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原体験は紛争地。PRの本業を活かしプロボノとして国際協力の道へ!【アクセプト・メンバーの声:伊東正樹(いとう まさき)】

私たちアクセプト・インターナショナルの一員として活動するメンバーの声を届ける本コーナー。第8回目となる今回は、理事兼広報部の部長であり、普段はPR会社の代表を務める伊東正樹(いとう まさき)さんにお話を伺いしました。

■伊東さん |プロフィール
2020年より社会人プロボノとして当法人に参画。その後、広報部の部長兼理事としてアクセプト全体の認知向上に向けた活動の指揮を執る。本業として、社会貢献分野の広報支援を行うPR会社を経営している。

1. 紛争地でみた「怨恨の連鎖」

———現在は本業と兼任されていらっしゃるとのことですが、本業に至るまでにはどのような経緯があったのでしょうか?

国際協力に興味を持つようになったのは、「世界がもし100人の村だったら」というテレビ番組を10代の頃に観たことがきっかけです。フィリピンのゴミ山で働く悲惨な少女を見て、環境破壊を繰り返す人類に対して憤りを感じていました。そして、学生時代は開発経済学を専攻しつつ平和構築も学んでいました。そのフィールドワークの一環で暫定統治下の東ティモールを訪れた時、困窮した経済水準の中で「悲惨なはず」の人々が、笑顔で幸せそうな様子を見て、経済発展や国際協力への違和感を感じるようになりました。

そんなジレンマを抱える中、中東レバノンを訪れた際に爆弾テロ事件に遭遇しました。街中で繰り広げられる銃撃戦も目の当たりにしました。特に記憶に残っているのは、現地で出会った中年のレバノン人が、そのテロ事件により奥さんを亡くしてしまったことです。彼はあまりのショックで精神的に発狂してしまい、人格が崩壊し攻撃的になっていく彼の様相を、私はただ茫然と見ていることしかできませんでした。僕が目の当たりにしたものは「怨恨の連鎖」が生まれた瞬間だったのです。

正しい国際協力の在り方を求め紆余曲折する中、「少なくとも戦争がない、平和な世界を創りたい」と思うようになりました。そして、様々なセクターでの職務経験を通して、日本国内に社会貢献を広め、携わる人をもっと増やしたいと思いました。しかし、社会貢献に取り組む組織は資金力や認知度がなく、充実した活動ができないという現状に着目しました。そこで、広報PRという手法で、社会貢献を啓発しあらゆる問題解決を進める立場が必要と考え、現在の広報PR会社を創設することになりました。

2. アクセプト参画の経緯

———本業のPR会社からは、どのような理由でアクセプトへ辿り着いたのでしょうか?

中東レバノンでの強烈な体験から、「怨恨の連鎖」に対して何かしなければという気持ちがありました。そんな中、テロ・紛争の解決に挑むアクセプト・インターナショナルに出会いました。

“テロリスト”と呼ばれる彼らにも彼らなりの事情がある。
”加害者”側を理解しながら、対話を通じて、紛争解決を目指す姿勢・アプローチ。

それは、まさに自分が、紛争地で加害者側になってもおかしくない存在を目にし、「憎しみの連鎖をなくさなければ、紛争・戦争は一生終わらない」と痛感していた時だったので、強く共感したんです。

そこから説明会に参加し、毎月の寄付で支援するアクセプト・アンバサダーになったと同時に、「寄付だけでなく何かしらの形で、団体に携わりたい」と思いました。当時、私は別のPR会社に勤めていたので「せっかくなら本業の広報PRを活かしたい」と。その時、広報の募集はありませんでしたが、自分からやってみたいと相談・提案してみた結果、無事プロボノとして参画できることになりました。修士号などのアカデミックな知見・専門性もなかったので、最初は正直不安でしたが、事業に詳しくないからこそ逆にかみ砕いて外部に説明・発信するなど活かせる部分が多かったです。

3. 社会貢献×広報PRの専門家として・・・

———本業の広報PRを活かした仕事をされているのですね。実際にアクセプトではどのような仕事をされていますか?

アクセプトでは理事・広報部長として、主に団体のSNSやメールマガジン、ホームページ上の情報更新を行う部署を管轄しています。本業での経験を活かし、報道機関に向けたプレスリリース発信や取材誘致・対応などにも携わっています。

団体が伝えたいことと、周囲の支援者・社会側が興味を持つことが違うことは往々にしてあります。私はアクセプトの存在と紛争解決の重要性をより多くの方々に知っていただくために、団体の活動詳細をどのような形や表現で伝えるかを決めています。また、社会の情勢やトレンドに上手く合わせる戦略や文脈作成なども行っています。社会貢献の中でも国際協力、その中でも非常にニッチで共感されにくい分野なので、興味関心を持っていただくために、とても重要な仕事です。

4. 関心層の少ない分野の広報活動を通して

———「社会貢献の啓発で問題解決に繋げる」という目的意識をお持ちのようですが、実際の活動を通してその目的に対する達成感はありますか?

国際協力という社会運動やモーメンタムを自分の手で広げられるという充実感はあります。それに加えて、「テロ・紛争」という分野に直接的な興味がない方に対しても、広報活動を通して間接的に関心を広げられている感覚もあります。

例えば、「福祉」に関心がある方は当然ながら福祉に関する話題に着目しがちですが、「障がいと犯罪」というテーマをきっかけに、「社会に馴染みきれず“加害者”とされる人々」という視点へと移り変わり、活動を支援して頂いたケースがあります。関わり方が人それぞれで多様であるため、「テロ・紛争」という狭く関心のある人が少なそうな分野でも、さまざまな人が関わる可能性があることに希望を感じます。

また、世の中の社会課題には、色々と賛否両論が付きまとうことがありますが「紛争解決・平和」の問題は人類に普遍的に大切な問題なので、アクセプトの活動や業務には疑問や違和感なく、取り組めることが魅力だと思っています。

5. 今後の展望

———最後に、伊東さんの今後の目標や展望を教えてください!

広報PR会社とプロボノの活動を通して、社会貢献を普及させ、「一億総寄付社会」を実現させるという夢を持っています。

日本には寄付の文化があまりなく、NGOが活動するための安定した地盤がありません。社会貢献への関心が高まったり、寄付という行為が普及すれば、本当に支援が必要なところ、だれもやろうとしない分野でも誰かが挑戦したり安定した活動ができると思うんですよね。そうした意味でも、認知拡大や啓発活動に直結する広報PRがやはり重要だと考えています。

また、東京にある国連大学ビルの横に、ソーシャルセクターが集まる国際協力専門のビルを建てたいですね。そこに学生たちが集まってNGO・NPO職員の話を聞いたり、一般の方々も気軽に立ち寄れる空間になれば、社会貢献を身近に感じたり関心を持つ方、仕事として志す方など関係人口が増えるので、だれもが支え合い課題解決が進む社会に近づくと考えています。今はまだ創業間もないですが、大きくなったら実現したいので仲間も募集中です。(笑)

———伊東さん、ありがとうございました!


アクセプト・インターナショナルでは、テロや紛争の解決を目指して活動するメンバーが常時80名ほど在籍しています。「メンバー」と一言でいっても、学生インターンから社会人プロボノ、職員まで肩書きや業務内容は多岐にわたります。各々の経歴やスキルを最大限に活かしつつ、日々業務にあたっています。

心に秘めた何かをお持ちの方も、熱意に溢れた方も、私たちと共に「前例を創る」挑戦をしませんか?あなたのご参加を心よりお待ちしております!
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