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女性のキャリアについて考える

「女性」を前面に出した活動は、ずっと避けてきました。

それは、私自身が、「女性」というカテゴリの中ではなく、その枠に縛られない「個」として活動したい、認められたいと思っているからです。

ただ一方で、わたし自身が育児しながら起業家として活動し、また、ひと妻DAOの運営代表としていろんな女性たちと関わるなかで、女性としての自分のキャリアと向き合わなければならない時間も増えました。

そうなってからやっと、
「女性」という枠に縛られず活動したいというのは表の理由で(もちろんこれも本心です)、実際のところはいままで、女性としての自分のキャリアや、ジェンダーギャップという社会課題にきちんと向き合えていなかった。目を背けていたんだと気がつきました。

わたしが就活していたころは、(そして今もですが)いろんな職場で『女性採用○○割』『女性幹部○○割』という基準があり、女性登用に力を入れていました。

もちろん、それ自体は悪くありません。
そうやって、女性リーダーを増やし、社会に多様性を生むことに意味はあります。

でも、これって、高度経済成長期、「男性が外で働き、女性が家庭を支える」という役割分担が前提で形成されてきた社会構造の中に、無理に女性をはめ込む構図になっている場合があり、ときどき「しんどいな」「それはダイバーシティではなく"同化"なのでは」と感じることがあります。

一方で20代の私は、ずっと同化して生きてきました。
だから、就職した後、職場で先輩から「女性は採用してもすぐに辞めちゃうからねぇ…。頑張ってね」と言われ、近しい人からも「女性は(優遇されていて)良いよね」と言わるたびに、愛想笑いしながら「わたしの悩みは、贅沢な悩みなんだ。女性だから大変って言っちゃいけないんだ。"すべて"は自分に力が足りないせいなんだ。」とずっと思いながら、なんとかその"環境に適応"できるよう頑張ってきました。

それに、小さなころからずっと男性の多い世界で男勝りに生きてきて、そこにある種のアイデンティティも感じていたので、就職や出産育児のタイミングで、急に女性である現実を突きつけられて、自分の中で消化することができなかった、というのもあると思います。

【国際女性デーに思うこと】 私は2000年に起業してからもう23年にもなります。 団塊ジュニアに生まれ、女子高生の時は女子大生ブーム、女子大生の時は女子高生ブーム、受験戦争は常に激化し、就職も氷河期。 就職面接や起業してからはいろんな...

Posted by Kahoko Tsunezawa on Wednesday, March 8, 2023


正直なところ、ジェンダーギャップって、本当に複雑な課題です。

女性だけじゃなく、もちろん、男性にも葛藤があり、それは本当にコインの裏と表。表裏一体なんだと思います。そして同時に、『多様な生き方が実現できる社会にしたい』という想いは同じ。

それに、今の社会構造と、時代の変化との間に"ズレ"が生じてきているのは事実。

だからこそ、「どっちが大変」「どっちがずるい」ではなく、わたしたちひとり1人が助け合い、手を組み、自分たちにできることで社会を少しずつ良くしていくことが大切だと考えています。

——田中先生が研究されている「男性学」とはどんな学問なのでしょうか。
 一言で言えば、男性が男性ゆえに抱える生きづらさや葛藤をテーマにした学問です。これまで、職業領域の問題について、女性学では女性の職場での地位や給与が低いこと、結婚や出産などにより退職や短時間勤務せざるを得ないといった問題を扱ってきました。その一方で、男性には一家の大黒柱となるために、仕事をし続けたり長時間労働したりせざるを得ないといった問題があります。こうした観点から男性の生き方を見直し、性別にとらわれない多様な生き方が実現できる社会を目指すのが男性学です。

男女の生きづらさはコインの裏表





そうやって自分の女性としてのキャリアを考えるなかで、自分自身の体験や活動を通し、「女性がビジネスの世界から離れてしまう」ということが課題なのではなく「ビジネスの世界とのつながりがなくなってしまう、というのが女性活躍や女性の自立を阻む壁のひとつなのでは?」という仮説を、持つようになりました。

ひと妻DAOなどで、わたしが出会う女性たちは本当に優秀で、スキルも意欲も情報感度も高く、本当に本当に魅力的な方達ばかりです。

一方で彼女たちは、時間の制約やブランクがあり、さらにはビジネスネットワークの外にいることで
① ビジネスの文脈を知る機会が少ない。
② ビジネスパーソンとのネットワークを築く機会が少ない。

そこに世界の分断があり、彼女たちの未来の選択肢が狭まっているのでは、と。

そう思うのは、私自身がそうだったからです。

もちろん、ビジネスだけがすべてじゃありません。ただ、外の世界とのつながりが途切れてしまうために、選択肢と可能性が狭まってしまうのは事実としてあると思っています。

とくに、仕事で成果を上げたり、繋がりを作ったりする前に、出産育児で社会から離れてしまうと、そこからビジネスの世界に戻るのはかなり困難です。

戻れても、経歴が不十分だったり、時間の調整が難しかったり、個としてのネットワークが弱かったりで、パートや派遣、クラウドソーシング、代わりがききやすい仕事といった、限られた選択肢しか選べなくなってしまう場合が多い。

本当はもっと選択肢と可能性があっていいはずなんです。

そして、女性の選択肢が広がるということは、そのパートナーや、一緒に働く男性にも選択肢が広がるということにも繋がります。


20代30代で生まれたキャリアの差は一生埋まらないという事実。なのに出産育児にもタイムリミットがある。そういった残酷な選択肢を、わたしたちは選ばなければならない。

若いときに生まれた差が埋まらない。本当にこの現実のままでいいのでしょうか?

