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ただの人材プールではない、DAOの価値

現在、DAO(自律分散型組織)とそこに集まる人たちを価値の源泉とした、新事業共創サービス『エンゲルス』を創っています。

エンゲルスとは『大企業の新規事業担当者』と『生活者目線をもつ多彩な個人』がオンライン上のコミュニティ(DAO:自律分散型組織)を通して繋がり、仲間として一緒に事業を創っていく、新しい形のオープンイノベーションサービスです。
そこでは、多彩な個人が集まり繋がっているので、新規事業担当者はDAOの中で事業を磨きながら、必要に応じて業務委託チームを組み、柔軟にかつスピーディーに仮説検証やプロジェクト進行を行うことができます。

という形で、このサービスを説明させていただくことが多いのですが…。
このように説明すると、DAOのことを単なる『人材プール』だと理解されてしまうことが多々あります。

たしかに人材プールの役割も担っているので、間違った理解ではないのですが…。これは、私たちのサービスの基盤となる『DAO』の価値の本質ではありません。

このnoteでは、人材プールとして以上の『DAO』の価値について語りたいと思います。


DAOの組織構造上の特性

DAOとは、『自律分散型組織』の略で、『特定の管理者が存在しない代わりに、パーパスとルールが判断基準となり、ひとりひとりが自律的に活動している組織』のことです。

わたしは特に、『価値の生産装置(OS)』として、このDAOに可能性を感じています。

分かりやすさのために比較して説明すると…
右肩上がりの経済の"競争"原理が強く働く社会の中で、特定の目的を効率よく達成することに長けた『価値の生産装置(OS)』が、『階層型の伝統的な株式会社』だとすると

右肩上がりが約束された経済ではなくなり、持続可能性が重視される現代において、環境変化に適応進化しながら"共創"という形で価値を生産することができる装置(OS)が『DAO』です。

※「どちらの組織構造が良い」という話ではなく、「構造上の特性によって役割が違う」という話であり、どちらの組織構造が合うか合わないかは、目的や人によって異なります。


私が考えるDAOを構成する要素はこの3つです
① 匿名文化で出入り自由、パーパスが求心力と判断基準となっている
② 特定の管理者が居ない代わりに、特定のルールがあり、全員に情報が開けているので、個々はそれらをもとに判断し自律的に活動する
③ DAOの共有資産/共有資源があり、それをもとに価値が共創・循環し、DAO自体が自律的に成長・進化していく仕組みがある。

そして、この①~③を成り立たせるために必要となる技術が、通信技術や、ブロックチェーン技術、AI技術です。

(補足)
DAOはweb3の世界で誕生した組織概念です。
そのため、現時点においてDAOは、以下のような説明をされることが多いです。

『特定の管理者が居ない代わりに、一定の条件の もとで取引が自動で執行されるブロックチェーン技術(スマートコントラクト)が導入されている。コミュニティへの貢献度合いなどに応じて「ガバナンス トークン」が配布され、その投票などにより組織の意思決定が行われる。トークンは売買可能なものが多く、 収益は「ト レジャリーウォレット」と呼ばれる DAO の財布に保管され、 活動費などに利用される。』

私自身、これを否定するわけではありません。事実、私が考えるDAOも、将来的にブロックチェーン技術を必要とすると考えています。
ただ、ブロックチェーン技術を、DAOの『前提条件』ではなく『手段』として捉えているというところで、私たちが目指すDAOと、一般的に語られるDAOとの間に、考え方や説明の違いが出ています。

中央で管理しているのではなく、個々がゆるく繋がり、自律的に判断して行動している組織『DAO』は、まさにアメーバのような、生命体のような組織になります。

そのDAOの組織としての強みは、生命体のように適応進化していくことが前提の組織構造になっていて、環境変化に強いこと。

「そんな組織が本当にうまく機能するのか?」
「環境変化に強くても、生産性は低いのではないか?」

と思う方もいらっしゃると思いますが、DAOの組織構築において私たちが参考にしている、『進化型組織(ティール)』の株式会社は、実はすでにヨーロッパを中心に発展していて、日本でも少しずつ増えています。

しかもそれらは、高い生産性や経済的な成功を成し遂げていて、まさにこれからの時代に必要とされる組織構造なのです。
▽ここらへんの考察は、書籍をご覧ください。


DAOの中で人々はどう活動しているか

さて、DAOの特長を説明しましたが、ここからは「DAOにはどのような人々が集まり、どのように動き、どのようなことが起きているのか」について、お話します。

(復習)私が考える、DAOの3つの要素
① 匿名文化で出入り自由、パーパスが求心力と判断基準となっている
② 特定の管理者が居ない代わりに、特定のルールがあり、全員に情報が開けているので、個々はそれらをもとに判断し自律的に活動する
③ DAOの共有資産/共有資源があり、それをもとに価値が共創・循環し、DAO自体が自律的に成長・進化していく仕組みがある。

