すばらしき新世界 (5)
立ちあがったはいいが、そこから先どうするかを考えていなかった。慎と悟に何事かと見上げられ、どうしていいかわからなくなった登和は、イチゴの入った容器を二人の机にのせた。
「えっ、いいの。」
「いただきます。」
悟は言う前から食べていた。三個入りのイチゴを一個ずつ分けるなんて、仲良しみたいじゃないか。嫌じゃないかな、いや、そんな人たちじゃない。
「はいこれ、吉井さんの分。」
悟がイチゴのへたの部分を持って、登和の口の前に差し出した。あんまり普通にそうするので、登和も深く考えずに