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茶湯からの、便り

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茶を習いながら、感じたことを言葉に。
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さざんか、さざんか、咲いた道。久しぶりの茶の時間のあとで

さざんか、さざんか、咲いた道。久しぶりの茶の時間のあとで

音が、よく聞こえる

親しい仲間を呼ぶように囀る鳥
風にそよぎ擦れる葉
からからと地面を転がる枯葉

岩が見える
土が見える

五感が戻ってきたようなそんな感覚

ただ、意識的に見つめようと開こうとしているだけなのかもしれない

でもどこか
体の詰まりが取れて
すーっとしたようなそんな気がする

すっきりとしていて
入ってきていいよ
と体が言っているようだ

あっというまに師走
もうすぐサンタクロ

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夏よ、夏らしくあれ

夏よ、夏らしくあれ

暑い
とにもかくにも暑い
おーしーんつくつくうぃーうぃーうぃーうー
みーんみんみんみんみんみーん
けたたましく、蝉が鳴いている
8月も26日
あっという間に夏が過ぎようとしている
大きな雲とももうすぐしばしの別れか
朝晩には鈴虫も鳴き始めた

昔のように稽古の後に感覚が開く感じが無くなった
茶室が少し忙しなく
時がうまく離れてくれない
自分の心も忙しなく
なかなか落ち着いてくれない

8月はお箱の

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滝と天狗とふらふら瓢箪

滝と天狗とふらふら瓢箪

蝉が鳴き始めた
今日、鳴き始めた

雲がもくもくと
空のぱかーん!と青くなって
夏が来たことを体感する

稽古場からでた空気はぬるく
風にはまだ少しだけ涼しさが残る
最近少し稽古で見える世界が減っている
事実のほうが頭に入る
なぜだろう

今日のお稽古で使った水差しの蓋は
葉っぱだった
背が高い人の大きな手ぐらいの大きさ
昔の人はこの葉を短冊の代わりにして
炭で願い事を書いたという
葉の名前は何度

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茶室ですごすあいだ

電気

コンクリートの道路
ジーパン
iphone
プラスチックケース
Tシャツ
時計

いま目に見える近代的なかれら

この200年で
わたしたちは色んなものを手に入れた

その色々なものが無い茶室で
過ごす間が尊い
時間というより、あいだというかんじ

時という概念が消えて
そこにただ自分という人間を置いている
という感覚









1文字の彼らしか
そこにはいない

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たぬきと龍

たぬきと龍

頭に言葉が浮かばない
体がすーっとしている
気持ちいい
鳥が鳴いた

今日の湯は熱かった
もうもうとあがる煙
赤く燃える炭が分福茶釜の隙間から見える
釜の両端にはしゃーと怖い顔をした龍
だけど形はたぬきの腹のようで
可笑しいんだか怖いんだか
ぼーっとゆっくり湯をすくっていたら
手を火傷しそうになった

