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酒の不時着。

突然の雨に追い立てられ、裏路地にある縄暖簾をくぐる。
引き戸をあけると、人の良さそうな老夫婦がちょこん、と佇んでいた。

「赤星ください。料理…本日のおすすめってなんですか?」

冷えた瓶ビールで、まずは暑気払い。
うまい、うま過ぎる。
ゴクゴクと流し込まれてくるビールに喉は大喜び。もちろん駆けつけ二杯だ。

程なくして出てきた、へそ焼き(写真参照)やら、お刺身やら、酢の物が当たり前のように胃へと吸い込まれていく。
うまい、うま過ぎる。

ここでひと息、テーブルを眺めれば。
「暮しの手帖」や昨年お亡くなりになった和田誠氏のイラストを思い出させるお皿が、やり切ったとばかりに鎮座ましましていた。

雨で不時着した先にある縄暖簾をくぐると、
美味しくてやさしい時間が待っているらしい。

そうしてこの日、酒で二度目の不時着をした。ちーん。


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