事業継承の始まりはココから
先日、初代から事業継承された2代目社長の方とお会いし、お話しする機会を頂きました。
近年、企業買収等のM& Aも珍しくない世の中になり、事業継承に関わる市場も活性化しています。
この事業継承の話を耳にする度、事業継承に対する違和感を感じ得ずにはいれません。
どういうことか?
事業継承では法的なことを含めて、経営を引き継ぐためには多様な視点が必要です。
しかし、事業継承のやり方、つまりは、方法論にばかり焦点が当てられてばかりいないか。最も忘れてはいけない視点が、置き去りされているのではないか、ということを感じています。
この最も大切な視点が、後継者が「何故、先代の経営を引き継ぐのか?」という視点。
つまり、私が考える事業継承の始まりは「先代から経営を引き継いで、後継者として何を実現したいのか?」これを明らかにすることです。
精神論で片付けてはいけませんが、それでも、経営の舵取りの最後は、事業に掲げる“情熱”だと思います。
これからの人生を一人の大人として、どのような人生を歩みたいのか?
自分の人生に対して、継承した事業の経営をどのように位置付けるのか?
これを明確にしておくのと、明確にしていないのとでは、その後に大きく影響するはずです。
経営が思い通りにいかず、苦しい時でも「自分の選んだ道だ」と、その困難に向き合えるのか?
それとも「自分は気乗りしなかったけど、親族だからという理由だけで、継ぎたくもない事業を継いでいる、なんで、こんなに苦労しなければいけないのか?」と今の環境を恨むのか。
「自社が提供しているものを理解しているか?」でもご紹介した、神奈川県横浜市に本社を置く、家電量販店の企業であるノジマ。
独自路線で好業績を残していますが、そのノジマの社長である野島廣司は「成長する人は、失敗を“自分の責任”と考える人」と言います。
事業継承後、困難な状況に陥った時に、心から“自分の責任”だ、と思えるか否かは、ご自身が事業継承する意味付けをきちんと肚落ちさせているか?
これが、事業継承の始まりではないでしょうか。
もし、あなたが後継者なら、事業継承する、あなたにとっての意味付けを改めて考えてみてください。
そして、今後、事業継承される予定であれば、ご自身が継承するまでに、じっくり考えてみてください。
冒頭の先日お会いした経営者の方は「なぜ、自分は事業継承のしたのか?廃業することも、一時は考えた」と言います。
しかし、色々考えた上で、先代から事業を引き継いだことをご自身の中で肚落ちされたようです。その方のこれからの事業の発展を陰ながら応援しています!
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