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『教育移住×越境人材×DAO』が拓く地方の未来

先日、子供を連れて、日本一人口の少ない県、鳥取に、出張を兼ねた帰省をしてきました。

そのタイミングで偶然に、ビジネスパートナーであるマルセロさんが、鳥取県北栄町が主催する複業人材イベントに参加。
その二日後、そこでのご縁で、わたしとマルセロさんで、北栄町にお邪魔するという急展開に…!
ちなみに人口1.4万人の町、北栄町は、スイカと名探偵コナンの町であり、そして、私の祖母の出身地であります。


一次産業と地方創生に関わりたくて農林水産省に入り、また、この2年近くはDAOワーク事業を通じて「これからの時代の働き方」を探求している私にとって、「地方×複業」は、まさに強く惹かれるテーマです。
さらに、東京でのワンオペ育児に消耗し、母親として教育環境にもアンテナが伸びていたこともあり、北栄町への行き帰りの列車社内ではマルセロさんと、これからの時代の教育、子育て、家族、働き方、キャリア、地域課題、地方の可能性など、テーマをまたいでブレストが大展開。

そこで『教育移住×越境人材×DAO』という有望な構想がみえたので、書き記します。


地方の課題

少子高齢化と人口減少がすすむ日本において、地方では特にそれが深刻で、過疎化による地域経済の縮小や公共サービスの持続性の低下が、さらなる人口減少と少子高齢化につながるという悪循環が懸念されています。

地域・地方の現状と課題|(株)富士通総研


たとえば
・子供の数が減ることで、学校の存続が難しくなる。学校数が減ると、子供たちや子育て世代も流出していく。
・働き手が減ることで、企業が撤退していく。地域企業が減ることで、魅力ある雇用先が減り、働き手が離れていく。
・人が減ることで、公共交通機関の維持が難しくなる。観光客や住民の移動が困難になると、観光客や住民が離れていく。

私が卒業した小学校もこの春に統合が行われ、高校も定員割れが続いています。地方の高校に勤める友人は、教育の質、子供たちの意欲や自信が下がることを懸念しており、地方においても、地方教育においても「どのようにして独自の魅力を発揮していくか」が課題になっています。

また、地方教育の課題として、ロールモデルの不在もあります。


高校を中心として地域を活性化

そんな複雑化・深刻化する地域課題と地方教育において、希望となる事例が『FC今治高校 里山校』です。

FC今治高校 里山校(FCI)とは、サッカー元日本代表監督を務めた岡田武史さんが学園長を務め、2024年4月の開校を目指す愛媛県今治市の私立高校です。

サッカー人材の育成ではなく、これからの世界の歴史を動かす「ヒストリック・キャプテンシップ」を持ったリーダーの育成を目指します。

FC今治高校 里山校は、長年続く定員割れで悪化した経営の立て直しと、時代にあった人材の育成を狙った改革として開校。

波乱で予測不可能な時代を生きるために必要な、キャプテンシップ(=主体性を持って困難に立ち向かい仲間を巻き込みながら力強く社会を変えていく力)を養うカリキュラムがとりいれられています。

その中でも魅力的なのが、地域をフィールドとした実践型の体験学習

FCIでは、「エラー&ラーン」でまずはやってみてそこから学ぶ、実践型の体験授業を重視しています。また、学びは学校の中だけのものではありません。今治というリアルな地域社会をフィールドに、実際に身体を使って体験してみることで、社会に通用する生きた学びを吸収していきます。

先日合格者が発表された推薦入試では、半分が県外からの生徒で、2/3が入寮を希望する結果に。

地域をフィールドとした教育を行い、地域の枠を超えて人を呼び込む。そうすることで、学生の成長だけでなく、地域全体にも活力が広がっていく。
もちろん簡単に真似できる話ではありませんが、これからの地方教育の可能性を強く感じる事例です。


進む教育移住

FC今治高校 里山校も取り入れているように、変化が激しく予測困難な時代の教育においては、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現する「生きる力」をどのように育むかが大切になってきています。

国際的に通用する大学入学資格が得られる教育プログラム『国際バカロレア』でも、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的として、 CAS(Creativity創造性, Activity活動, Service奉仕)として社会でさまざまな人と協働作業する主体的な活動が必修とされています。

(実はこの国際バカロレア、来年度から私の母校でもスタートします)


私が子供の頃は、テストの点数を基準に地元の学校に進学するのが当たり前でしたが、最近では、子どもたちの「生きる力」を養うため、教育環境にあわせて家族で移住する『教育移住』も増えているそうです。

