マガジンのカバー画像

小説「黒の悪魔が死ぬまで。」

52
伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。 その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が …ある日、突如として、現実世界にーーー誕生した。 さっぱり読める、安心…
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

第52話「先回り」

「ハァハァ…。もう、追ってきてないよな?」

俺は、一度も後ろを振り返らないまま、
ただひたすらシオンを引っ張って…

路地を走り回って、人気のない方を選んで進んだ…んだけど。

「てか、追っ手がどうこうより…

俺たち、今どこにいるんだろ?」

俺は苦笑いして、
掴んでいた手を離し、隣に立つシオンに話しかけた。

俺たちの周りには、いつの間にか建物が無くなっていて。

小さな川と、そこにかかる小

もっとみる

第51話「”禁色”の少年」

(ここに、俺と同じ”禁色”が…。

ひどい目に、あってるらしいし、
早く見つけて、助けてあげたいな。)

はやる気持ちを抑えて。

一応初めてくる場所だから、
黒の隊服をコートで隠して歩く。

ホワイトノーブルは、
まだ表立って戦う気は無いみたいだけど…

さすがに、こんなところで
ヤツラに見つかるのは避けたかった。

そんなこんなで、自分でも少し怪しいなと思いながら
コートの前をピッタリと閉めて

もっとみる

第三章(来たる日に備えて):第50話「特色隊、通常運転」

『ま〜だ着かないのぉ〜?お腹すいちゃったなぁ〜。』

「その姿で”お腹すいた”は無いでしょ!全く、また勝手に出てきて…。」

昼食を終えて、あれからすぐに出発。

ペアレの背に乗って、”目的の村”まで駆け抜けて
さすがに陽が落ちてきたから、各自徒歩に切り替えたその頃。

”また”、アオ兄が薄い赤色の鳥として、勝手に発現してきた。

『だってぇ〜。本格的に日が落ちたら、もう出てこられないんだもん!兄

もっとみる