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茶湯からの、便り 九

今日は少しお稽古前にも書いてみる
いまの気持ちは急か急かしていて
あと8分でお稽古が始まるので
急足で歩いている
いつもそう
どうしたってぎりぎりになってしまう…
ちくたくたくちくたくたくたくたく
歩く速度は、だぐだっだっだっというかんじ
夜道に光る自動販売機が眩しい
鼓動が早い
どこか少し緊張している


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春がはじまった
積もった雪がとけだして
土肌が顔をだす
冬は終わったかい?
日中の黄色い光に起こされて
むくむくと土がめざめはじめる
あたたかくなった土の間から
ぼつ
ぽつ
と小さな新芽が顔を出す
梅が咲き
枯れた世界に
白や桃色がちらほらと
緑がぽっぽと

もう春か

なんて

早く暖かくなってほしかったはずなのに
冬とのしばしの別れが惜しくなる

寒さがあるからあたたかいという幸せがあるのだと
年中真夏のインドネシアで実感した幸福をおもいだす

雪間の新芽

春の窓

和菓子につく名前がとても好きだ

昔の日本の文化を知れば知るほど
日本人は見立てと想像の天才だったと思わざるを得ない


茶器

お軸
菓子器
菓子
水差し
着物


それぞれに意味を持たせ
さらに合わせて物語をつくる

直接的に何か一つを伝えるのではなく
奥にひっそりと物語を潜め
受け手それぞれに想像する自由さと楽しさのある余白をたっぷり残す
粋だ

昔の日本人と話がしたいなあ
その豊かさを受け継ぎたい

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