(素晴らしいスピーチです。まだの人はこちらから見てみて)
3月22日 外出制限令(禁止令ではない)発令
具体的に生活面では以下の方策
・会社に行かずに働ける人は家で勤務
・同居人以外のグループで出歩くことを禁止
・公共の場では他人と1.5メートルの距離をとる
・買い物、ジョギング、犬の散歩、通院など、生活に必須な外出以外禁止
・飲食店はTake out以外全て閉鎖
・娯楽や観光施設はもちろん全て閉鎖
・他都市への移動は禁じられていないけど、旅行目的の移動は禁止
といった状態です。
[ドイツの生活]
制限令後のミュンヘンで目に見える変化は
・人があまり出歩いていない
・公共交通機関がガラガラ、バスは運転席に近づかないよう後方の扉のみ使用可
・オフィス街はガラガラ
・公園の遊具封鎖、公園内の散策には1.5メートル距離を保つよう注意喚起する看板設置
・Take outしているレストランは従業員半分以下、従業員雇えるほどTake outで利益が出ないお店は一時休業
・スーパーでは混みすぎないようスーパー側が入場規制、買い物かごやカートは使用するつど従業員がアルコール消毒
・レジでは前の人と1.5メートル距離をあけるように床にテープが引かれ、レジの人は手袋、レジの人と買い物客の間にはクリアボードの仕切り設置
・スーパーでトイレットペーパー、パスタが品薄(すぐ回復するものの買いだめ迷惑)
という感じです。
わたしたち夫婦も買い物以外家にいるので、最近ほとんど人に会っていません。
[日本と比較して]
日本とドイツと大きく違うなと思ったのは、ドイツ政府がまず経済的不利益を被る人への補助、文化の保護、民主主義への配慮、政府による説明責任の重要性に言及しつつ外出しないことを求めたことだと思います。こうすると市民は納得して休業の実施を行い、外出を控えることができます(ドイツの補償についてはこちらの記事に書きました)。
なので、補償の話は後回しで自粛ばかり要請されている日本において、一概にドイツのようにしろというのは無理で、明日を生きる為に仕事に出ないといけない、イベントなどを中止できない、お店を開けなければならない人も多いだろうなと思います。
でも不要不急の用事なら、友達との遊びなら、政府がどうとかではなく自分で行動できるんではないかと思います。
[伝えたいこと]
全体の感染者増加を減らさないと重症者も減らないので、特に同年代を含めた比較的若い人に伝えたいのは、
・自分が(無自覚な)感染者かもしれないと意識して行動して
・感染者・死者の数を他人事と捉えないで、感染が拡大した場合あなたの家族(特に祖父母など高齢者)が含まれる可能性もある
・外出制限がかかっても、仕事へは行けるし、生活用品の買い物もできるので、慌てて帰省などをすることによってあなたが持っているかもしれないウィルスをばら撒かないで
・買いだめは、不要。繰り返しになりますが、外出制限がかかっても買い物はできます。自分の行動が他の人にもパニックを起こさせていることに自覚を持って
・とにかく家にいて
これからどうなるか誰にもわかりません。あとで備えすぎだったなぁと思うくらい、今は気をつけた方がいいのかなと思います。
正直、日本政府の対応が不十分なのは明白で、会見を見てもどうしていいのかさっぱりわからない、補償がないのに自粛なんて無理、という気持ちは痛いほどわかります。けど自分自身や大切な人を守れるのは自分しかいないという気持ちでまずは乗り切ってほしいなと思います。
以上、ドイツから日本を見て感じたことを書いてみました。どなたかの参考になれば幸いです!
追記:こちらの記事に、ドイツがロックダウンになるまでの経緯と、今の街の様子をもうちょっと詳しく書きました。よければ合わせてお読みください。
⇒バイエルン州のロックダウン12日目。実際どんな感じ?
⇒ソーシャルディスタンスを保とう!—ロックダウン4週間目のミュンヘンより