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ソーシャルディスタンスを保とう!—ロックダウン4週間目のミュンヘンより

ドイツではロックダウン開始から4月10日で3週間が経ちました。
4月7日に緊急事態宣言を出した安倍首相の会見で「人との接触を7~8割削減することで2週間でピークアウトできる」という発言がありましたが、ロックダウンから3週間経ったドイツでは実際どうなっているのか、お伝えしたいと思います。

ドイツの現状

ロックダウンから約2週間経った4月3日の7580人をピークとして、その後ドイツの1日の新規感染者数は減少しています。徹底した休業補償と外出制限令、ソーシャルディスタンスの浸透が効果を表し始めているのだと思います。
とはいっても4月8日で5633人、9日で4051人と依然として多くの新規感染者が発見・隔離されていて、まだまだ予断を許さない状態です。

ドイツ連邦政府は当初ロックダウンの措置を最低2週間と発表しましたが、4月1日に4週間に延長されました(その後さらに2度の延長)。メルケル首相は現在も解除日を明言していません。ドイツはロックダウンの実施のため、多額の財政支援と補償を行っています。いまの時点で規制を緩めて感染がぶり返し、2度目のロックダウンを行うというわけにはいきません。いま行われている措置で完全な収束を目指しているということでしょう。

5月8日追記:現在ドイツでは徐々にロックダウン措置の緩和が行われています。詳しくはこちらのツイートで時系列にまとめています。

メルケル首相はイースター休暇前に新たなスピーチを行いました。
ドイツでは通常家族集まってイースターを過ごしますが、今年のイースター休暇中は感染を広げないためにドイツ国内の田舎や親戚を訪ねないで、と呼びかけています。今回のスピーチも素晴らしいのでぜひ読んでみてください。

人との接触を減らすということ

安倍首相が発言した「人との接触を8割削減する」というのをすっごく簡単に言うと、一週間 (7日間) のうち、約5日半は誰にも会わずに家に籠っていてね、ということ。しかも全市民がそれを実施しなければいけないということです。
いまだに通勤電車が混み合い、飲食店なども休業できない日本で、8割削減というのは到底達成できなさそうな数値に思えます。けど、日本の感染拡大を止めるために、人との接触をできるだけ減らさなければいけないのは確かです。

家から出ないことが感染拡大を防ぐ一番の方法であることは言うまでもありません。日本でも在宅勤務や営業自粛要請、学校の休校などが行われています。しかし、最低限の生活を送るためには買い物などで外にでなければいけないときもあります。
外出するとき、人との接触を避けるにはどうしたらいいのでしょうか。その方法が、いま世界的な取り組みとなっているソーシャルディスタンスです。最近耳にすることの多くなった言葉だと思いますが、日本では実際に見える化は進んでおらず、まだ浸透していなさそうです。
ドイツではロックダウンが始まってからの数週間、外出制限とともにソーシャルディスタンスの概念がかなり浸透し、街中で見える景色も変わってきました。

ソーシャルディスタンスって?

ソーシャルディスタンスは、外出の際に人と人との距離を物理的に1.5メートル以上、できれば2メートル保つことで濃厚接触を避ける方法です。

ここではドイツの人々が外でどうソーシャルディスタンスを保っているのか紹介します。

・スーパーが混んでいると人々が接触してしまうので、入場規制がかかるようになりました。普段列を作らないドイツ人がきれいに1.5メートルの間隔をあけて並んでいるのは最初とても驚きました(2人ペアでの外出は許可されています)。

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・精肉コーナーなどでは、従業員に近づきすぎないよう床にシールが貼られていましたが、最近ではビールケース等をおいて物理的に近づけないようにしています。

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以前の記事でも触れましたが、レジでは前の人と1.5メートル距離をあけるように床にテープが引かれ、レジの人は手袋着用、買い物客との間にはクリアボードの仕切りが設置されています。また、現金の受け渡しを避けるためほとんどの店がカード払いのみとなっています。

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・バスでは運転手との距離を保つために後方の扉のみ使用可能となっています。

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・公園や歩道で人とすれ違うときは道の端と端を歩いてお互い近づかないようにしたり、狭い場所ですれ違うときは手前で待って譲り合うようにしています。人との距離を保つよう促す注意書きが公園の至るところに貼られています。

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以上、写真とともにドイツの様子を紹介しました。

ソーシャルディスタンスを保とう!

今ドイツでは外を歩く人々がみんな他人を避けて行動しています。ソーシャルディスタンスを保つことが、感染しない・させないための大事な予防法だとみんなが認識してきているからです。人を避けながら生活することは通常は心地いいものではありませんが、明確で納得できる理由があればそこまで苦痛ではありません。紹介したメルケル首相の演説のなかにも「確かにソーシャルディスタンスは守らなければなりません。ですが、それが親しみや愛情、連帯感を示すのに妨げになることはありません。」とあります。

冒頭に書いたとおり日本政府は2週間で感染のピークアウトと言っていますが、ドイツで新規感染者数が減少し始めるまでには徹底したロックダウンの措置がありました。日本で今後も人と人が接触を続けていけば感染拡大が続くことは明らかです。
日本の日常にも早くソーシャルディスタンスを浸透させないといけないと思います。外に出るときは人に近づかない、外にある物に触れない、を徹底し、物理的に人やモノと距離を置く生活を始めてください。ソーシャルディスタンスを保って感染を防ぎましょう。

Keep Distance and Stay Home!

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