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子供の発達と感覚処理能力の発達 part 1

記事の概要

このブログ記事の概要は、子育てに悩む保護者や保育士、幼稚園教諭に向けたもので、感覚処理能力に焦点を当てています。記事は2部に分かれ、Part 1では赤ちゃんや子供の感覚処理能力とその発達プロセスを詳しく説明し、Part 2では感覚処理の問題を持つ子供と通常の子供の行動や特徴の違いを比較し、適切なケアについて言及しています。感覚処理能力が子供の健全な発達と幸福にどれほど影響を与えるかに焦点を当て、具体例を交えて説明されています。感覚処理能力が子供の日常生活や発達において重要であることが伝えられています。

Part 1では、子供の感覚処理能力の発達が、なぜその子の人生や幸せの質に大きく影響するのか、その理由を掘り下げ、感覚処理プロセスの具体例をあげて、どこよりもわかりやすく紹介しています。


赤ちゃんは感覚から全てを学ぶ

赤ちゃんにとって、感覚処理が健全に成長することは非常に大切です。なぜなら、生まれたばかりの赤ちゃんは、感覚を通して全てを学ぶからです。
なんの予備知識も持たずに生まれてきた赤ちゃんは、自分の本能的な感覚だけを頼りに世界を学ぶしか方法がありません。繰り返し時間をかけて、自分の感覚を通して周囲の世界を体験することで、世界を理解し、人間として生きていく上で必要な能力(認知、感情、社会&コミュニケーション、運動能力など)を発達させ始めます。

感覚処理能力とは?

感覚処理能力とは、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)に加え、固有感覚(体の位置を認識する感覚)と前庭感覚(平衡感覚と空間的な方向感覚)の、合計7つの感覚から同時に様々な情報を受け取ったら、それらをフィルターをかけ、異なる感覚からの情報を組み合わせて、解釈する、という一連のプロセス能力のことです。

感覚処理のプロセス

1. 感覚情報の受け取り

環境からの情報が感覚器官(目、耳、皮膚、口、鼻など)を通じて受け取られます。たとえば、目で見たり、耳で聞いたり、皮膚で触れたりすることによって、さまざまな感覚情報が得られます。

▶️赤ちゃんが手に小さなおもちゃを持っています。このおもちゃは冷たくて硬いです。このとき、赤ちゃんは触覚情報を感じています。手に触れる感触や温度の情報が感覚器官を通じて脳に送られます。

▶️赤ちゃんは、ベビーベッドの上に吊るされた色鮮やかで柔らかな手触りの布製モビールに手を伸ばします。指先から触覚情報を、カラフルな模様や形から視覚情報を受け取ります。

▶️屋根に落ちる雨粒の音に耳を傾ける子供。雨の音が聞こえ(聴覚情報)、近くの窓から雨粒が見えます(視覚情報)。

2. 感覚情報のフィルタリング

受け取った情報は、重要性に応じてフィルタリングされます。脳は、同時に多くの情報を処理できないため、重要な情報に重点を置き、他の情報を無視することがあります。

▶️赤ちゃんは同時に部屋中のさまざまな音にさらされています。しかし、赤ちゃんの脳は母親の声を重要なものとしてフィルタリングし、他の音を無視します。これにより、母親の声が聞こえてきたときに注意を向けられるようになります。

▶️幼稚園児が教室でクラスメイトと話しながら、お絵描きや工作に取り組んでいます。彼らは雑音や関係のない刺激を無視し、自分の活動に集中します。

3. 情報の整理と統合

受け取った情報は、異なる感覚からの情報と組み合わせ、統合されます。たとえば、視覚情報、聴覚情報、触覚情報が組み合わさり、物体の形状、位置、質感、および音の源を理解するのに役立ちます。

▶️生まれたばかりの赤ちゃんは、目の前にある物体を見つめています(視覚)。なめると(味覚)くすぐったく感じ、噛んだら痛くて泣きました(触覚)。赤ちゃんはこれらの別々の感覚体験を結びつけ、目の前にある物体は、実は自分の体の一部(手)であると認識します。

▶️赤ちゃんは手に持っているおもちゃを見つめています。彼は視覚情報(おもちゃの色や形)、触覚情報(おもちゃの質感と硬さ、温度)、プロプリオセプション/固有感覚(おもちゃを持つ感覚、手の位置、力加減)を統合して、おもちゃが自分の手にあることを理解します。

▶️砂浜で砂の城を作っている子供。視覚情報(砂の色や質感)、触覚情報(濡れた砂の感触、温度)、プロプリオセプション情報(体の位置や動き)を統合して、砂の城を作り、形を整えています。

▶️子供がジグソーパズルで遊んでいます。視覚情報(パズルのピース)、触覚情報(パズルのピースのフィット感)、認知情報(パズルの絵の認識)を統合し、パズルを完成させていきます。

4. 情報の解釈

最終的に、脳は受け取った情報を解釈し、その情報に対する意味を与えます。これによって、環境や出来事に対する理解が形成され、行動や反応が決まります。

▶️お腹がすいた時、赤ちゃんは泣いて栄養の必要性を知らせます。

▶️赤ちゃんは偶然おもちゃにぶつかると(視覚と触覚)、ガラガラと面白い音が聞こえました(聴覚)。赤ちゃんはそれを握って振ってみると、また面白い音が聞こえました(因果関係の理解)。

▶️お友達の悲しい表情を観察することで、相手が動揺していることを察知し、慰めの言葉をかけます。

感覚処理能力は、子供の健全な発達だけでなく、日常生活において極めて重要なことがわかりますね。なぜなら、私たちは環境からの情報を感知し、理解することによって、安全な行動を選択したり、適切に反応する必要があるからです。また上の例を確認すると、感覚の発達には認知の発達も伴うことがわかります。

Part2では、さらに具体的に、感覚処理に問題は、子供の成長や生活状況にどのような影響を与えるのか、多くの具体例を挙げながら、感覚処理に問題のない子供の特徴や行動と比較しながら説明し、その対処、支援法についても論じています。

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