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「フィンテックエンジニア養成読本」を出版しました。

「フィンテックエンジニア養成読本」を10月5日に出版しました。この本は、これからフィンテック関連の仕事に携わりたいと考える方や現役の金融業界のビジネスパーソンに向けて,最新の事例をもとにフィンテック関連技術とサービス事例を解説することで,フィンテックの全体像をつかむことを目指しています。この出版を機に書籍の内容を紹介していきたいと思います。

フィンテックエンジニア養成読本
(Software Design plusシリーズ)www.amazon.co.jp
2,178円

電子版で欲しい方はkindle版も同時発売されたのでこちらをご購入ください。

自己紹介(お前、誰よ)

名前は阿部一也と申します。仕事は、金融機関で最新技術の調査や、ファイナンスに関する研究の支援などを行なってます。前職までIT企業にいたので金融よりもソフトウェア開発の方が得意です。
また、個人では7つのITコミュニティ運営に関わったり、技術書の執筆、翻訳、レビューを行なっています。ITコミュニティでは、あべんべんと呼ばれています。

執筆のきっかけは「日本の置かれた状況への危機感」

この本は私、阿部と一般社団法人Finovatorsでフィンテックのメンターとして活動されている藤井達人さん(auフィナンシャルホールディングス株式会社)の二人で企画しました。企画時はまだ藤井さんが、株式会社MUFGフィナンシャルグループのデジタル企画部に所属しており、二人とも同じMUFGグループだったのでよく意見交換をしておりました。

さて、1年半ほど前に二人で食事をしたある日のことです。藤井さんは、いつものようにキャッシュレスやAML、KYC、ブロックチェーンで印象的だったことや、ビジネスや規制の事例をたくさん話してくれました。藤井さんは海外に出張に行くたびに、テクノロジーやビジネスで日本がどんどん引き離されているのを肌で感じていたようです。なんとかして追いつく必要があるという意気込みにわたしも共感しました。そこで「フィンテックの有識者に本を書いてもらって、たくさんの人たちに状況を知ってもらいましょう!そうして金融業界を盛り上げましょうよ!」と意気投合したのがきっかけでした。

それから数ヶ月間ほど経過し、私が企画書のたたき台を書きました。これを使いながら藤井さんと何度かやり取りし、どんな本を書くべきかという私たちの目的を決めました。その時に書いた図がこちらになります。

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本の内容よりも、どんな人たちを読者のターゲットにして、どういった課題を解決して欲しいかを目的としているのが特徴です。

続いて全体の流れや章立てを考えました。先ほどの読者ターゲットにどんなストーリーだと伝わるのかということを決めたり、それぞれの章を細分化した章立てを決めていったのです。その中でも特に金融では重要となる規制やガバナンス、セキュリティ(セキュリティは特に重要なので章立てもした)については、あえて個別の章を設けずに、必要な箇所へ直接盛り込んでいくという方針も決めました。

​目次

そうしてできた章立てと執筆者が以下です。


特別記事 自分が思う「正しいこと」を自分なりにやり抜くこと
〜フィンテック領域の第一人者に聞く〜
 ・行動経済学が「フィンテック」に与える衝撃
 ・財産ネット株式会社 代表取締役 荻野調氏との対談
 ・freee株式会社 CTO 横路隆氏との対談
 ・BASE株式会社 EVP of Development 藤川真一(えふしん)氏との対談
 ・株式会社LayerX CEO 福島良典氏との対談
 ・株式会社 黒鳥社(元WIRED編集長)若林恵氏との対談
吉沢康弘

【第1部 フィンテックはじめの一歩】
第1章 フィンテックエンジニアのための基礎知識
〜金融改革時代に必要なスキル〜

阿部 一也

第2章 フィンテックで大進化! 金融サービスのゆくえ
〜決済や資金調達、資産運用はどう変わる?〜

藤井 達人

【第2部 フィンテックを取り巻く技術】
第1章 AI-Ready化して新たな価値を生み出す
〜ビッグデータ、IoT、AIをつなぎ合わせて価値を創り出す〜

中林 紀彦

第2章 チャットボット導入入門
〜活用が広がる自動応答システムのしくみ〜

上岡 裕

第3章 デジタルプラットフォームとしてのクラウド
〜クラウドファーストからクラウドネイティブへ〜

大西 純

第4章 APIエコシステムが生み出す新しい価値の創造
〜APIの利活用によるオープン・デジタルイノベーションの実践〜

大久保 光伸、南 達也

第5章 ブロックチェーン出現による金融業界への衝撃
〜ブロックチェーンの基礎知識と金融分野でのユースケース〜

志茂 博、半田 昌史

第6章 KYC〜オンライン取引で高まる本人確認への要請
〜法律を読み込み熟知して、規制をエンジニアリング! 〜

肥後 彰秀

第7章 freeeを支えるセキュリティ
〜フィンテックサービスに求められるセキュリティとは〜

坂井 学

第8章 フィンテックアプリのインタラクションデザイン
〜「スマホならでは」を意識した設計を〜

広野 萌

詳しい目次は以下を参照してください。
https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10866-3

金融エンジニアコミュニティ

さらに金融エンジニア養成コミュニティを発足して、継続的に勉強会を開催しています。「コミュニティの概要」として、勉強会の冒頭で紹介するスライドがあるので紹介します。

コミュニティの概要

未来の社会を切り拓くためには、テクノロジーは必要不可欠です。これは、どの産業に当てはまることで、当然、「金融」にも該当します。にもかかわらず、金融関係者の中では技術に対する評価はいまだ低く、さらに技術力の高いエンジニアの本質的価値が評価されていないのが現状です。
社会において未来の予測が難しくなっている今の状況は、VUCA時代と呼ばれています。これを乗り越えるには、金融業界においてもこれまでとは異なるスキルも必要とします。

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VUCAは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字をとった造語です。

私たちは、こういった課題を解決するために、金融に興味のあるエンジニアとビジネスサイドの双方へ、テクノロジー&金融スキルを向上する活動を行っていく予定です。

​次回の勉強会

次回の勉強会は11月26日に開催します。以下の2つのテーマについてパネルディスカッションを行います。
■レギュレーション(Reguration)
 フィンテックにおける規制について。技術によって金融規制を管理するレグテック(RegTech)や、サンドボックス制度など。(書籍では第1部1章『フィンテックエンジニアのための基礎知識』が該当)
■ビジネスと組織開発のツボ
 組織のチームビルディングの勘所を抑える。活発な海外のフィンテック最新動向の共有。(書籍では巻頭特集の『自分が思う「正しいこと」を自分なりにやり抜くこと』と、第1部2章『フィンテックで大進化! 金融サービスのゆくえ』が該当)

著者のスケジュールの都合で順番は入れ替わりますが、本の内容をベースに企画を進めていますので、まずは、書籍をご購入いただければと思います。今後も本のエピソードや章ごとの紹介をnoteで公開していく予定です。よろしければぜひフォローしていただければ幸いです。


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