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誤解を通じて理解する無師直感流哲学:ホメオパシー編

 ホメオパシーは、18世紀にドイツの医師サミュエル・ハーネマン(ドイツ語では『Sa』を『ザ』と発音するため、日本語では #ザムエル・ハーネマン と表記されることが多い)によって創始された #代替医療 の一形態です。この治療法は、『同種のものは同種のものを治す』という原則に基づき、病気を引き起こす物質が健康な人に同じ症状を引き起こす場合、その物質を希釈した形で病気を治療できるとされています。 #ホメオパシー では、この原則に従い、極めて希釈された『 #レメディ 』を用いて治療を行います。

 レメディは、植物、ミネラル、動物の物質など自然界から採取された成分に基づいています。これらの成分から、症状を引き起こす能力があると考えられるものを選び、非常に高い希釈率で水やアルコールに溶かして使用します。ホメオパシーでは、この希釈プロセスが元の物質の『 #治癒力 』を引き出し、強化するとされていますが、多くのレメディは非常に希釈されているため、元の物質の分子が含まれていない場合があります。

 ホメオパシーの支持者は、これらのレメディが身体の自然な治癒力を促進し、病気や不調を治療できると信じています。しかし、ホメオパシーは科学的根拠が不足していると批判され、現代医学では効果が証明されていないと一般に見なされています。レメディの選択と投与は、患者の具体的な症状や体質を詳細に調査した上で個別に行われ、この個別化されたアプローチがホメオパシーの重要な特徴の一つです。

 ホメオパシーは、その哲学とアプローチにおいて伝統的な西洋医学とは大きく異なります。効果については意見が分かれますが、 #自然治癒力 を重んじる考え方や個々の患者への細やかな配慮が多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。

日本におけるホメオパシーの誤解

 日本では、ホメオパシーを『 #同毒療法 』と誤解している人が多いようです。この誤解は『 #毒を以て毒を制す 』という概念のさらなる誤解が原因です。『毒を以て毒を制す』は、宋代の禅書『嘉泰普灯録』にある『以機奪機、以毒制毒』という言葉に由来する故事成語であり、医療用語ではありません。

 ホメオパシーは『homoeo:同じ』と『pathy:病気、苦痛』というギリシャ語から派生しており、『同種の苦痛を用いて治療する』という意味の療法です。そのため、『同毒療法』という訳は、ホメオパシーの治療原理を正確に表すには誤解を招き易いです。

 ホメオパシーの基本原理は『類似則』にあり、体に症状を引き起こす物質を非常に薄めた形で投与し、体の自然治癒力を刺激して病気を治療します。この理論では『同種』の刺激を用いることが強調されますが、『毒』を必ずしも用いるわけではありません。多くのホメオパシーのレメディは、希釈を重ねることで物質の毒性を除去しています。

 従って『同毒療法』という訳語は、ホメオパシーが使用する物質が必ずしも毒であるかのような誤解を招く可能性があり、本来のホメオパシーの意味から逸脱していると言えます。『 #同種療法 』という訳語は、ホメオパシーの基本原理をより正確に反映しており、『類似のものを用いて治療する』という治療法の特徴をより適切に表しています。

語源を理解するための突然の言語学習コーナー

 ホメオパシー(Homeopathy)という言葉は、ギリシャ語の『homoeo』(ὅμοιος, hómoios)と『pathy』(πάθος, páthos)から派生しています。これらのギリシャ語の要素を #英語で学ぶ ことは、語源についての理解を深めるのに役立ちます。以下に、それぞれの要素について詳しく説明します。

homoeo(ὅμοιος, hómoios):『同じ』または『似ている』

ギリシャ語: ὅμοιος(hómoios)
意味:『同じ』、『似ている』
『Homogeneous:均質の、同種の』や『Homogenize:均質化する』などの単語は、何かが統一された状態にあるか、または同じ性質を持っていることを示します。アメリカを含む多くの国のスーパーマーケットで販売される『Homogenized Milk』は、乳脂肪の塊が大き過ぎるとクリームが分離してしまうため、高圧を使用する『Homogenizer』で脂肪球を細かく砕き、牛乳内で脂肪球が #コロイド として均一に分散するように処理されます。 #ブラウン運動 は日本でも小学校か中学校の理科の授業で学んでいる人が多いでしょう。