これは私たち自身にとってだけじゃなく、自分の子供たちの未来にとっても、真剣に考える必要があることだと感じています。




わたし自身の話を挟みます。

わたしは、大学卒業後に農林水産省に入りました。

夫の地方転勤に合わせて、入省2年目で産休育休をとり、25歳で第一子を出産。27歳で第二子を出産しました。

出産までは計画通りだったのですが、その後は正直「思っていたのと違う…!」の連続。

同期と埋まらないキャリアの差と、そこから生まれる焦り。
ワンオペ育児で、家庭以外の居場所と、逃げ場や頼る場所がないつらさ。
認められず、社会から必要とされていないんじゃないか、という漠然とした恐怖感。

『なんとかここから脱したい』
『社会と繋がりたい』

正直、その一心で、起業したと言っても過言ではありません。

ただ、子育てしながら自分の強み活かしてキャリアを築けないかと模索するも、やっぱりそんなに簡単な世界ではなく、ここでも「思っていたのと違う…!」の連続でした。

(実績や繋がりを築く前に、夫の転勤と出産育児で、ビジネスの世界から離れてしまったこともあり)
誰にも相手にされず、打席にすら立てない
チャンスを獲得するにも一苦労
ただでさえ何も持っていないのに、フットワーク軽く動くことすらできない
ビジネスのネットワーキングや勉強会の場には時間が合わず顔を出せない
体力も精神力も限界

そんななかでも、せめてできることは頑張ろうと、オンラインで活動していたときに出会ったのが、web3やDAOであり、ひと妻DAOでした。

わたしは本当に運がよかったと思っています。

肩書や属性や年齢といったラベルがない環境で、しかも、時間や場所に制限されないオンラインのコミュニティ。普段なら繋がることのできない、情報感度や意欲が高い方たちと繋がることができた。

そこで、マルセロさんをはじめとしたビジネスパーソンの方々にも巡り合うことができ、最近やっと少しずつ、ビジネスの世界と繋がりなおすことができるようになりました。本当にありがたいことに、しっかりとした会社の方とも、お繋ぎいただく機会も少し増えました。

DAO活に出会わなければ、クラウドソーシングで買い叩かれる世界にいたかもしれません。少なくとも「自分の名前で活動する」というところまで行くのに、さらに今の何倍もの時間がかかっていたと思います。




もちろん、「つながりがあれば、すべてがうまくいく」というわけではありません。

繋がれるだけの、繋げてもらえるだけの、魅力は必要ですし、そのうえで価値を発揮していく必要もあります。

(こちらの書籍、オススメです!)


ただ、いざという時に繋がれる環境がある、アクセスできるチャンスがある、というは本当に大切。

とくに、これからは、寿命が延び、変化のスピードも激しくなる時代。女性だけでなく男性も、ギャップイヤーとして職場を離れ、人生を考えなおす期間をもつことが大切になってきます。

仕事を離れたり、職場を変えたりしても、戻りたいときに戻ってこれる緩やかな繋がりは、男女関係なく、これからの社会でより必要とされていくでしょう。


そして、緩やかに豊かに繋がることは、キャリアだけでなく人生も豊かにしてくれます。

ハーバードが突き止めた長寿で幸せな人生にただ一つ必要なもの
人生においてただ一つ、本当に重要なものは、他者との関係である

残酷すぎる人間法則


だから、わたしは、ジェンダーギャップという部分だけでなく、これからの時代の働き方という意味でも、場所や地域などの制限なく、緩やかに豊かに、そして自分らしい形で繋がれる場所としてDAOに魅力を感じています。

そして、DAOと社会とを、良い関係で繋いでいくことに意義と可能性を感じ、DAOを基盤とした事業作りを行っています。


(動画の後半10分ごろからDAOを基盤とした事業の話をしています)

キャリアを上り詰めたり、社会的な成功を収めたりするのが目的ではなく、いろんな人が繋がり、力を発揮することで、ひとりひとりと社会の可能性が広がるシステムを作りたいなと思います。


わたしは、わたしたちが、わたしたちだからこそできることで社会に貢献し、自分たちの未来を切り開いていく活動をしたい。

わたしたちらしい形で社会と繋がり、共創していきたい。

そしてやっぱり「女性だから」「ママだから」ではなく、「わたしだから」「わたしたちだから」という部分に、徹底的にこだわりたい。

それが、 Make our life free and beautiful で、真の意味での女性活躍や、これからの時代の働き方に繋がるとも思っています。


(ひと妻DAOの活動についてはこちらをご覧ください)

引き続き、いろんな方たちと協力し、共創し、輪と世界を広げながら、活動していきたいと思います!


新しい道を切り開く。不確かな世界の中を全力で走り続けられるのは、支えあい認めあい高めあえる仲間の存在があるからです。本当にありがとうございます。これからも、お互いの人生がリンクするところで、一緒に旅できると嬉しいです。

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和泉(小林)すみれ|ひと妻DAO|J-Nout代表
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