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『魔法のどんぐり』/掌編小説

ころっとした一粒のどんぐりを両手で包む。
「どんぐり、どんぐり、どどんぐり。」
両手の隙間からパッと光が漏れる。

ゆっくりと手を開くと、どんぐりがきれいな包み紙のキャンディーになっていた。
子供たちが歓声を上げる。
「わ~。すげー。」
「なんでぇ?」
「これって魔法?」

「魔法だよ。みんなにもできる。温めながらほしいものをイメージするんだ。失敗しても諦めないで。希望はいつだって、君の中にあるんだよ。」

あの日以来、魔法使いのおじさんには会えなかったけれど、どんぐりを見つけるとつい拾って帰るようになってしまった。
ポケットにはいつもどんぐりがいっぱい。
還暦を過ぎた今、ずっとやりたかったマジックに挑戦しようと思っている。



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