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みんな大好き、黄色いドレスを着たベルや愛を見つけハッピーエンドを迎える野獣。ディズニーの映画の中でも1,2を争うほどの人気作品です。

しかしストーリーをよく考えてみると
・真の悪役は誰なのか
・野獣の罪

の2点が浮かび上がってくるのです。

私もディズニーのアニメを初めて見たのは子供の頃だったので、大人の今になって考察するようになり気づいた点でした。

美女と野獣の原作は1740年にフランスのガブリエル・ヴィヌーヴ夫人が書いたものですが、この記事ではディズニーが最初に出した映画のみを見ていきます。

「美女と野獣」好きな方は是非読んでみてくださいませ。



真の悪役はガストンじゃない


ディズニーではガストンが悪役として描写され、スマホゲームのツムツムでもヴィランの一人としてカウントされます。

でも実はこの物語の諸悪の根源はガストン登場のはるか前に出てくるのです。

その正体は、プロローグで語られた「魔女」!

醜い老婆の姿で野獣の前に現れ、門前払いにされた後美女に戻って「21歳の誕生日までに誰かを愛し、その人からも愛されなければ一生野獣の姿のままになる」という呪いをかけます。

しかも呪いにかかったのは野獣一人ではなく、城の使用人全員にも及んだのでしたね。

ではなぜこの魔女が悪役なのかを説明していきます。

まず考える点はストーリーが始まる時点では野獣は21歳になる直前です。
これはバラが終盤でよれきってしまうのでわかります。

つまり野獣は20歳。

次に考察の材料として出てくるのは、ベルが父親の代わりに捕らわれの身になった後にお腹を空かせて部屋から出てきた後。

ルミエールやコグスワースが彼女を見つけ、ポット夫人たちとホールで歌とともにもてなします。

注意したいのが、この歌の内容です。
「ひとりぼっちの晩餐会」では英語の歌詞が和訳されても、1か所省かれずにいた重要なキーワードがあるのです。

歌と歌の間にルミエールがコグスワースとコント(?)をしているときにこう言います。

「10年間何もできずに 自分の腕をふるうこともできず
すっかりなまけて いつかさびついて」

ちなみに英語歌詞でも
"Ten years we've been rusting 
Needing so much more than dusting 
Needing exercise, a chance to use our skills!"
と、しっかり数字が入っています。

この歌でわかるのは、すでに10年以上呪いがかかった状態だということ。
すると…

野獣が呪いをかけられたのは、彼がわずか10歳の時!

どうでしょう、もし自分が10歳児で怪しげで汚い老婆が自分の家のベルを鳴らして家に入ってこようとしたら。

子供だったら誰でも怖がってそのままドアを閉めるでしょ!
ってか親だって自分の10歳の子供に怪しさ爆発の老婆が近づいてきたら、子供に離れるように言うと思います。

やっと年齢が2桁になった子供に「内面の美しさ」を理解できなかったために呪いをかけるのは酷すぎると感じるのは私だけでしょうか…?

突然パーティーに招かれなく激怒したマレフィセントに人間味が出てきます。


野獣の罪


10歳で野獣に、城のものもすべて家電(?)に変えられてしまった彼の心境はあまりよろしくありません。

キレやすい性格となり、城の使用人全員から恐れられてしまう存在となりました。

そこに我らがヒロイン、ベルが城の日常を変える存在として登場します。

父親の代わりに捕虜となった彼女に野獣は「西の塔にだけは入るな」と言いつけます。

もうすでに物語を知っている人は
「西の塔には呪いを解くバラがあるから」
野獣が頑なにベルが入ることを拒んだのだと思うでしょう。

私も長い間そう思っていました。

しかしあの部屋には物語の象徴である魔法のバラ以外にもものがあります。

例えば…

  • 人間男性の肖像画(野獣が爪で破いたもの)

  • 敗れたカーテン

  • 壊れた家具

などなど。
外の姿に似合わず、城の中身はこの部屋以外は整っており居心地がよさそうです。

ここで魔女が城にかけた呪いについて考えましょう。
城の人間を家具に変えてしまう、というものでしたね。

ベルが閉じ込められた部屋にもドレッサーの姿となった女中がいます。

すると西の塔にあった「壊れた家具」は…

家具に変えられた元人間ということになるのです。

唯一城の中で荒らされているバラのある部屋。
ここで野獣が絶望のあまり暴れまわり家具が全て壊れた状態となっているのです。

つまり怒りと自棄、悲観により「家具壊し」=「人殺し」を野獣は犯してしまったということになります。

野獣の両親である王様とお妃さまが見当たらないことから、親殺しの可能性も浮上します。


「でも元から家具だったかもしれない!」「ベルの部屋にだって、ベッドは人間じゃなかった!」という主張もあるかもしませんし、私もその通りだと思います。

ただ野獣というキャラクターに限りない闇を語らずとも与えうるこの塔が持つ可能性を考えると、一気に物語の印象が変わるのも確かです。


どう解釈するかはあなた次第。
大人になって初めて闇がちらついたディズニー作品の考察でした。


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