ヘッドレス・モアイ

特に何もやってないです。今後、創作の痛いやつあげるかもです。なろうと重複投稿有り。

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最近の記事

もう少し、あなたのとなりで

朝起きて顔を洗う。これが高梨結子(たかなしゆいこ)の日常だ。おそらくどこの誰だろうと大して変わらないだろう。 「結子~。制服用意したから早く着替えなよ~」 少年の声が寝室から聞こえる。世話焼きな同居人が気を利かせてくれたようだ。 「はいは~い。すぐ行くから待ってて~」 歯を磨いて宣言通りすぐに寝室に向かう。 そこには焦げ茶色の異形があぐらをかいて待っていた。 「まったく、あんまり時間ないよ?昨日夜更かしするからこうなるんだよ?」 異形がガミガミと叱る。 結子はそれを聞き流しな

    • エーテルの水面 第六話

      霧島が深夜の道路を揺られて辿り着いたのは、東京の中心地から外れた都市学園の研究所だった。誰でも想像はつくだろう。装備の研究を行いかつ襲撃頻度の高い都市に近い場所、そこが彼ら超常科学対策局の在処なのだ。この手の都市が東京だけで八つあることが特定を妨げる要因だろう。 霧島がボヤッとしている間に袴田は下車し、降りるよう促す。 ハッとしながら急いで扉を開けて車外に足を踏み出す。あまり力を入れないようにして扉を閉め、目の前の建物に歩きだす。背後では袴田が車に鍵をかける音がした。 少し駆

      • エーテルの水面 第五話

        懲罰房での二度目の目覚めは突然やって来た。体内時計が正しければ深夜手前だ。こんな時間になんの用があるのか。訝る気持ちは抑えられない。 制服姿の担当官はかなり速足に霧島を連れていく。火急の用なのかと緊張が霧島にも伝播する。 夜遅いにも関わらず慌ただしいのが襲撃後の常だ。自衛官達はそれぞれの仕事をこなすのに忙しく、こちらに注意を向ける気配もない。 査問と同じ部屋に到着して早々、査問官の中央に座る白髪の男が口を開いた。 「単刀直入に言おう。霧島三尉、君に超常科学対策局から招待が来て

        • エーテルの水面 第四話

          霧島が意識を取り戻した時、彼は薄暗い天井に見下ろされていた。彼の頭の回転はそこまで速くないが、それでも誰かに答えを教えられるよりは早く、その状況を理解した。 懲罰房の寝台、その上で自分は手を重ねて寝ていた。手が組まされていたら、葬式の遺体になるところだった。 閉じ込められているという状況に対して、少しばかり呑気な考えだと思わないでもない。しかし、今の自分に焦るようなことはない、そのはずだ。 仮に何かしらの処分が下るとして、意識の無いうちに行われはしない

        もう少し、あなたのとなりで

          天狗の帰郷

          藩主の息子、敦重(あつしげ)は酷く混乱し、悩んでいた。三日前、自分が天狗だと知らされてから。 その日の夕方、誰も居ない中庭で一人佇んでいた敦重は何かが羽ばたく音を聞いたように感じた。そして足元の手前に落ちた影法師を追い、瓦の上に立つ何者かを見上げた。 翼を背中に背負った何者かが告げた。自身は天狗であり、お前もまた天狗であると。 敦重は目の前の奇人を訝った。いや、訝るべきだった。しかし彼は理性を失ったかのように、当たり前にその者の言葉を受け入れた。 常人であれば人を呼び捕らえさ

          エーテルの水面 第三話

          「変身!」 決意とともに放たれる言葉が一瞬の静寂を切り裂く。不意に霧島は電撃のような刺激が身体に伝わるのを感じとる。駆け巡る電撃の裏にわずかな波動。しかしそれは霧島の肉体をより強靭にするための祝福などではない。 その身に起きたのは変化というにはあまりにも「異変」に近い現象だった。 全身の筋肉が自らをがんじがらめにするように強張り、痛みは神経全てを焼き切らんばかりに暴れ、身体を駆け巡る。霧島の表情は苦悶に歪み、決意は苦痛によって蹂躙されようとしていた。口から溢れ

          エーテルの水面 第三話

          機械仕掛けの狩り

          街は生きている。その最小単位が何にしろ、この街にはおおよそ二種類の活動単位が存在する。一方はヒト。ヒト、人、人間、人類。何千年も前から文明を築き、その営みをより豊かにするために活動してきた古い存在。全ての人が発展を求めているとは限らないが、少なくともこの街に住む者はそれを求めているだろう。 その証拠こそがもう一つの活動単位、ロボットだ。それら、あるいは「彼ら」は人類の発展によって誕生し、技術向上により人の隣に立つようになった。人工知能の高度化によって自律運用を可能とし

          機械仕掛けの狩り

          エーテルの水面

          二十一世紀初頭、地球上の人類は科学技術の発展による繁栄を続けていた。人類の技術はかつて先祖達が夢見、追い続けた域に手をかけていた。そんな躍進を遂げる人類の前にある時とある物質が現れた。その名を「エーテル石」。これは発見時鉱物の特徴を備えた物質であり、「エーテル鉱石」などとも呼ばれた。「エーテル石」の発見は最初、新たな元素の発見という形で科学の場に迎え入れられた。しかし、急激な発展によりあらゆる現象を解明し貪欲に取り込み続けた人類に、その物質は予想だにしない答えをもたらした。

          エーテルの水面 第二話

          東京の市街地に現れたフォーリナーは三体。それも常に人で賑わう通りに。通常フォーリナーは一体で現れることが多く、その一体でさえ尋常ではない被害をもたらし得る。人の多い場所に過剰な戦力。条件は最悪。恐らくフォーリナーの出現時に大勢の一般人が巻き込まれ死亡しているだろう。フォーリナーの出現は落雷に似ている。上空から光が降ってくる。そしてその落下地点周辺には衝撃波が襲いかかる。衝撃波そのものによって被害を受けなくても、ガラス張りの建造物の多いここ東京では割れたガラスによって命を落とす

          エーテルの水面 第二話

          創作一号につき名前はまだ無い

          二十一世紀初頭、地球上の人類は科学技術の発展による繁栄を続けていた。人類の技術はかつて先祖達が夢見、追い続けた域に手をかけていた。そんな躍進を遂げる人類の前にある時とある物質が現れた。その名を「エーテル石」。これは発見時鉱物の特徴を備えた物質であり、「エーテル鉱石」などとも呼ばれた。「エーテル石」の発見は最初、新たな元素の発見という形で科学の場に迎え入れられた。しかし、急激な発展によりあらゆる現象を解明し貪欲に取り込み続けた人類に、その物質は予想だにしない答えをもたらした。

          創作一号につき名前はまだ無い