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『読んだ方がいい。』と言われたのだが


己の欲望に砂男ニイさんが絶賛して勧めていたので読んだ。

いや、この本は「人に勧めろ。何なら10冊買って配れ」みたいなことまで言っているみたいなので、「へぇー」くらいに思っていただけだったのだが。。


そもそもnote公式の読書の秋感想文の企画の課題図書に入っていた。課題図書を片っ端から読もうとしていた吟遊としては、これはもう読まないわけにはいかないのであった。



読んでみると、ヤバかった。


『読みたいことを、書けばいい』という文章読本風なタイトルには、橋本環奈のディープフェイク並みに騙されてはいけない(いやそっち騙されたほうがいいのか)。


文章を書く「テクニック」は書いてないと明記されている。このツカミでぐいぐい引き込まれる。


空白が多いと読みやすい、ということも書いてあり、それは作者自らが有言実行している。まるで『どんと来い、超常現象』並みだ(あれほど字はでかいわけではないが…というかこのネタ、かろうじて通じるかな)。


だからドンドン読んでしまう。



作者・田中泰延氏は本当は文章なんか書きたくない人だそうで、一方自分は、書かないと体が停まり、脳が停まり、心臓が停まるタイプだ。スタンスは真逆である。でもこの本の意義は自分にはめちゃめちゃ大きかった。


この本の趣旨は「この本を買え」だ。だが田中泰延氏は、主張に嘘がなければ、自身の読みたかったものを書いたはずだ。



それは何か?



ネタだ。壮大なボケだ。



ボケるということは、なにかをぶち壊すということだ。それには話題が必要だったのだ。漫才なら相方に「ところ君、最近 TikTok でも始めようかと思ってね」とか振ってもらえるが(いちおう用意したボケは「じゃあ、マイミクよろしくー」です)、執筆でやるなら自分で自分にテーマを用意しなければならない。


なら真面目なものほど、ぶち壊し甲斐があるというものだ。テナコト言われてその気になってしまう植木等である(今度は確実に通じない?)。

 


僕は…



それをやっていた。





自分の note は、備忘録シリーズに到るまで、ボケたくて、そのために題材を用意しただけだったのだ。


最近は恋愛小説みたいなものまで書いてしまっているが、あれもいつか、最後の最後でたまりかねて、


「そうです。私が変なオジサンです」


とかやってしまうに違いないのだ。

(え?これも通じない?いいよ、もう。オジサンは拗ねるよ)


そういう『ボケ道』を、無意識に進んできたのだ。 


だがそれまで無自覚だったものが、この本で明確になってしまったではないか。

これからはそれを、意識してしまうではないか。もっと狙ってそれをやってしまうではないか…



どうしてくれるのだ。




ほわぁ… 




そういう訳で、noter のみなさん。この本はぜひ読みましょう。

自分が書く、という行為を、違った視点から捉え直すことができると思うから。

捉え直すことがなければそれは、もう読みたいものを書いて楽しんでいる人です。




…さて。


私は出版社と作者に謝らなければならないことがある。





それは…





「あまりに読みやすかったんで、一息に全部立ち読みしちゃいましたー!」






『読みたいことを、書けばいい』感想文。

お後がよろしいようで。





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