たまたま最近、母子でマレーシアに教育移住される方(されていた方)とお会いする機会が何度かあり、わたしも家族の未来の選択肢として教育移住を考え始めました。

テクノロジーの発展で、テレワークなど、今後ますます場所の制約なく仕事ができる人が増えていきます。そうなると、東京での育児に限界を感じているパパママをはじめとして、教育環境が決め手で、地方移住を選ぶ家族も増えていくのではないでしょうか。(生活コストが安いのも、地方で暮らす魅力ですよね)


地方で注目される越境人材

そして、教育移住とは異なる軸で、地方創生につながるとして注目されているのが『越境人材』です。

越境人材:社会起点の目的を優先して行動し、組織を超えてオープンな新産業共創に意欲的な企業・専門家・自治体職員等

https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/open_innovation/ecosystem.html

個人にとっては、働き方やキャリアの選択肢の可能性を広げられ、地方にとっては、人手不足の解消となる。また、地域の中と外の人の流れが生まれることで、地域の魅力の再発見や経済の向上につながる、ということで注目されています。


https://note.com/motohiro0215/n/n0cbac818ed0f


地域をフィールドとした教育と共創が地方創生のカギ

以上を統合させると、地域をフィールドとした教育と共創で『教育移住×越境人材』の相乗効果をうむことが、これからの地方活性化の在り方の1つになるのではないでしょうか。

・地域をフィールドとした体験学習で、学生と面白い大人(地元住民や越境人材)を巻き込んだ活動を行い、ともに地域社会を動かしていく

・そういった共創活動を通じて、子供たちは「生きる力」を養い、大人は自分の仕事やキャリアの可能性を広げていく

・実社会をフィールドとした共創活動に魅力を感じ、教育移住する人や越境人材/複業人材がより集まる。面白い人と面白い活動が、雪だるま式に増えていく

ここでポイントとなるのは、どれだけ地域をフィールドにしてワクワクする活動ができるか。そのためには、自治体も含めて多様な関係者を巻き込むことと、それらの参加者がスピーディーに動けることが大切です。
そういった点でも、まさに人口が少なく小回りが利く地方だからこそできる地域活性化なのではないでしょうか。

実は今回ご縁があった鳥取県北栄町ではすでに、『エイ!ホクエイ』として、越境人材と教育を絡めたプロジェクトが進んでいます!

エイ!ホクエイとは、北栄町を盛り上げるプロジェクトです。
人が減る時代のなかで、町民と関係人口の有機的なつながりを活用して、この町の魅力を増やし、この町に関わる人たちのライフタイムバリューを共創します。

〈高校魅力化プロジェクト〉
地域を盛り上げる活動を高校生たちと協働し、将来的に北栄町に若者が回帰したり、関係したくなるような町づくりを行います。


お隣、島根県益田町から生まれたプロジェクト『ユタラボ』も勉強なります。

生き方に正解のない21世紀。私たちは、信じています。誰にも無限の可能性があることを。「田舎には何もない」「毎日が楽しくない」という声を聞くことがあります。ないからこそ、自分たちでつくり出す楽しさやワクワクがある。新しい世界に飛び込むことで、なにかに夢中になっている自分と出会えるかもしれない。自分の気持ち次第で、世界の見え方は180度変わるのだ。未来はつくりだすことができる。それは、自分の人生も、自分が住むまちの未来も。どのような環境に生まれ、育ち、置かれたとしても、自分なりの「幸せのものさし」を大切に、豊かな暮らしをデザインできる社会を目指して、私たちは活動しています。


文部科学省の事業でも、近い取り組みを推進する事業がありますね!

また、島根県雲南市の「子ども×若者×大人×企業の4つのチャレンジが連鎖する雲南ソーシャルチャレンジバレー」を、大変、勉強させていただいています。


DAOが地域活性化のピースとなる

さて、この『教育移住×越境人材』型の地域活性化を実現するためにはいくつか必要な要素があります。
そのうちの4つは、越境人材を成功させるコツとしてフリーランス協会の平田さんが指摘されているポイントと重なるのでそのまま引用させてもらいます。

