今日の備忘録 2022/12/9 日本心理劇学会 第28会大会前夜

明日から日本心理劇学会である。

今日明日は学会前の研修会がある。以下、予習というか、心理劇とサイコドラマについて思うところを書く。

『心理劇学会』というところの「心理劇」


心理劇学会とは言うが、そこでの「心理劇」とは狭義の、モレノが作ったサイコドラマとほぼ同義だ。そこから派生したプレイバックシアターなどの技法はまだましだが、系統の異なるドラマ技法については学会で扱いが低く、私のような即興劇をするインプロバイザーは学会ではアウェイ感を覚える。ここらへんは、上の人たちが心理劇をどう考えるかによる。

他方、取り入れられるのが早すぎて、素直に受け入れがたいものもある。なんと今回の学会の大会テーマは「サイコドラマとオープンダイアローグ」である。

これは流行り物に飛びついただけだろう。新しいものを取り入れればなんでもいいというわけではあるまい。新参者を足蹴にしてきて息も絶え絶えとなったサイコドラマ勢が、今更強いものにはすがるように思えて、警戒する。いや、オープンダイアローグを推したのがどの勢かは知らぬが。


そもそもサイコドラマだってかつては不遇な扱いを受けた新技法であった。普及には先人の並々ならぬ苦労があったであろう。いっぽうエビデンスを出す努力が十分にされたとはお世辞にも言えない。実証研究だけが偉いわけでのは百も承知だが、「そんなものはいらないんです」とサイコドラマの全盛期を彩った年配者たちが主張したことは、技法の寿命を縮めたように思う。



心理劇はもはや息も絶え絶えである。それでも魅力やその価値自体が変化したわけではあるまい。学会に集う人々は世に向けて、単に「心理劇ってとてもいいですよ」と呑気に言うだけでない発信のしかたが問われているように思う。


この技法が好きすぎる人が多く、それゆえに冷静な付き合いができない人が多かったのが問題ではないか。
今回の学会では、近年若くして亡くなったサイコドラマティスト、高良聖先生の特別展示もなされる。彼こそはまさに「臨床家はクールな分析家であることも必要だ」と説いた人であった。クールにして熱い、熱い人であった。


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