背丈の高いがっしりとした男の方のお手前を拝見した
しなやかで品のあるお手前だった

茶室には四角

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立方体の紫陽花

立方体の紫陽花

今日は30度まで気温が上がった
ぬるい夜風がそよいで笹の葉を揺らす

あっという間に夏がすぐそこまで近づいている
まだ、蝉の鳴き声はせねど

紫陽花の綺麗な季節
色んな種類の紫陽花があることを
今年になって初めて知った

お稽古でいただいたのは
紫色をした紫陽花のお干菓子

角砂糖のような大きさの
立方体の小さな塊
お砂糖がまぶされて揺らすときらきらひかる
口の中に入れると
しゃりっとゆって
少し

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紫陽花のような夜

紫陽花のような夜

ばさばさと降っていた雨が
霧のような細かな線になった

空は黒くなく
群青と薄紫が混じったような色をしてる
紫陽花のような夜

空気は澄んですっきりとしていて
雨で濡れた土と葉の匂いがする

アスファルトは湿り
電灯の光にきらきらと揺れる
車のヘッドライトが眩しく目の前をすぎる

炉から上る湯気から温度が消える
暖かさや寒さではなく
出来立ての料理からあがる美味しい湯気や
龍が上に昇る姿のような湯

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茶湯からの、便り 十三

茶湯からの、便り 十三

"山笑う"
今日、茶杓の銘に使おうとしていた言葉
冬枯れた山から緑が芽吹き始めた
春の山のさま。とのこと
丁度、今年初めて山梨の山の中で目にした光景だった

昔々の人が、同じような景色を見て
あぁ、山が笑っている様だ
とこの言葉を頭に浮かべたかと思うと
粋すぎるよなぁ日本人

他にも、調べていたら桜の異称として
"夢見草"
という言葉が出てきたり
木の切り株などから萌え出る芽のことを
"蘖(ひこば

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茶湯からの、便り 十二

茶湯からの、便り 十二

ん。蝉が鳴いている
お稽古を終えて外に出て
薄手の羽織り一枚で心地よい天気になったなあと思っていると、ミーンとどこかから聞こえてきた
なんて早いんだ
まだだよ。友達は誰かいたかい?と心配になる
温まる地球の危機も同時に危惧する

今日の炉は
薄雲
という名で
湯をあたためる炭が見えない様に
釜の周りにUFOのように円盤上に板が張っていた
あたたかくなってきた季節
炭が見えると季節を存分に感じられな

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茶湯からの、便り 十

茶湯からの、便り 十

梅が咲き
早咲きの桜が咲き
春一番の風が吹いて
空気が少し和らいできた

今日は吊り釜
天井から吊るされたお釜が
ゆらゆらと静かに揺れる
炭で温められたお釜の蓋を開けると
そこからぐらゆらと煙のような湯気がたつ

少し俯瞰したところから
美しくお茶を点てる姿を眺めながら
ふと目に入るお茶の緑の鮮やかさに心を奪われる
ぐっと濃い緑色なのに
人掬いの茶杓の先が明るく照ってみえる
茶によって緑の色が異な

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茶湯からの、便り 十一

茶湯からの、便り 十一

恵みの雨
と雨を嬉しく思えるようになったのはいつからだろう
草木がふわぁ気持ちがいい〜お水美味しい〜と
喜んで見えるようになり
雨水を含んだ苔が美しく見え
木や葉に留まる雫を宝物を発見したように見つめるようになったら
雨が楽しくなった

今日のお茶杓のごめいは何にしようかと思いながら
調べていると菜種梅雨という言葉に出会った
菜の花咲く季節に連日降り続く雨とのこと
連日の雨ではないから駄目か
とお

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茶湯からの、便り 十四

茶湯からの、便り 十四

薫風自南来

3週間空いただけで
めっぽう空気があたたかくなりました
ぐーっと息を吸えば青々とした緑と
むくむく元気な土の匂い
気づけばあっという間に5月の気持ちのいい季節がすぎ、梅雨がそこまで近づいてきた
今日も曇り
ぽつぽつと雨が落ちている

今日は三友という名前のお稽古をした
お花と、お香と、お茶
その3つを5人で行う

それぞれ花を持ち寄り
床の間に飾られた真行草の花器に順々に活ける
ゆっ

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茶湯からの、便り 九

茶湯からの、便り 九

今日は少しお稽古前にも書いてみる
いまの気持ちは急か急かしていて
あと8分でお稽古が始まるので
急足で歩いている
いつもそう
どうしたってぎりぎりになってしまう…
ちくたくたくちくたくたくたくたく
歩く速度は、だぐだっだっだっというかんじ
夜道に光る自動販売機が眩しい
鼓動が早い
どこか少し緊張している

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春がはじまった
積もった雪がとけだして
土肌が顔をだす
冬は終わったかい?
日中の黄

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茶湯からの、便り 八

茶湯からの、便り 八

今日はお稽古に行く前に
いい加減、そろそろお手前を間違えたくなくて
動画を見ながら手順の予習をした

あれの次はこれ
それをしてーそれでーあれか
よし
頭に入ったぞ

頭いっぱいのまますぐに稽古に入ったら
頭動いて心動かずになってしまった感じがする
いままでで一番すーっと流れよくできたけれど
あれ。なんかちがうな。という感じ

頭をすっからかんにして
身体に任せるから
心を動かす余白ができるのかと

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