1.やりがいや地域貢献に繋がるミッション/ビジョンを言語化して伝える
2.成長や実績に繋がる経験の提供
  →実績がポートフォリオとして履歴書に書ける
3.必要な情報にリアルタイムでアクセスできる様なインフラの整備
4.地域の人々との交流機会の提供
  →地域にとっても関係人口創出になる

https://note.com/motohiro0215/n/n0cbac818ed0f

さらにここから、越境人材だけでなく、中も外も巻き込みながら、地域が盛り上がっていくためには以下の要素が必要だと考えます。

5.面白くて熱量がある人が中心となるコミュニティや繋がりができている
  → 面白くて熱量がある人があつまり、活動がうまれる
6.そのコミュニティが外に開けていて、自律分散型になっている
  → 活動や熱量が広がっていく
  → いろんな人が参加しやすい
7.そのコミュニティや共創活動がオンライン上でも行われている
  → 参加へのハードルが下がる
  → 時間や場所の制約がある人でも関われる
  → 地域の外に住んでいる人はオンラインでの共創活動を通じて地域住民と繋がりを築くことで、その後の移住に対するハードルが下がる

まさにここは、インフラとしてDAO(自律分散型組織)が活躍する部分です。

地域への関わりや、移住へのハードルが下がるのも、オンラインを使って繋がることのメリットです。

リアルにはリアルでしかできないことがあり、オンラインではオンラインでしかできないことがあるので、それらをうまく組み合わせたスキームを作ることができれば、地方創生に新しい可能性が拓けると考えています。

<まとめ>
・ 地方をフィールドとした共創を行うことで、学生の「生きる力」の涵養と複業人材/越境人材の活躍、両方に繋げる
・ そこに(母子)教育移住プログラムを組み合わせることで、都会での子育てに疑問を抱く人たちや、家族の在り方を模索している人たちも呼びこむ
・ 地域の枠を超えた人たちの参加や、自律的な共創活動を、DAO型のオープンなオンラインコミュニティーが支える


ビジネスパートナーのマルセロさんのnoteに、一連の内容やDAOの可能性が簡潔に記載されています。ぜひご覧ください。

地域の枠に囚われ、偏差値で学校を決める時代は、時代遅れ。リモートワークも発達した現在、子供に最適な教育を施すため、日本全国(更には世界中)から、最もふさわしい学校を選ぶ。そこに、家族も一緒に移住する。

そんな時代の到来を予想し、準備を進めていきたいと思います。


鳥取に移住します!

はい、ということで。
この構想を自ら実証するために、東京から鳥取にUターンします。

というのは半分冗談ですが笑、こちらの構想はまだまだ解像度が荒く、そして、地方については自ら住んでみないとわからないこともたくさんあるので、それを知りたいと思っているのは事実です。

流れとしては、東京での育児にはずっと疑問を感じていたところに、家庭の事情と、今回の構想が重なって、この春から、子供たちを連れて鳥取に住むことを決断しました。
年内にはアメリカへの移住が控えているので(こちらも家庭の事情です)、出たり入ったりすることになりますが、しばらくは、オンラインと、アメリカと鳥取をベースとして活動しながら、私だからこそできることを探していく予定です。

私は進学塾に通ったことがありません。有望な進学塾がない地域だったからです。それでも東京大学に行こうと思えたのは、地元の高校の先生方が熱心に向き合ってサポートしてくださり、また、県外の学生との勉強会や、高校生国際フォーラムの開催、著名人の講演会など様々な機会を提供してくださったからです。世界が大きく広がりました。いつか自分のできることで鳥取に関わりたいとずっと思っていたので、戻ってこられて嬉しいです。

まずはなにより、地域の子供たちが、豊かな経験と繋がりの中で、のびのびと育つことが大切だと考えています。
そうすれば、たとえ子供たちが地域から巣立つことになっても、恩返しや恩送りのように、何かしらの形でまたその地域に関わりたいと思うはずです。それは、10年後、20年後、30年後になるかもしれませんが、そういった循環の一部として、わたしも地域に関わることができたら嬉しいです。

コナンくんラッピングされた特急『スーパーはくと』



〈告知〉

ひと妻DAOは、Make our life free and beautiful をパーパスに掲げるコミュニティで、自分たちのキャリアと家族の未来を切り開く活動をしています。

エンゲルス(壁打ちDAO)は、マルセロさんとともに立ち上げた新事業共創サービスであり、企業と多彩な個人による新しい形のオープンイノベーションコミュニティです。

どちらも、これらからの未来をともに創っていく仲間や企業様をお待ちしています。


いただいたサポートは、本を買って、美味しいご飯を食べて、いろんなところに行って、また、明日からのエネルギーにさせていただきます。ありがとうございます。