DAOで起きていること。

DAOのなかでは、ニックネームとアイコン文化であり、かつ、オンラインで非同期コミュニケーションを中心としているので、時間・場所・属性・背景といった制約を受けづらい環境があります。

そして、ほぼすべての情報がオープンになっており、コミュニティの中での活動もテキストとして残り全員が見ることができるので、肩書や外見ではなく、実際に「どんな価値観の人か」「何ができる人か」といった中身がダイレクトに評価されます

経済活動も含めて、活動が透明化されているため、「テイカー」で「クローズマインド」で「競争原理」に基づいた行動をするよりも、「ギバー」で「オープンマインド」で「包括的/共創的」であることの方が合理的な場となっています。

また、パーパスやルールはあるものの、管理や指示をする人はおらず、活動内容も出入りも自由なので、DAOは自然と『主体的』な人達の集まりとなります。そしてそこでは、価値観ベースで個人同士がダイレクトに繋がる、緩やかで幅広い、人的ネットワークが形成されていきます。


つまり、DAOには、多様で多彩な個人が、自分らしく価値を発揮して共創していける環境があります。


DAOでつながった人とチームで働くということ

そして、わたしはその『多彩な個人が、自分らしく価値を発揮して共創していける環境』があるDAOのなかで、特に、『チーム』で働くというところにこだわっています。

チームで働くことで、できることは

様々な人達とともに共同作業することで、良い意味で他者との比較ができ、他者から反応も得られて、自己理解が深まります。自分の得意不得意や価値、自分に合っている働き方が見つかります。

また、チームでの共同活動を通じた相互理解が深まるので、ただの知り合いではなく、"ビジネス"に繋がるネットワークが生まれます。
ですので、スムーズにフリーランスのチーム編成ができ、また、高いチームワーク力を発揮します。

さらにチームで働くことで、多様な人々の活躍を可能にします。
時間や場所、背景や特性といったさまざまな影響で会社員やフリーランスとして働きづらい人でも、それぞれの力と強みを持ち寄るチームを作ることで、自分らしく働くことができるようになります。

他にも、
・チームだからこそ生まれてくる役割(マネージャーやサポート役など)があり、役職や働き方の選択肢が広がる
・チームで働くからこそ、メンバーに、実践の中で挑戦する機会や、他者の仕事の様子を知る機会を提供することができる。(フリーランスだと、常に自分一人がプロとして仕事を請けるので、仕事の中で自己成長のための挑戦する機会を作るのが難しい)

といった可能性を創ることができます。


DAOを通じて実現したい未来

わたしが運営代表をつとめる『ひと妻DAO』と、『エンゲルス』を通じて私は、ライフステージの変化が激しい既婚女性や、さまざまな事情で社会の既存の働き方の枠にハマりづらい、私のような存在でも、『自分らしく、社会と繋がり、価値を発揮できる場と選択肢』を創りたいと思っています。

① 個々が豊かに緩やかに繋がる、分散型の人的ネットワークの中で、自分らしく社会とつながることができる。
② 共同作業を通じて、他者と自己の理解を深めていくことができる。
③ その『繋がり』のうえで、チームを組んで共創活動をしていくことで、自分らしく社会に価値を生み出していくことができる。
④ そして、そんな多彩な個人と、大企業との共創を、『エンゲルス』を通じて実現することで、社会に価値のあるイノベーションを生み出しながら、『多彩な個人が、自分らしく社会で活躍していく道』を創ることができる。

共創時代の社会インフラとなることを目指して、これからも共創の輪を広げながら、挑戦していきます!

本活動のパートナーであるマルセロさんの記事です。
本来『働く』というのは、社会や他者に対して価値を生む、尊く豊かな営みであるものだと思っています。
DAOを基盤として、『柔軟で、ひとりひとりが輝ける働き方ができる社会』への進化を促す事業を創っていきたいと思います。


おすすめ書籍

DAO自体はまだ、歴史も浅く、成功事例もほとんどありませんが、自律分散型の進化型組織『ティール』様の組織構造をもつ株式会社であれば、ヨーロッパなど中心に多く事例が存在し、研究も進んでいます。
国内でも、ダイアモンドメディアさんの『自然経営』をはじめてとして、階層のないフラットで有機的な組織構造が開発され、機能している例は存在します。
引き続き、こういった大先輩方から学ばせていただきながら、社会にとっても個人にとっても価値のあるDAOのあり方を実践研究していければと思います。


いただいたサポートは、本を買って、美味しいご飯を食べて、いろんなところに行って、また、明日からのエネルギーにさせていただきます。ありがとうございます。