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麺を啜るで、面食らって。

僕は週に数回、外国人観光客にラーメンツアーのガイドをしている。タイプが違うラーメン屋を2、3件紹介する。一緒に日本の文化を添えて。

お客さんは様々、老若男女、新婚さんから家族、職場の友人。人種のるつぼなツアー。文化やマナー、皆それぞれの普通が違う。ただ同じなのは、ラーメンが好きで英語を話すことだけ。

さて、本題の麺を啜る(すする)ということについて。

日本では、当たり前な食べ方。ズルズルっという音といえば、麺を啜る音。その音だけで、食欲が沸く方も多いと思う。もし、ラーメン屋に行ったら耳を澄ましてほしい。実は田舎のカエル並みに、啜る音の大合唱状態だ。

ヌードルハラスメント

少し前、この言葉がSNSで話題になり、メディアでも報道された。麺を啜る音が、外国人にとっては不愉快。飲食店で、それはマナー違反でハラスメントだ。故に、ヌードルハラスメント。これに対して、ネットやテレビで多くの議論がされていた。

「日本の文化だ。気を遣う必要はない。」「郷に入れば、郷に従え。」僕もツアーガイドを始める前だったから、この意見に同意したのを覚えている。

啜るって

そもそも、麺を啜るのは日本独特な食べ方。元々は、音を立てて食べることで、空気を入れてよりスープの香りや味を感じられる。僕も、ツアーでは最初にこれを伝えている。「日本の伝統的な文化なんだ。」という言葉を添えて。

知っている人は、「あぁ知っているさ、ユニークな文化だよな」「都市伝説かと思っていたよ」

知らない人は、「えぇ、何か汚い」「それが許されるのは、5歳までだろ」

笑って受け入れる人、しかめっ面で否定する人。そんなことよりラーメン!早く!に反応は三分化される。

特に個人の経験上、マナーにストイックなヨーロッパ圏の人は、特に嫌な顔をする。けど、なんだかんだこの会話は盛り上がる。何故なら、初めての啜るは意外と難しいようだ。多くの陽気な人はやってみて難しいと照れ笑いしてくれる。それを見て、僕も笑う。

〆に

ある時聞かれた、「ラーメンや蕎麦はわかった。けど抹茶にもするだろ?」

そういえば、緑茶、味噌汁、お茶漬けも。人によっては、焼きそばとかも。もちろん、それはマナー違反。しかし世の中、麺も温かい汁物を啜る人はたくさんいるのも事実。現に、うちの叔父さんは焼きそばを信じれらないくらいズルズルと啜って食べる。

都会人にとって、田舎のカエルは耳障り。田舎の人にとってカエルは、風物詩。普通って人それぞれ。

当たり前は、育った環境で違う。僕は人間の脈絡のなさに、ツアーガイドをしながら驚く日々。

多様性が進んでいる世の中。僕はラーメンを啜って食べるのが大好きだし、賛成だ。けれども、歴史的背景、なぜ? を持って、ラーメンを啜ると見え方が変わってくるかもしれない。

己の文化に誇りを。そこになぜ?を習慣化すれば、他文化への理解に。

それが、日本が遅れている多様性の理解への第一歩に。



この記事を綴っていたら、ラーメンが食べたくなった。。家系ラーメン油少なめ、ほうれん草トッピング、ニンニク生姜酢を入れ、白米をたらふくを添えてズルズル啜って食べたい。


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