『Homo』という接頭語は化学や物理など様々な分野で使用されますが、それと同時に『Hetero:異質の』も覚えておくと有益です。この二つの言葉はしばしば対比され、それぞれ『同じ性質を持つもの』と『異なる性質を持つもの』を示すため、幅広い学問分野での理解に役立ちます。

pathy(πάθος, páthos):『苦しみ』、『病』

ギリシャ語: πάθος(páthos)
意味:『感情』、『苦しみ』、『病』
英語での使用例:『Pathology:病理学』、『Pathos:情動的な訴え、感動』、『Sympathy:同情、共感』、『Empathy:共感』など。これらの単語は、感情や病気、苦しみに関連する概念を表します。

Homeopathy(ホメオパシー)=『同種の苦しみによる治療』
 ホメオパシーは、これら二つのギリシャ語の概念を組み合わせたもので、『同種の苦しみ』または『似たような病状を引き起こすものによる治療』という意味を持ちます。これは、ホメオパシーの基本原則である『類似のものは類似のものを治療する』という理念を反映しています。

 このように、 #ギリシャ語 #ラテン語 #フランス語 などの #語源 から英語に派生した単語を学ぶことで、英語の語彙を豊かにし、言語の背景にある文化や歴史についての理解を深めることができます。同様に、漢字を使用する日本語においては、中国語の漢字の語源を理解することが、正しい日本語の使用に役立ちます。

日本学術会議の『ホメオパシー』についての会長談話

その理由は「科学の無視」です。レメディーとは、植物、動物組織、鉱物などを水で100倍希釈して振盪(しんとう)する作業を10数回から30回程度繰り返して作った水を、砂糖玉に浸み込ませたものです。希釈操作を30回繰り返した場合、もともと存在した物質の濃度は10の60乗倍希釈されることになります。こんな極端な希釈を行えば、水の中に元の物質が含まれないことは誰もが理解できることです。「ただの水」ですから「副作用がない」ことはもちろんですが、治療効果もあるはずがありません。

日本学術会議会長から第一三共に天下った金澤談話

金澤一郎(1941年6月20日~2016年1月20日)は、日本の医師、医学者(神経内科学・脳科学)。位階は正四位。勲等は瑞宝重光章。学位は医学博士(東京大学・1974年)。国立精神・神経センター名誉総長。

筑波大学教授、東京大学医学部教授、文部省学術国際局科学官、東京大学医学部附属病院院長、国立精神・神経センター神経研究所所長、宮内庁長官官房皇室医務主管、日本学術会議会長、国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉大学大学院院長、学校法人沖縄科学技術大学院大学学園理事、第一三共株式会社取締役などを歴任した。(Wikipedia)

無師直感流哲学会議会長:武智倫太郎談話

 金澤談話では『科学の無視』と述べられていますが、金澤一郎が科学者であるにも関わらず、明確な科学的説明や証拠を提供せずに断定的な表現を用いた点は、科学者としての適切な行動とは言えません。

 レメディの製法に関する説明は、そのプロセスの正確性については正しい可能性があります。しかし、『振盪』というホメオパシーの製法は、物理的な振動を通じてエネルギーを伝達するという概念に基づいています。現代科学では測定不能なエネルギー形態には、情熱や愛情、魂、霊、怨念、記憶、意志などが含まれますが、ホメオパシーにおけるエネルギーを科学的に否定しようとする試みは、魂の存在を科学的に証明しようとすることと同様に困難です。金澤談話では、ホメオパシーの一般的な製法について説明していますが、その理論や目的を完全に理解しているわけではないようです。

 ホメオパシーを支持する人々は、水が元の物質の『記憶』を保持すると主張しています。科学的な合意はホメオパシーのレメディが #プラセボ効果 を超える効果を持つとは支持していませんが、この主張はホメオパシー理論の全体像を完全に捉えているわけではありません。ホメオパシー理論を科学的に否定するには、科学的な証拠に基づく必要があります。そうでない場合、その主張は科学者の立場から成立しないでしょう。

 本稿はホメオパシーを推奨しているわけではありません。日本国内でホメオパシーの専門家の大半が誤解に基づいた説明をしている現状と、科学者であるにも関わらず科学的な根拠を示さずに、理解できないものを否定することがある日本の学術界の問題点を指摘することが本稿の目的です。

 以下のおおかみさんの記事は、ホメオパシーに興味がある方にはお勧めします。彼女の記事は、自身の経験談や肯定的な書籍、批判的な記事の両方を紹介した上で、『科学であろうと、エセ科学であろうと、狂信は危険だ。』と結論づけています。

 おおかみさんがこのような記事を書けるのは、ホメオパシーでの金儲けを目的としていないからです。記事内でアフィリエイトではないことにも言及しており、特に一冊63円の中古本を紹介している点が注目に値します。仮にアフィリエイトであったとしても、63円の古本販売からの収入はゼロです。(笑)

#武智倫太郎

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