見出し画像

「レトロ」から感じる街の歴史「門司」

近年はレトロがビジネスになるらしい

いや、実際にそういう話題を聞いたことがあるわけでは無いが、私自身生活している中で、よく「レトロ」という言葉を耳にするようになった。

その「レトロ」がなぜよく聴くようになったかと考えてみると、所謂フォトジェニックな光景がSNSによく合うのだろう。
もちろんそれだけが理由では無いとは思う。だが、このご時世にはこれがしっくり来るのではないだろうか。

そして、観光スポットの名称に大胆にもこの「レトロ」を使っている場所がある。
それが九州の玄関口、北九州の北端に位置する「門司」の街であって、その名も「門司港レトロ」と言うわけである。

駅からもう観光スポットな「門司港」駅

画像8

鉄道で門司港レトロを訪れる時、利用することになるのが「門司港」駅だ。
電車を降りると、ホームからしてレトロなのである。
冒頭の写真にホームの写真をチョイスしたが、よく見てみて欲しい。実はベンチが一つも無い、と言うよりも何も置いてない。
そして、駅名看板の書体がまたレトロなのである。
改札口側からカメラを向ければ、奥の方まで抜ける写真が撮れてまさにフォトジェニックな光景になるのだ。

さて、改札を潜って駅舎に入ると、現在はとても綺麗なことに驚く。
数年前にも訪れたことがあったが、その頃は仮の駅舎が使われており本駅舎は復元工事中であった。
上の写真の駅舎は、もともとは大正時代に建てられてもので、それを修復・復元したものが2019年にグランドオープンした姿である。

画像9

綺麗すぎてこれが「レトロ」なのかどうか怪しいところではあるが、造りと雰囲気は最新の建物のそれとは違うものである。

門司港レトロとして親しまれているこの「門司」の港は、かつては「日本の三大港」に数えられた商業の盛んな港であった。その名残として、明治から昭和初期にかけて建築された趣のある建物が今でも残っており、これらを観光資源として「門司港レトロ」と銘打っている。

さて、難しい話はここまでにして、少し散策を始める。

旧九州鉄道本社を利用した「九州鉄道記念館」

画像3

駅から南側に歩いていくと、九州鉄道記念館にたどり着く。
鉄道好きでないとなかなか入らない施設だが、入場料が安いので暇がある人は入ってみて欲しい。

いきなり貴重な車体を運転台だけ切り取った展示がお迎えしてくれるなど、館内は狭いながらも見応えのある内容。大宮や京都の鉄道博物館とは一味違う九州の雰囲気を味わうことができる。

画像4

本館は赤煉瓦造りの建物で、こちらは世界遺産にも登録されています。旧九州鉄道の本社だったものだそうです。この「九州鉄道」とは、明治時代に設立された私設の鉄道会社で、九州で初めて鉄道路線を開通した会社なのだそうだ。

この記念館の他の鉄道博物館と大きく違うところは、本当の駅の真横に作られていることだ。

画像8

その為、屋外展示されている車両に足を踏み入れ、一度席に座ってみると車窓は駅。現役で走っている鉄道が横にいるので、さもこれから旅を始めるような気分を味わえるのである。

独特の九州の鉄道文化に触れて満足したところで、少し港方面へ移動する。

港に集まる「レンガ造り」のレトロな建物達

画像5

港に出ると一際目を引くのが足下に赤煉瓦の建物のある高いビル。「門司港レトロハイマート」

あの黒川紀章が設計したタワーマンションで、建設の際には景観保存に関しての争いがあったそうです。現在は最上階の31階に展望室が設けられており、門司港を一望することができる。
私は登らなかったが・・・

画像10

そして、足下にある2軒のレトロな赤煉瓦の建物。手前に見えるのが「旧門司税関」の建物で、現在は展示室や休憩所となっており自由に入ることができます。内部は吹き抜けの広々とした空間となっており、その歴史を感じることができる。

画像6

気軽に入ることができるので、是非レンガ造りの建物内部を堪能して欲しい。

そしてその奥に見えるのが「大連友好記念館」の建物。かつて門司港と国際航路で結ばれていた大連市とは友好都市を締結しており、その記念として大連の建物をそっくり複製して建築されたものだそうです。1階が中華レストランとなっていた。

画像7

この他にも門司港には「旧門司三井倶楽部」や「旧JR九州本社ビル」など、見所のあるレトロな建物がたっており、のんびりと散策しているととても目を楽しませてくれる。

観光ガイドを持って、あっちこっち回るのも良いが、ここはなんとなく訪れてプラプラと散策して雰囲気を楽しむのがよく合っていると感じた。

お昼ご飯は名物?の焼きカレー

画像9

お昼時だったので、何を食べようかとウロウロしていると、そこかしこの飲食店に行列ができているのが目に入った。
割と観光客は多いのに、飲食店が少ないようにも思った。
少し駅から歩いたところにある、「門司港 地ビール工房」という文字を見つけて次の瞬間にはもう店内に居た・・・

画像11

なんでも、水を使わずにビールで作ったカレーなんだそうで、口に入れるとほのかに広がる苦味が確かにビールなカレーを感じさせてくれる。
そうそう、だからビールとの相性も抜群であった。

これで私なりの「門司港レトロ」観光が終わった。
きっともっと見どころは多いのだろう。だが、プラプラと目的もなく歩きながらこの街が「レトロ」と呼ばれる前の景色に思いを馳せて、満足したところで帰る。こんな観光の仕方でも、十分に魅力のある観光地だと思わせてくれた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?