第13夜👀猫の模様のあれやこれ　　《第1章》猫のルーツはキジトラ

2023年12月29日 15:59

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今回は、猫のいろいろな模様についてのお話です。

下の黒猫の写真は、相棒猫の”もも”です。
”もも”の名前の由来は、黒い猫にも関わらず、写真のように１本白いヒゲが生えていたことにありました。

不思議ですよね。
黒い猫なのに。。

それで、”一”本　”白”い　で、”百”の漢字を連想し、訓読みで”もも”
と名付けました。

　”百（もも）”とは「数が多いこと」を意味し、縁起の良い字だそうです。
多くの楽しさ、嬉しさ、そして才能に恵まれ長生きしますようにと、願いを込めて名付けました。

1.　猫の模様はキジトラから始まった

猫の模様と言えば、キジトラ、サバトラ、茶トラ、白、黒、サビー、そして靴下を履いたような足だけ白い猫や三毛猫など、色の違いや模様の違いなど細かく分けると50種類以上にもなるそうです。

しかし、もとは1つの柄だった

私たちの周りにいるイエネコのルーツは、中東に生息している野生のリビヤヤマネコと言われています。そうなのです。もとは１つの柄だったのです。

リビアヤマネコは、黒と茶色の縞模様で、「キジトラ」の柄によく似ています。両者は、毛色や模様をつくる遺伝子の構成がほぼ同じだということも分っています。

そして、リビアヤマネコと同じキジトラ柄の猫は、古代エジプトでもヒトの身近に存在していました。猫を崇拝し、遺体をミイラとして保存していた古代エジプトの人たち。発見された猫のミイラを調べると、その生息地域などにより若干色のつき方に違いはあるものの、なんと！全てはキジトラであることが分かりました。猫の祖先といわれるリビアヤマネコと同じ柄だったのです。

動物遺伝学の専門家で元東京農業大学教授）大石孝雄(おおいしたかお)さんによると、猫の色はキジトラから、サバトラと茶トラに分れたそうです。

２. 　シマ模様じゃない猫は、突然変異だった

シマ模様じゃない猫が絵として残る最古のものは、6世紀頃のギリシャで描かれた白黒の猫です。
シマ模様ではない猫は突然変異によって生まれました。これは、キジトラの模様を作っている遺伝子の突然変異なのです。
縞模様を作る“アグーチ遺伝子”は1本の毛を層状に色を変えて染める働きがあります。突然変異により、アグーチ遺伝子が働かなくなり1本の毛が1色からなる、模様がない猫が生まれましたという訳です。

アグーチ遺伝子が働かなくなり1本の毛が1色へ　https://news.mynavi.jp/article/20150212-a126/

猫の毛色や模様を決める９種類の遺伝子座

猫がどんな毛色や模様になるかは、「遺伝子座」という染色体の一部が関与します。遺伝子座は９種類あります。

「トラねこのトリセツ」（東京書籍）で紹介されている遺伝子座は以下になります。【例】はこちらで追記しました。

　Ｗ(ホワイト、白)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【例】青い目と聴覚器官に強い影を及ぼすと考えられている
　Ｏ（オレンジ、茶）【例】キジトラにO遺伝子があると茶トラになる
　Ａ（アグーチ、１本の毛に縞が入る）
　Ｂ（ブラック、黒）
　Ｃ(カラーポイント、顔や体の先の方に色が出る)【例】シャム猫
　Ｔ(タビ―、縞)
　Ｉ（インヒビター、シルバーが出る）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【例】キジトラにＩ遺伝子があるとサバトラになる
　Ｄ（ダイリュート、色を薄くする）
　Ｓ（スポッティング、体の一部を白くする）

これらに顕性（優性）、潜性（劣性）の遺伝子が組み合わさり、どの遺伝子が強く出るかで、猫の柄が決まります。その柄は、茶トラ、キジトラ、黒、白、黒白、サビ、三毛、茶トラ白など、全部で16通りにもなります。

猫の毛柄の法則

興味深いことに、猫の毛柄には法則があるそうです。
それは、「背中の上からソースをたらしたように、色がついていく」というもの。
確かに、実家の白黒猫の睦月（むつき）は、黒いブチ（又はマーブルのような模様）が出やすいのは背中やわき腹、頭などで、お腹の中心は白くなっています。

さらに、長毛も突然変異

柄だけでなく、長毛の猫も遺伝子の突然変異によるものです。暑い地域で長毛の猫が生まれると淘汰されてしまいますが、寒い地域ではとても有利に働きます。11月ゲストのモフパパさん宅のノルウェーのノルウェージャンフォレストキャットなどは環境に適応することで遺伝子を残してきました。

ノルウェージャンフォレストキャットのお話は、
こちら「第12夜　フレイ君」をご覧ください

3．　海外から来た猫たち
　　　尾曲やオレンジの毛色の猫

尾曲がり猫

日本の”尾曲がり猫”発祥の地と云われるのが長崎県です。
なんと、80％の猫が尾曲りで、典型的なのは先が折れた鍵尻尾。ボンボンのような短い尾や、尾がないものもいるそうです。

