#四季
茶湯からの、便り 十三
"山笑う"
今日、茶杓の銘に使おうとしていた言葉
冬枯れた山から緑が芽吹き始めた
春の山のさま。とのこと
丁度、今年初めて山梨の山の中で目にした光景だった
昔々の人が、同じような景色を見て
あぁ、山が笑っている様だ
とこの言葉を頭に浮かべたかと思うと
粋すぎるよなぁ日本人
他にも、調べていたら桜の異称として
"夢見草"
という言葉が出てきたり
木の切り株などから萌え出る芽のことを
"蘖(ひこば
茶湯からの、便り 八
今日はお稽古に行く前に
いい加減、そろそろお手前を間違えたくなくて
動画を見ながら手順の予習をした
あれの次はこれ
それをしてーそれでーあれか
よし
頭に入ったぞ
頭いっぱいのまますぐに稽古に入ったら
頭動いて心動かずになってしまった感じがする
いままでで一番すーっと流れよくできたけれど
あれ。なんかちがうな。という感じ
頭をすっからかんにして
身体に任せるから
心を動かす余白ができるのかと
茶湯からの、便り 一
一番静かな踊り
美しくかっこよく
指先までかかとまで
身体に軸をもって
舞うように
軽すぎず重すぎず
地面を舞うように
茶をいれる
水面にとびこむ蛙がみえたような
濃い
美しい苔の張った丸い水面に
吸い込まれるように
飛び込んでゆく
まろやかな
やわらかな
お湯がやさしく
電気ではなく炭火のあたたかさを
自然のやさしさを味わう
冬の霜がはったような乾菓子をいただきながら
これから一層肌寒くな
茶湯からの、便り 二
意識をもてばもつほど
こうしなきゃああしなきゃ
どうしたら美しいのか
頭を動かせば動かすほど
身体はロボットのようにギクシャクと動く
朝起きて
ねぼけまなこで頭はまったく動かぬ中
身体が勝手に暖かい飲み物を求めて湯をわかし
ぽけーっとしながら、やかんから湯を注ぐときは
なんともゆるやかにいい余白で淹れられるのに
頭は身体をかたくする
そういえばこの間
コンタクトインプロビゼーションをしたときも
茶湯からの、便り 三
お稽古を終えて外に出ると
冷たい雨が降っていた
目の前の公園の木の葉に目が止まる
綺麗…
思わず声が漏れる
薄い緑と淡いピンクの葉が雨に濡れている
その隣にふとめをやると
対照的にしっかりとした強い緑の葉にピンクの椿
しばしそこで止まる
そのまま帰り道をあるいていると
足元に大きな赤い紅葉
うちの近所の紅葉はまだ色づき始めたばかり
真っ赤に色づく葉にすこしの驚きとともにうえをみあげると、視界が
茶湯からの、便り 四
帰り道
歩く早さが遅くなる
とつ
とつ
とつ
せかせかとした日々がスローダウンして
身体からいい具合に力が抜ける
明石というお茶碗で今日はお茶をいただいた
ほんのりピンク色がかったお椀
今が春ならば、桜の花びらが水面に落ちる姿を想像したかもしれないけれど
今は冬
なんだか土の温かさも相まって焚き火にあたっているようなあたたかな想像をした
そそと生けられた水仙の花
一つは上を向き
二つは仲良くひ
茶湯からの、便り 五
歳月人を待たず
二〇二〇年最後のお稽古
先週から7日しか経っていないのに
いっきに寒さが増して
震えるほどになってきた
真っ赤に染まっていたもみじも
枝のさきでちりちりに縮こまって風に流れていくのを待っている
うう
寒い
釜からお湯を掬いながら
今日の湯はなんだかとろっとしているな
透明というより少し白っぽく思える
と考えていた
たてた茶を飲むと
やはり、とろっとまろやかでやわらかい
お炭
茶湯からの、便り 七
普段の景色が少し違って見える
見えなかったものが見えるようになる
聞こえなかったものが聞こえるように
香らなかったものが香ってくるようになる
それが私にとっての茶の魅力のひとつ
公園に鮮やかな桃色が見えた
桃の花かな
立春もすぎ
今日はぽかぽかと暖かい
少しずつ春のはじまりがみえる
それでもまだまだ冷える季節
掛け軸には 紅炉一点雪 とある
木造平家の、壁や屋根があるようでないような家の中
赤