この尾曲がり猫を調査・研究している長崎ネコ学会（旧長崎尾曲がりネコ学会）団体によると、日本の鎖国時代、インドネシアに生息していた尾曲がり猫の祖先が外国貿易をしていた長崎に船と共にネズミとりとしてやって来て、長崎に根付いたそうです。
尾曲がりは、今もタイ、マレーシア、インドネシアなどに多いそうですよ。

「まがりしっぽ」の尾曲がり猫　https://www.welcomekyushu.jp/article/?mode=detail&id=456

長崎市は「尾曲がり猫神社」もあります。
なんと！先程登場した”長崎ネコ学会”が発足10周年に、長崎の有名観光地である眼鏡橋すぐ近くの路地に2019年4月にオープンした新しい神社です。
長崎発祥「尾曲がり猫」の聖地として、幸せを運ぶ尾曲がり猫祭神が祀られています。
神社の運営は、長崎ネコ学会の有志の方のボランティアさんたち。町おこしや尾曲がり猫の啓蒙活動の場としても発信されています。
神社では、熱い思いをもった猫好きの巫女さんが出迎えてくれるそうです。

https://www.welcomekyushu.jp/article/?mode=detail&id=456

建物の中は拝殿兼店舗。奥には賽銭箱や天井から吊るされた鈴もあり、通常の神社と同じように参拝できます。お賽銭はすべて全国の猫保護団体に寄付されるとのことです。

便利なネット販売もありますので、こちらにご紹介しますね。

オレンジの毛色の猫も海外からやって来た

そして、「オレンジ」の毛色のネコも国交が盛んになった江戸時代以降という説が有力とされています。
オレンジの毛色の入った毛柄は、「茶トラ」「ミケ」「サビ柄」で、とくにトルコ周辺や、東南アジア、中国、日本などのアジア圏を中心に多くみられます。その一方、ヨーロッパには比較的少ないことがわかっています。
一説では、「オレンジの毛色を作る遺伝子」をもつ猫は、トルコ付近で突然生まれ、その後東南アジアから東アジアに向かって広まったのではないかと考えられているそうです。

三毛猫のオスは「3万分の１」の確率でしか生まれない

オレンジの毛色を作る遺伝子を持つ猫の中でも遺伝の仕組みがユニークだと言われるのが三毛猫です。
三毛猫は、茶、黒（またはキジトラ）、白の3色の柄が出ている猫です。
古来からの日本猫の特徴をよく残しているといわれ、はっきりとした3色の毛をもつ猫は世界的にも珍しく、「MIKE」は英語にもなっています。
この三毛猫はオスでは「3万分の１」の確率でしか生まれないといいます。

三毛猫　https://www.axa-direct.co.jp/pet/pet_cat/library/tortoiseshell_cat.html

三毛の茶色を決めるＯ遺伝子だけは、性染色体のＸ染色体上にあります。メスはＸＸ染色体で、オスはXＹ染色体。オスは茶（Ｏ）と、黒あるいは縞（o）の2色を持つことができません。このため、オスの三毛が生まれるのは染色体異常の時だけです。とても珍しいため、航海のお守りとして珍重された時代もあります。

タロージロー物語でお馴染みの南極観測隊。この南極観測隊が「タケシ」というオスの三毛猫を同行させています。
1956年、第1次南極観測隊が旅立つ2日前の11月6日、動物愛護団体の女性が「旅のお守りに」ということで事務所を訪れ、急きょ乗船が決まったといいます。

南極へ同行したタケシ　https://www.konekono-heya.com/karada/colorpatterns.html

南極観測隊に同行したタケシは同行したカラフト犬たちのように荷物を運ぶ事も出来ないので、ペットとして可愛がられていました。昭和基地の周りを隊員たちと散歩していたそうです。

無事に帰国した「タケシ」は、南極でタケシを可愛がっていた毎日新聞記者の越冬隊員に引き取られます。しかし、留守中に脱走して行方不明となってしまったそうです。

第2章へつづく

≪参考≫

・リビヤヤマネコの写真：https://jp.unicharmpet.com/ja/web-magazine/cat-000036.html

・猫のミイラと女神バステト：https://gigazine.net/news/20181113-cat-mummies-near-pyramid/

・トラねこのトリセツ (東京出版）– 2018/9/3
大石孝雄 (監修), ねこまき (イラスト)ほか

・オッドアイの猫は幸運を招く？左右の目の色が違う猫の秘密とは：岩田麻美子_2022/06/15：https://allabout.co.jp/gm/gc/446450/

・猫は平安時代から人と暮らしていた⁉日本の猫の歴史と毛柄の関係
_20180925：

・猫の柄はもともと1種類しかなかったって本当? - 獣医師が解説_　　　　　獣医師_山本宗伸_20150212：https://news.mynavi.jp/article/20150212-a126/

・尾曲がり率全国トップの8割超え！幸せを招く尾曲がり猫に会いに長崎へ！_20210224
：https://www.welcomekyushu.jp/article/?mode=detail&id=456

・尾曲がり猫神社（ネット販売）　：https://omagarinekoz.thebase.in/

・三毛猫の写真、三毛猫（日本猫）ってどんな猫？性格と特徴　
：https://www.axa-direct.co.jp/pet/pet_cat/library/tortoiseshell_cat.html

・南極へ同行した三毛猫タケシ　子猫のへや
：　https://www.konekono-heya.com/karada/colorpatterns.html

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